あらすじ
行政窓口で、職員が親切丁寧な対面サポートを行う日本は、「世界トップクラスの親切なアナログ行政」と言えます。
一方、行政のデジタル化については、コロナ禍での給付金が迅速に支給されず、申請から入金まですべてデジタルで完結したデジタル・ガバメント先進国と比較し、「デジタル敗戦」と評されてしまいました。
日本は、世界トップクラスの親切なアナログ行政によるサービスを、デジタルを活用してどのように進化させていけばよいでしょうか。筆者が考えるポイントは、住民と行政の「関心・信頼関係の構築」と「マインドセット変革」です。
一見すると、デジタルとは関係が薄そうなこの二つは、行政のデジタル化にどのように関係するのでしょうか。本書では、世界電子政府ランキング1位のデンマーク、バルセロナ、台湾などの海外事例、そして国内の先進的な地方公共団体による変革の事例やインタビューを紹介しながら、未来をつくるデジタル共創社会を考察します。
------------------------------------------------------
企業人も必見!DXに向けた個人と組織のあり方を提案
国内外の先進事例をもとに、行政DXに欠かせない要素を考察
-本書に登場するキーパーソンのことば-
「スキルではなく、何を作りたいかが重要」
若宮 正子氏(ITエバンジェリスト)
「デジタルとリアルの組み合わせで信頼関係を作る」
庄司 昌彦氏(武蔵大学教授)
「行政職員こそチャレンジ、ワクワクを」
石川 紀子氏(掛川市副市長)
「データの力で住民が真の豊かさに気づき、声を上げる」
藤沢 久美氏(株式会社国際社会経済研究所 理事長)
------------------------------------------------------
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者の知見が凄い。日本の自治体及びマイナンバー関連システムに対する現状分析、海外との比較、著者が所属するNECにおけるカルチャー変革の取り組み、国内自治体での先進事例など、全てがバラバラでなく関連して整理されています。これは著者の視座が高く、かつ思考がまとまっているから出来ることです。そのおかげで、一つ一つの考察がとても分かりやすいのです。著者が何を言いたいのかが明確なので。
本書は主に自治体職員などに向けて書かれているかと思いますが、IT業界で自治体マーケットのビジネスに従事している人(ITベンダーの営業職など)にも有用かと思います。
なお、第二章の中でマイナンバー関連システムについて触れられている箇所がありますが、著者はあまり専門的なことには踏み込まず、必要なところだけを分かりやすい言葉で説明されてますが、それでも一般の人には難解だと思われます。一般の人には馴染みがない領域なので。