【感想・ネタバレ】京都大学人気講義の教授が教える 個別株の教科書のレビュー

あらすじ

iDeCo・NISAで投資信託を始めているものの、次のステップとして、「個別株」をやってみたい人、「個別株」に興味を持ち始めた人へ。

個別株を長期保有・資産運用することは、自分の財布を豊かにするだけでなく、経済やビジネスの学びにもつながります。

著者は、京都大学名誉教授の川北英隆氏。
長らく日本生命の資産運用部門に携わり、取締役を経て学会に転じ、
京都大学で証券投資を分析・研究しています。
実践と理論を知る著者による株式投資の本質論です。

「個別株」の長期保有のメリットと基礎を
図や表を用いてわかりやすく説明してくれる一冊です。

<本文より抜粋>
売買をなるべくせず、
長期保有によって
企業や経済成長の利益を享受することが
株式投資の本質ーー。

「短期売買」は企業が実らせる果実とは無関係のゼロサムのゲームである。
「長期保有・資産運用型」は経済が成長する社会ではプラスサムであり、長期資産運用を目指した全員が利益を享受できる。
長期資産運用はプラスサムであるから、株式に関する知識があまり高くないとか、時間がないといった個人にも向いている。

「将来性があり、経営も優れていて素晴らしいのでは」と思う企業の株式を買い、
その後は時たま株価や業績を見る程度であっても、
長い時間が経過すれば、ずっしりと重い果実を得ている可能性が高い。
これが筆者の60年にわたる株式市場との付き合いから得た結論である。

株式投資(個別株)は、本質的に怖いものではない。
株式投資で損することは当然あるが、変な「儲けたい」欲をもたなければ、大ケガとは無縁。
株価の水準を心配する必要はあっても、過剰に心配するのは時間の無駄、チャンスを逃しかねない。
少額で十分なので、まずはスタートすることが大切。
その際は「アメリカ株」からがおすすめ(詳しくは本文を参照)。
本当の株式投資は副業の一種。自分の好きな仕事をしながら、趣味を楽しみながら、
ついでに株式投資を楽しみ、素晴らしい企業の成長の果実を分けてもらうことだ。

【目次】

第1章「まず株式(個別株)を買う」
どのように買ったらいいかを書いている。初めて買う場合は「アメリカ株」をおすすめしている。詳しくは本文を読んでほしいが、日本株より手軽に買えるし、期待も大きい。

第2章「資産運用を考える」
「資産運用」の対象は「株式(個別株)」だけではない。預金、国債、投資信託などいくつかある。これらの投資対象について、簡単におさえておく。

第3章「長期資産運用は経済成長で潤う」
長期のデータを用いることで、株式(個別株)による長期資産運用こそが、経済成長の果実(すなわちリターン)の分け前に与れる有力な方法だと示している。企業や経済全体の成長の観点から、日本の株価についても説明している。

第4章「資産を分散させ、長期運用する」
投資する株式(個別株)は、企業を選ばなければならない。本章では、長期資産運用においても企業を選ぶことが必要だと確認し、その後で、分散投資の重要性と、その方法を述べる。

第5章「企業の将来の可能性を評価する」
個人投資家として長期運用を選ぶ場合、投資先企業の選別が必要となる。それも客観的な指標による選別である。その指標の特徴や留意点を説明する。
日本経済を取り巻く環境を考えると、企業間の格差が大きい。
企業として「人口減少」や「環境問題」への適切な対応、グローバルな事業展開、デジタル化に適合した製品・サービスの開発、労働生産性の向上などを実現し、利益を本当に伸ばせるのか。
世界的に見て、少数の精鋭企業だけが伸びる。
インターネット、情報工学、AI(人工知能)、生命工学……、その流れに追いつけない者の登場と退場は、個人も企業も同じである。長期保有の観点から企業を選び出す感性と、その確認が求められる。

第6章「投資信託と付き合う」
「資産運用立国」や「金融リテラシー」などの政府の掛け声、税制上の優遇措置が魅力的な新NISAやiDeCoにおいては、投資信託が主役の座にある。
その投資信託の概要と付き合い方を述べる。
TOPIXや日経平均株価を模倣する上場投資信託(ETF)への投資は、幅広い投資により大きな当たり外れは回避できる一方、政府頼みのような凡庸な企業の株式まで買うことになる。
自分自身の目で見て頭で判断し、長期の観点から優れた企業の株式(個別株)を保有し、日本経済の発展を応援したいと考える。

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Posted by ブクログ

著者は昨今のインデックスファンド第一主義は良くないと感じている。理由はその中にはしょうもない企業が多数(多分特に日本株)混入しているからという。まずこれに同意。で、世界的に見て、少数の精鋭企業だけ株価が上昇するとみて、長期保有の観点から企業を選び出す感性が求められる。
そして理想の生活像として株式を売買する必要がない、異変が生じていないことを確認すれば十分という姿、とこれまた考えが一致。
アメリカ株一押しなところも自分と合っている。
では企業の将来の可能性をどう評価するか。
経営者の評価、製品やサービスが画期的というもの。
そして、株価指標として時価総額の大きさ、PBR、PER、配当利回りを挙げる。この中で非常に重要と考えるのがPBRだという。え?バリュー株派?と思ったが違う。PBRが1倍以下の企業は、企業の経営が株主の期待に応えていないから。こういう企業は今後もずっと駄目の可能性が高い、だから、企業を選別する指標として役立つという。日本株ではバリュー株は経営者に危機意識をもたらさない。経営者の頑張りへの期待はほぼアメリカ市場に限定されるとのこと。
配当も経営者の成長と配当に関する真意を読み取る必要がある。
他に、売上高成長率、売上高営業利益率、海外売上比率等の指標について、その考え方が解説されている。
で、買いのタイミングだが、株価が足元で急速に値上がりして、割高だと思える水準に達していないかぎり、良い企業なら、思い立ったが吉日であると説く。
成長する企業とは、結局のところ社会に役立つことをしている企業である。
例としてエヌビディアとイーライリリーが挙げられている。これがこの本を読むきっかけとなった。この2社はとても重要。
おわりには更にこう書かれている。株式市場は他の投資家と同じ見解を持つだけなら、意味のない世界である、以上。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

あとがきにあるように、著者の偏見に基く内容が多い。
色々な分析が出てくるが、結局は社会に役立つことをしている企業に長期投資する。と言うのがこの本の主張である。

昨今では新NISAやiDeCoにより、投資といえばインデックスファンド一辺倒というイメージが強いが、
あえて投資信託はお勧めせずに個別株への長期投資をお勧めしているところが、他書にはない特徴だと感じた。
個人的にはインデックスファンドに積立しながら、個別株への投資で大きく利益が出ているため、
著者の主張には共感できる部分が多かった。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

京都大学教授である著者が個別株の投資について自身の経験や知見に基づいて書いた一冊。

長期保有を目的として資産運用することの意味を説明した上で銘柄選びをPERやPBRといった指標から解説されていて勉強になりました。
著者の培ってきたB/SやP/Lを用いた売上高営業利益率や純資産利益率など企業分析のところは事例も踏まえて詳しく解説されていて勉強になりました。
また、株だけでなく投資信託や債券などの違いから日米の株価指数についてなど初心者でも違いも理解しやすいとも感じました。

分散投資の銘柄数についてや日米企業の配当に対する考え方の違いなどは本書の中でも印象に残りました。

本書を読んで学んだ知識を活かして企業を選別して将来成長する企業を応援する気持ちで投資できればと感じた一冊でした。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少し変わった視点で書かれている本
・短期売買は、企業が実らせる果実とは無関係なゼロサムのゲーム 長期資産運用は、プラスサムで全員が利益を享受出来る
・グーグル・ファイナンスで長期分析をするといい10年間
・topix 1968年の時価総額を100とし、それからの変動を指数で表している。
・キーエンスの面接 30代で家が建ち、40代で墓が立つと言われる

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

・PBR1倍割れの真の意味を指摘。 PBRは単に割高・割安という指標以外に企業の稼ぐ底力、これまでの利益獲得への姿勢を現すデータとしての活用法があるというのは新たな発見。
・PERは勢い、PBRは姿勢という形容が腑に落ちた。
・通貨分散という視点は重要。投資信託やETFでの間接的な外貨資産保有とは別に、純粋な通貨ベースでの資産保有割合を把握することが有用。
・単元株という時代遅れの制度がなぜ今でも残っているのかは同意。

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2025年02月26日

Posted by ブクログ

個別株は長期投資でアメリカ株がオススメ。ニーサではS&P500がオススメとかいてあり引き続き買っていこうとおもいます

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2025年01月03日

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