あらすじ
啓蒙主義と人権思想を生んだヨーロッパの「光」の歴史の裏には、数多の人間を血祭りに上げてきた、陰惨たる「闇」の系譜があった! 火刑、斬首、車裂き……親指詰め、ハシゴ吊るし、「スペインのブーツ」……王殺しや異端審問、魔女裁判を通して発明された拷問と処刑のシステムを、社会の秩序回復と体制強化のための非人間的な権力装置として読む、異色にして出色の文化史。
【目次】
序 章 ヨーロッパ史の光と影
第一章 王殺しの記憶
第二章 異端審問と「死の祭典」
第三章 魔女裁判の歴史
第四章 拷問という権力装置
第五章 裁判と処刑の実態
終 章 ヨーロッパ史の闇の系譜
あとがき
処刑関係略史
参考文献
学術文庫版へのあとがき
【本書の主なトピック】
●15分で失神……究極の拷問具「ボック」とは?
●斬首、絞首、火刑、生き埋め、車裂き……最も重い刑罰は何?
●水審……沈んだら「無罪」、浮いたら「魔女」確定
●映画やメルヘンにも登場、「鉄の処女」伝説の虚実
●マリー・アントワネットの母作成、「拷問図説マニュアル」
●太陽王ルイ14世の治世を脅かした「パリの黒ミサ事件」
●舌を抜いたらおいくら? 拷問と処刑のお値段
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
残虐な拷問や処刑を面白おかしく記述する本もあるが、これはあとがきにも書かれているようにそういった類の本とは一線を画し、文献をもとに具体的な描写も含めて書かれたとても学びの多い本だった。鉄の処女は実際に使われた記録はなく後世に作られた模造品であることなどはこの本で初めて知った。西欧やキリスト教の歴史の明るい部分だけに注目する事なく、影の部分も共に見つめていく必要性を強く感じる。
Posted by ブクログ
図や解説がたくさんあって、かなり興味深かった。
処刑に使われる道具は既に知っているものが多かったけど、拷問に使われるものは見たことないものばかり。なんて痛々しい。
よく西洋の絵に出てくる受刑者は、処刑人に対して怨念を与えないように目隠しされているものが多い(ただ精神面に負荷を与えるだけでなく)。
今も同じ理由なのかもしれない。
また、たったの噂話(ほぼ全て大嘘)からこれほどまでに非人道的な扱いをされるのは本当にありえない。
これをAudibleで聴きながら朝ごはん食べるのはなかなか憂鬱だった()