あらすじ
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「こんなときどうしたらいいの!? 誰か教えて!」監査の現場で直面する様々なシチュエーションをどう乗り越えれば良いのか。
経験豊富な著者がいくつかのヒントをご提案!
目次
・はじめに
・本書の読み方・活かし方
第1章 監査スタッフにありがちな4つの誤解
1.1 誤解① 監査はクライアントのために行っているのではない!?
1.2 誤解② 監査は検査で怒られ、マスコミから叩かれるつらいだけの仕事!?
1.3 誤解③ 「職業的懐疑心」は何もかも疑えということ!?
1.4 誤解④ 「リスク・アプローチの不徹底」の本当の意味!?
Column 監査は日本人に向いていない?
第2章 監査マニュアルにはない監査の極意
2.1 監査手続実施の基本動作
2.2 監査調書のNGワード
2.3 監査調書で最後にチェックすること
2.4 会計上の見積りの監査
Column 監査調書の形式面での留意事項
第3章 監査先との接し方
3.1 監査現場のコミュニケーション総論
3.2 監査先との距離感
3.3 会社をより深く理解するために
3.4 監査先から相談されたとき
3.5 監査先から信頼を得るには
3.6 監査先と対立するとき
3.7 監査先を怒らせてしまったら……
第4章 監査チーム内のコミュニケーション
4.1 監査チーム内のコミュニケーション、実は難しい
4.2 監査チームメンバーの役割
4.3 「IT専門家」という誤解
4.4 監査チーム内のコミュニケーションを改善する
4.5 はじめて後輩を持ったら
Column スタッフの景色、シニアスタッフの景色
第5章 プロジェクトマネジメント
5.1 スタッフに求められるプロジェクトマネジメント
5.2 無数のタスクを管理するために
5.3 ボールは誰が持っているか
Column 個人的タスク管理遍歴
第6章 監査と倫理観
6.1 公認会計士の倫理観は高いのか
6.2 公認会計士が道を踏みはずすとき
Column 公認会計士の倫理観と不正のトライアングル
第7章 公認会計士の働き方
7.1 社会人としての公認会計士
7.2 監査における責任感と気配り
7.3 プロフェッショナルとは
7.4 現場に出ることの重要性
7.5 ライフイベントとキャリアの両立
Column CPAと公認会計士
第8章 公認会計士のキャリア形成
8.1 どのようにキャリアを築いていけばよいか
8.2 海外経験ノススメ~海外に出よう!
8.3 海外経験ノススメ~海外派遣を勝ち取るには
Column 15年ぶりの再会
8.4 新しい業務領域への取り組み方
8.5 監査法人で評価される人材とは
8.6 オススメのインプット方法
Column 日経新聞を読むコツ
第9章 未来の監査
9.1 公認会計士とAIのいい関係
9.2 もし本当に監査が全自動化されたら?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
監査先から信頼を得るポイントは、以下の3点だ。
・人間的に信用できる人になる
・頼りになる存在になる
・監査先に寄り添う公認会計士、と認識されるようになる
1つずつ見ていくこととする。
最初の「人間的に信用できる」とは、人間として当たり前のことができるということだ。「約束は守る」、「うそをつかない」、「自分が悪ければ謝る」といった子どものときに親から教わるようなことだ。
次の「頼りになる」とは、監査先が困っているときに助けになるということだ。専門家として能力が高く、会計や内部統制の相談をするとていねいに教えてくれる人だと助かるし、信頼できる。また、質問にいつも迅速に的確な回答をしてくれたり、厳しい状況になったときに逃げずに対応を続けたり、というのも「頼りになる」人だ。
最後の「監査先に寄り添う」は、「監査先に迎合する」こととは違う。監査先の状況をよく理解し、時間をかけて監査先の主張をじっくり聞き、結論は監査先の理解できる言葉で説明するということだ。
監査先から説明を受けるときには、職業的懐疑心をもって批判的に検討する態度と、監査先の主張を理解しようとする態度の両方が必要だ。監査論的には、監査人としては批判的な態度のみでよいはずだ。しかし、「その証拠を示してください」、「議論に飛躍があるのではないですか」、「取締役会議事録の記載と矛盾しています」、こんな物言いでたたみかけると、信頼どころかケンカになってしまう。
「この点について、何か分かるものがあると助かるのですが」、「こことここのつながりがよく分からなかったので、少し詳しく教えていただけませんか?」、「取締役会議事録に一見矛盾するようなことが書いてあったのですが、どのように理解すればよいですか」
このように、「十分に理解したいので助けてください」という態度で接すると監査先の協力を得られやすくなる。監査先も、監査人が納得しないと監査が終わらないことは知っている。またある程度監査対応の経験のある人であれば、監査手続が完了し必要な監査証拠が集まらないと監査報告書が出ないことも理解しているはずだ。監査終了という共通のゴールに向けて協力している、という姿勢で会話ができると、監査先に寄り添いながら、監査人の職務を全うすることができるはずだ 。