あらすじ
米軍占領下の沖縄で,圧政への抵抗運動に理論・実践の両面で献身した著者が,沖縄の日本復帰直後の時期に,若い世代に向けて「これだけは語り伝えておきたい」と著した沖縄の歴史.平易な表現を用いながら,構造的な把握の確かさと人間味あふれる叙述が魅力の沖縄通史として,「島ぐるみ闘争」の歴史の探究が進む中で再び注目の集まる幻の名著が蘇る.
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Posted by ブクログ
沖縄の歴史を知らず手放しであの海や文化を享受してはならないという気持ちで読みました。
米国やそれに逆らわず追従する権力者たち。彼らの非道な行いがありありと記されていました。でも一貫して大切なのは絶対に屈さず闘い続けること。次に沖縄に足を踏み入れるときはこれまでのひとたちの意志を感じながら楽しみたいと思います。
Posted by ブクログ
【分断から信頼へ】
73年刊の児童書の復刻。平易な文章で日本復帰までを描いている。薩摩の侵略以降搾取と差別の下に置かれたことには心が痛むが、他方内部にも分断や利害関係があることにも注意が払われており、一枚岩になれない沖縄への無念が感じられる。ただ一度、島ぐるみの土地闘争のみが時を得た瞬間であり、沖縄全体の連帯が成立すると同時に本土の高い関心も得られ、米の行動変容を促した。連帯した沖縄の潜在力を示しながら、しかし二度目の機会はなく米日都合の復帰が実現し、著者は未来に希望を託し筆を置く。
著者は人民党事件で壊滅的状況に陥った革新勢力を地下活動で支え、党派を超えた人間的な信頼関係を大切にして島ぐるみ闘争の下地となる各勢力との協力関係を築いた陰の功労者。後に追放され60年に沖縄を離れている。復帰直後に著者は、当時のおとなにではなく未来のおとなに語りかけることを選択した。50年後の私たちはそれに応えられているか改めて反省したい。(ササキ/本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会)
Posted by ブクログ
沖縄の今までの壮絶な歩みが記されていて、歴史を振り返えられる良書だった。
沖縄の人たちの今までの歴史をみると、自ずと今の現状が、なぜそこに至ったのかがより深く理解できる。
今まで日本政府(本土)から虐げられてきた沖縄。その歴史を知れば知るほど、辛く、申し訳ない気持ちに苛まれる。
そして今もそれは終わることなく、彼らはずっと闘い続けている。
先日私も辺野古に座ったが、これを代わる代わる毎日行い、それをもう3000日以上も続けていることに尊敬しかないし、何とも言えない感情が湧き起こってくる。
Posted by ブクログ
島ぐるみ闘争を支えた活動家が、沖縄を去った後に綴った通史。薩摩の支配下での社会制度・文化の変革や、沖縄の社会運動が抱えてきた弱点についても触れられていることが、叙述に厚みをもたらしている。
なお、本書が指摘した沖縄の社会運動の弱点とは、本土への依存であった。この点は、もはやかなり克服されているのではないだろうか。むしろ本土の社会運動の方が、沖縄に依存しつつあるのではないだろうか。