あらすじ
「いいなあ、幸せそうで」
スーパーを訪れる5編の「生活」。
寿退社をして主婦となり、子どもが手を離れた美奈子。社会に出て働こうと思い立つが、転職活動は思うようにいかない。
(「おしゃべりなレジ係」)
小学生の頃からのある癖によって痩せた、大学生の流花。しかし「ぶた」と呼ばれて受け流してしまった当時の自分を未だに許せない。
(「小さな左手」)
元彼女に二股をかけられて以来、マッチングアプリで遊ぶようになった亮。ある日会社の後輩から、SNSで自分がヤリモクの要注意人物として晒されていると知らされる。
(「気をつけてください!」)
友達の結婚ラッシュに焦り、婚活アプリで出会った貴文と結婚した咲希。出産した友達に「次は咲希の番だね」と言われ、咲希も妊活を始める。
(「なわとびの入り方」)
IT化についていけず、早期退職した哲郎。ハローワークで再就職先を見つけられず、妻にも愛想をつかされ、公園のベンチで昼食をとる日々が続く。
(「不機嫌おじさん」)
「もう無理かもしれない」そんな気持ちを真下みことは掬い上げ、寄り添い、抱きしめてくれる。
感情タグBEST3
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読んだあとにとても前向きになれるお話でした。
ちょっと辛いことがあって落ち込んでたけど何事も変えたいと思って前に進むために勇気を出すことが必要なんですね。
この作者さんはこんな感じの物語も書くのかともっと好きになりました。
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おしゃべりレジとその周囲の人々の物語。
こんなレジのニーズはもっと増えそうな予感。特にスタバは以前、カップへのメニュー記載を手書きから自動にした時に多少の反発があった。手書きの文字で書いてくれるコミュニケーションがとても大きな価値があったから。
介護の現場でも、「何が人がやるべき仕事で、何が機械化すべき仕事か」の議論があるらしい。いくらロボットが自然と喋れても、人とのコミュニケーションには価値があるらしい。
そう考えていくと、この本の登場人物たちはみんな、コミュニケーションに難を抱えていたみたいだ。人と人との関わりって複雑で難しい。
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普通の専業主婦が仕事を探す所から始まる短編集。
もちろん現実は厳しいけれど、自分に合った仕事を見つける事ができない訳じゃない。
回り回ってそれが誰かの人生をちょっとだけ変えたりするかもしれない。
ラストには驚くかも知れないけれど、希望はあると思えたので良かった。
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面白かったー!連作というより一話の主人公が働いているレジに2話以降のキャラがほんのちょっとだけ関わっていく短編小説。挨拶やなんでもない雑談って軽視されがちだけど本当に大事、うちも人付き合い苦手だったけど趣味の登山を初めて見知らぬ人と会話するようになって、ご近所さんとも話せるようになってすごく楽しくなった。ついさっきスーパーのリサイクルシステムがよくわからなくて首を傾げていたら見知らぬおばちゃんに突然話しかけられやり方を教えてもらって、ああいうおせっかいおじちゃんに私もなりたい、この小説のように日々にこやかに生活してそれだけで誰かを救えていれば日日是好日である。エピローグのどんでん返し(?)でびっくり!自分も絶賛ニートなので耳が痛くなった、いい家族だ。初めて読んだ作者さんだけどずっと年上の方かと思ったら歳が近くて驚いた、他の小説も読んでみようと思う。
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おしゃべりレジが舞台の本。
誰かと話したい一人暮らしの人や高齢者の見守りという点でも実際に導入されても良さそうなものだと思った。
レジに来た人のそれぞれの物語が描かれ、最後にエピローグで拓実についての記述をみてびっくりした。
だから、木本さんが幸せそうねと言った時も何か引っかかりがありそうな反応だったのかと納得した。
人ってそれぞれいろんな思いを抱えながら生きているんだなと実感させられた本だった。
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多くの人をその笑顔で救った最初の主人公。
幸せそうでいいわね
という言葉をまっすぐ受け止められていない気がして不思議に思いながら読み進めたけどそういうことだったんだ。
何事も順風満帆です!なんて人はいないよね。みんな大小様々何かを抱えて生きてる。
哲郎の変わり身の速さはちょっとだけ違和感だったけど、
みんな良いように進むのなら良いや!って思える読後感。
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外から見るだけじゃわからない、そして、他人の少しのゆとりが連鎖して、連鎖して、
一人じゃなくて、繋がってるんですよね。
と実感する。
そんなパートそのうち本当にありそうな、なさそうな、朗らかな読み終え
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人とのコミュニケーションをとることを諦めかけていた人達が、小さな触れ合いに心を動かされて、少しずつ顔を上げて生きていこうとする短編集。スーパーのカゴの中って、生活が露わされていると改めて思った。初めての作家さんだったが、視線に優しさが溢れている。
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初読みの作家さん。表紙が日常すぎて興味がわいて手に取った。専業主婦から思い切ってパートに出た北川さんの優しい心遣いがにじみ出たお仕事ぶりは買い物に来るお客さんの人生をも動かす。コミュニケーションって大切やなぁ。
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おしゃべりレジというレジ打ちをしながら話しかけてくれるサービスを利用する人達のエピソード集。昨今セルフレジや食券機の普及で人との関わりが減りつつある。しかし人は誰かと話すことで悩みが解決したり気が紛れたりするので話をすることは大事だと改めて感じた。学校、職場で話せる人は良いが、定年後の老人、専業主婦の方はこういったサービスがありがたいのだろう。人それぞれ悩みはあると思うが一人で抱え込まず誰かに相談した方が心の健康に繋がると思った。
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「おしゃべりなレジ係り」「ちいさな左手」「気をつけてください!」「なわとびの入り方」「不機嫌おじさん」5話の連作短編集。どこもかしこもセルフレジが増えてしまったけど、おしゃべりレジみたいなのも需要はあるのかも。個人的には「不機嫌おじさん」が好きです。
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初読みの作家さんだが、とても面白かった。
5話からなる短編集。第1話の専業主婦がやっと見つけた職場、そこを訪れる人それぞれの物語。
表紙はとても穏やかでのほほんとしたイラスト、しかしこれに騙されてはいけない。
不穏とまでは言わないが、これがなかなか、、、?!
誰しも人には言えない悩みや苦労があるのだが、それを口に出せる場所って大切なのかもしれない。しかもそれは知人や関係者じゃなく、単なるスーパーの店員だと。
全くの他人だからこそ、愚痴ってみたくなるのはわかる気がする。
中でも私は「なわとびの入り方」のこの続きがとても気になる。夫婦の関係も友情も。
「不機嫌おじさん」も、こういうおじさん、よくいるよな〜
どれも身近にいそうな人たちでありそうな話である。
気軽にさくさく読めるのでぜひおすすめ!
Posted by ブクログ
読みやすくて、日常生活上誰にも起こり得る話で、明るい美奈子がスーパーのおしゃべりレジで働く姿が目に浮かんだ
おしゃべりレジ、全国に普及するといいな
子どもが手を離れ、何の用事もない一日、誰とも会話らしい会話をしない日もリアルにあって、仕事、家族、働く場所や世話をする人がいるって幸せなことだと気付く
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1997年生まれの作家さん。すごい。
帯になっている町田そのこさんの言葉「いくつもの小さなふれあいが、人生には必要なのだと教えてくれる」その通りの一冊。
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おしゃべりなレジ係
今生きてる世の中の生きずらさを5編の話で見れた
それぞれ悩みは違い苦しい
でもそっと声をかけてくれる人、寄り添ってくれる人がいると前を向ける
日々に感謝、周りに感謝を忘れないでいたい
Posted by ブクログ
確かにレジカゴの中身って個性を詰め込んだようなもの。読んでいて面白かったです。
そしてカゴの中のように見えないけれどその人それぞれの『事情』が必ずあるものだな…と、しみじみ思いました。誰かの(ここでは『おしゃべりレジ』の店員さん)気遣いの一言で救われたり、ハッとした気付きになったりするのがとてもいいな…と思いました。
でも、なかなかないんだよね。そういうこと。そして、あっても気づかなかったりしているのかもしれないね。と、自分を振り返って考えたりしました。
Posted by ブクログ
町のスーパーを舞台に、人生の岐路に差し掛かった人たちのリスタートを描く連作短編ヒューマンドラマ。
主人公は各話で異なるが、第1話及びエピローグで主人公を務める北川美奈子という中年女性が作品を通じてのキーパーソンになっている。
◇
「よーし、転職するぞ!」
リビングのソファでスマホを見ながら美奈子はそうつぶやいて、スマホに転職と入力して検索した。
最初にヒットした投稿は、「主婦になって20年。そろそろ転職したい」というもので、それには「いいね」20000件のほか、返信もたくさんある。
興味が湧いた美奈子がその返信を見てみたところ、
「主婦は無職ということだ」
「転職じゃなくて就職だ」
「無職のスキルって? 職務経歴書って知ってる?」
など、批判的なものばかりが目につく。専業主婦歴20年の美奈子は自分も世間知らずだと言われているような気になり、思わずスマホをテーブルに置いてしまったのだった。
( 第1話「おしゃべりなレジ係」) ※全5話とエピローグからなる。
* * * * *
人柄のよさ。それは人間的魅力。人間力と言い換えてもいいでしょう。
そんな魅力を持った人との触れ合いによって、うつむいていた顔を上げてみようという気になったりすることが確かにあります。そして、そんな人との出会いは人生の転機になる。
本作でも、幸運な出会いから転機に繋がった人たちの姿が描かれていました。
各話の主人公たちはそれぞれ、現実の厳しさや理不尽さに直面していました。行き詰まり、ついうつむかざるを得なくなっていた老若男女。
その人たちにとっての突破口となるのが、実は第1話の主人公である美奈子さんの人間力です。
その美奈子さんは自ら動くことで自身の転機に繋げるのですが、いったいどんな女性なのか。プロローグとしての第1話を簡単に紹介しておきます。
地方出身で、東京の短大卒業後にある企業の受付に採用された美奈子さん。彼女はそそっかしいところもありますが明るくポジティブな性格の女性です。
就職して3年目のある日、営業で訪れた男性に見初められめでたく寿退社。以来、専業主婦として家族を支えて20年が経ちました。
この美奈子さんは明るくて気立てがよく、まるでお日様のような女性です。
『東京バンドワゴン』の秋実さんも太陽のような明るさを持つ女性でしたが、2人には少し違いがあります。秋実さんの明るさがさんさんと降り注ぐ南国の太陽の陽射しだとしたら、美奈子さんの明るさはぽかぽかと暖かい春のお日様の陽射しといったところです。
優秀な社員だったわけでも特技や資格があるわけでもない美奈子さんなのですが不思議に人を和ませるところがあり、優秀な営業マンで懐が深くハイスペックな北川さんのハートを射止めることになりました。
結婚後は家族思いで穏やかな夫になった北川さんが、リビングでほんわかした美奈子さんに癒されくつろぐ姿が印象的です。
こんな美奈子さんが、ひとり息子が成人したのをきっかけに働きに出ようと就活した結果、家の近くのフューチャーマートというスーパーに採用されます。
このスーパーは、従来の有人レジとセルフレジのほか、「おしゃべりレジ」を新設。これは従来のレジに味気なさを感じていたり、セルフレジに不慣れだったりするお客さんのために、係がお客さんとおしゃべりしながらお客さんに代わって商品をセルフレジに通すというものです。
このおしゃべりレジで係の美奈子さんとたわいないやりとりをしたことで、ふと目が啓かれたような気持ちになる4人の人たちが第2話以後で描かれていきます。
太っている体型をからかわれイジメにあった小中学生時代のトラウマから拒食症で苦しむ女子大生。( 第2話「小さな左手」)
恋人にふた股をかけられ、その上振られてしまったことで、女性そのものを信じられなくなった会社員の男性。 ( 第3話「気をつけてください!」)
友人たちに煽られるように婚活し、結婚後は妊活に励むという生活に疲れ果てた女性。 ( 第4話「なわとびの入り方」)
ITオンチが原因でリストラされ再就職先も見つからないことから無気力状態になり、ついには妻からも愛想を尽かされたアラカン男性。 ( 第5話「不機嫌おじさん」)
現在の自分に絶望や嫌悪感を抱きながらそれでも生きていかなければならないやるせなさ。うなだれうつむく日々。
けれど、何の気なしに訪れたスーパーで出会ったおしゃべりレジ係のおばさんの、明るく穏やかな対応。決して押しつけがましくないのに心に染みてくるような温かさに、冷え切った気持ちがほぐれていくのを実感する主人公たち。
読んでいるこちらまでほっこりしてくるハートウォーミングストーリーでした。
エピローグで、美奈子さんの家庭にも問題があることがわかります。あのお日様のような美奈子さんですらなかなか溶かせなかったもの。ところがパートに出たことで美奈子さんの人間力もパワーアップしていて……。
というラストのおまけも気に入りました。
Posted by ブクログ
誰かに認められたい気持ちが歪んで、頑固に受け入れなかったり或いは流されてしまい、結局自分の好きな自分でいられなくなる…ほんのちょっとした言葉を起点に変わってゆく人達の連作短編集。優しい物語だけどすこしピリッと。自分の行動を反省…
Posted by ブクログ
現代の色々な社会問題を題材にした内容でした。引きこもり、マッチングアプリ、いじめによる拒食症、リストラ、不妊症など。ただすべてにおいて最後は前向きです。温かい気持ちになります。人を思いやる事の大切さ、話を聞いてあげる事の大切さが改めて分かる良作だと思います。とても読みやすかったです。
Posted by ブクログ
レジ係の人とおしゃべりができる「おしゃべりレジ」で働く美奈子。
専業主婦から久しぶりのパート勤務。
前半のひたすらお祈りされ続ける日々はちょっと身につまされたけど、パートが始まってからは面白かった。
子どもが幼児期に誰も知らない土地に引越をしてきて、ちょっとした事を誰かと話したい!と思っていたあの頃を思い出した。
こんなレジあればよかったなぁ。
Posted by ブクログ
やっぱり連作小説だった。初読みの作家さんだけど読みやすくて良かった。各々の主人公がなにをかごに入れたのか気になって間に入る表紙のイラストをよく見た。なんだか楽しい。いろいろある食品の中で何を選ぶのか生活を垣間見れる気がして。
哲郎はザ昭和クソ親父って感じだけど反省して変わるまでが早くてびっくりするこんな人稀だろうなと思うけど。。主人公は明るくて強くて良い人だったな。この人のおかげでこの本が明るさが底上げされてると思う。
Posted by ブクログ
とても読みやすかった。他人と関わるのが少ない現代、こういうおしゃべりレジみたいなのもいいかもね。私は今の歳なら使いたいとは思わないけど、もっと高齢になった時に誰かとこうやって気軽に話せるのは良いことなんじゃないかな。