あらすじ
寛延年間に生まれた居酒屋は、雨後の筍のように増え続け、文化文政の頃には人口比率でほぼ現在と同じ規模の産業に成長する。食文化を豊かにし、さらには幕府の各種規制を撤廃させていく原動力ともなった居酒屋の歴史を、日記や川柳、随筆、書簡、触れ書などから丹念に掘り起こす。
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Posted by ブクログ
酒屋は古くからあったが、居酒(酒屋で酒を飲む)という行為が盛んになってきたのは元禄時代になってから。といっても今でいう角打ちみたいなものだったらしいが、神田に現在もある豊島屋が元文元年(一七三六年)、豆腐の田楽を肴に酒を飲ませることを始めたりと、次第に居酒屋に近い業態が現れる。幕府の度重なる禁止令もすり抜けて、居酒屋は拡大していく。店内の飾りつけや接客の仕方、使用する食器、酒や肴の種類も、時代と共に移り変わっていく。「おわりに」で著者は「一日の仕事を終えて居酒屋で一息つき、仲間同士で和気あいあいに、あるいは口角泡を飛ばして議論しながら酒を酌み交わし、家路につく人は多い」(p305)と書いているが、この本が出版されたのは二〇一四年。その後新型コロナウイルスの流行や、若い世代の嫌酒化など、居酒屋を取り巻く状況はどんどん厳しくなるばかりだけれど。ところがどっこい二〇二三年の冬にこの著者はしっかり『晩酌の誕生』を書いているのである。そちらも読みたい。
Posted by ブクログ
居酒屋の歴史について詳しく紹介した本です。本書の中では、居酒屋が酒屋と茶屋の双方から生まれる過程を、黄表紙や川柳などの資料を元に綿密に紹介してあり、説得力が高いと感じました。
その他、江戸で飲まれていたお酒の話や、酒にまつわる町触など江戸の飲酒文化全般について色々と解説されているため、本書一冊でも十分江戸の酒事情について知ることができると思います。
【こんな人におすすめ】
居酒屋の歴史に興味がある
江戸の酒について知りたい
Posted by ブクログ
酒屋で酒を飲ませるようになったり、煮物屋で酒を出すようになったり、居酒屋がどう発生して増えて行ったか(文化8年の調査で「煮売居酒屋」は1808軒)、それらで誰が何をどうやって飲み食べしていたのかが浮世絵と共に書いてあり、中々面白かったです。
Posted by ブクログ
居酒屋は18世紀中期に誕生してから、50年の間に瞬く間に江戸の町に広がったという。当初は、酒屋や煮売屋で酒を供していた程度から、酒を中心に食事ができる業態に変わっていったという。当時、一皿均一の店や酒を飲む分だけ汲んで飲むスタイルなど、今でも評判を集めるメニュー形態がすでにあったようだ。当時の業態を再びやってみると評判を集めるのではないかというヒントもあるように思った。