あらすじ
人間、ナガ、トッケビ、レコンの四種族が暮らす大陸。その南方に暮らすナガの少年リュンは、死の際の友に託された使命を果たすべく北へ旅に出る。そして彼を守るため三人の仲間が集まった……。〈ドラゴンラージャ〉著者による本格ファンタジイ、シリーズ開幕
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Posted by ブクログ
おもしろい!韓国ファンタジー。すごく世界観が作り込まれていてわくわくしてる。翻訳の文体や語り口もよいし、描写の仕方がすごく素敵で分かりやすくて、引き込まれた。
Posted by ブクログ
久しぶりにファンタジー小説を手に取った。実のところ、韓国では「ファンタジー小説」というジャンル名はもはや消滅寸前であり、その代わりにいわゆる「インターネット小説」が主流となっている。日本の「小説家になろう」系の作品群のように、韓国のネット小説もジャンルとしてのアイデンティティは明確だが、文学的な評価はあまり高くない。テンポの速さや軽い文体が利点として挙げられる一方で、「軽すぎる」という批判を受けやすく、ジャンル全体の評判も必ずしも良いとは言えない。
『氷と炎の歌』シリーズや『ロード・オブ・ザ・リング』、『ハリー・ポッター』のように、西洋ではファンタジーが大衆性と文学性を兼ね備えたジャンルとして認識されているのに対し、韓国のファンタジー小説は、良く言えばマニア向け、悪く言えばオタク文化の専売物という認識が強い。
出版から20年以上が経った『涙を飲む鳥』は、現代のネット小説が追求するスピード重視の作風とは真逆の作品である。展開は息が詰まるほどに遅く、固有名詞は説明なしに投げつけられ、読者に対してとことん不親切だ。私は普段、「敷居の高い小説」はあまり好まない。本当に良い小説はそんな壁がなくても最初から面白く読めるものだと思っている。
なのでこの小説を読み始めた当初は、何度も本を閉じてしまった。実際、第1巻を読み終えるのにかかった時間は、その後の第2巻から第4巻をすべて読む時間よりも長かった。この作品が超有名作家によるヒット作でなければ、最後まで読み通せ終えられなかったかもしれない。
それでもページをめくり続けるうちに、この小説が愛されている理由ははっきりと見えてきた。作者はかつて、「私がファンタジーを書くのは、自分の考えを最も的確に表現できる手段がファンタジーだからだ」等のことを述べた。その言葉通り、この作品を読んでいて、このテーマはファンタジーという形式でなければ表現しきれないものだと感じた。それこそが、この小説が高い評価を受ける理由なのだろう。
作中に登場する4羽の兄弟鳥――「涙を飲む鳥」、「血を飲む鳥」、「毒を飲む鳥」、そして「水を飲む鳥」。その中でも体内にとどめておくことができず流し出してしまう最も有害なもの、涙を飲むので最も早く死んでしまう、けれど最も美しい声で鳴くという「涙を飲む鳥」。 この鳥は確かに、この物語に触れた多くの人々をその美しい歌声で魅了される。