あらすじ
増加の一途をたどる心を病む人びと、メンタルの不調から復職しても約半数が再休職する現実、5分診療・薬を出すだけ診療はなぜ起こるのか?……精神科医・心療内科医の数は増え、メンタルクリニックも増えているのに、メンタルを病む人がちっとも良くならないのはなぜなのか? 気鋭の精神科医がその深層に切り込んだ一冊。メンタルの不調を感じたときによりよい医療を受けるためのヒントも紹介。
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Posted by ブクログ
【目的】
現在働いている職場は1割が恒常的に休職している状況にある。
現在の職場への在籍が続いた場合に、自分も同じ状況に陥らないか心配。
そこで、メンタル不調に関する知識を仕入れるべく手に取った。
【要点】
メンタルクリニックは増えているけど、精神疾患も増えていて実質的に医療は崩壊状態にある。
日本の医学部界隈(とくに国立大)は研究>臨床、薬物治療>精神治療、だが薬では治らない。
だからなんとか従来の患者に加えて新規の患者が増え、病院リソースが枯渇し、5分話して薬をどうぞ とならざるを得ない現状がある。
まず、入試で従順な生徒を仕入れ、ヒエラルキーが固定化された場所で今まで通りの薬物研究を通じて教授を目指す。新しい教授は従順な生徒を仕入れ、以降繰り返し。
という村社会的な構造がある。
治す治療を習わず、薬の出し方を習う。だから、直せないし薬物中心の治療(?)が中心になってしまう。
まじめに精神療法をやっても、患者を捌けないし経営的にも売上になりにくい。
薬の効くものは統合失調症、双極性障害、単極性障害。
一方、薬が効かない適応障害、依存症、など。ここに薬を出して表面的な対処を打つため、結局治らず長期化する。
かといって、根本的な原因を除去できる精神療法(たとえば認知行動療法)をできる医師が全然いない。
ではどうしていくべきか。
・厚労省がカウンセリングへ保険適用することで、患者の母数を減らす。
・厚労省がカウンセラーの養成に力を入れる。
・厚労省が総合診療の専門医を増やす。
・文科省が医師になる前に社会人経験を積ませる。
・厚労省と文科省が教授選にメスを入れる。
・精神医学会はxx心理士を有効活用する。
・精神医学会は精神療法を学ぶ。
・アメリカ、イギリスに学ぶ(直してなんぼ、等)
等
【印象に残ったポイント】
本来やるべき精神療法をできる医師が全然いない、という点が業界のエコシステムに起因すること。
日本のxxはよくない!と、言うだけなら簡単だが、実際には業界・関係者間のエコシステムや本音と建前がうまく絡み合って現状が形成されており、悪者成敗でなんとかなる単純な話ではないということ.
【具体的に生活や仕事にどう活かすか】
・もし、メンタル不調を感じたら国立大以外の医師にかかる
(慶應大学、慈恵医大は精神療法を期待できるかもしれないらしい)
・カウンセリングしてくれる医療機関を探すには、精神保健福祉センターを頼るとよい。
Posted by ブクログ
精神科業界に メスを入れるかの良書。 日本の医療の問題点が窺える。 5分診療で 薬を出す だけの 薬物療法がまかり通ってる(利益増にもなる)。精神療法の専門医は全国に300人しか おらず、 彼等にメリットも無い。うつ病を見落とされている高齢者。 欧米事情とは 違いが大きく、 根本的に 改変しない= 崩壊している。
Posted by ブクログ
自分がカウンセラーとして感じている疑問を明確にしてくれた本である。医療連携する必要があるが、どの医者に診てもらうかはとても大きな問題である。教授選びが薬物療法を推進しているとは驚いた。精神医療が必要とされる現代、医療が崩壊しないような体制作りをしてほしものである。