あらすじ
池江璃花子、初めての著書――。
日本記録を更新し続け、2020年の東京五輪を目指していた18歳の池江璃花子は、予期せぬ病に侵され、突如としてその道は不透明となった。
しかし、不屈の精神で復活。10カ月後に退院すると、2020年3月、406日ぶりにプールに帰ってきた。
その時彼女が掲げた目標は、4年後のパリ五輪に出場すること。
本書は、その4年の間、彼女が記し続けた心の内である。
人々の目には、順調に回復しているように映っていたかもしれないが、決してそうではなかった。実際は、”18歳の池江璃花子“を超えられないことに苦しみ、涙を流し続ける日々だった。
今年3月に見事パリ五輪出場を決めたが、歩みは一歩一歩だったこと、彼女が何と闘っていたのかが手に取るようにわかる手記である。
巻頭32Pは4年間をカラー写真で振り返る。
特別収録:池江璃花子×羽生結弦対談「ただ勝利のために」
池江璃花子(いけえ・りかこ)
2000年7月4日、東京都生まれ。身長171cm。横浜ゴム所属。
3歳で水泳を始める。14歳の時、日本選手権の50mバタフライで優勝。高校1年生の時にリオ五輪に日本人最多となる7種目で出場。100mバタフライで5位入賞した。17年の日本選手権では女子史上初なる5冠に輝く。18年アジア大会で日本人初となる6冠を達成し、大会MVPに選ばれた。19年2月、白血病と診断され療養に入る。同年12月に退院し、20年8月に競技会に復帰した。21年に東京五輪に女子400mメドレーリレーで出場。23年日本大学を卒業。個人種目11個とリレー種目6個、計17種目の日本記録を保持している。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自信、葛藤、苦悩
努力を努力と思わなかった
当たり前の日常
トップアスリートの思いが知れた
白血病
積み上げたものを一度壊さなければいけない怖さ
20歳前後の方でこの境遇に耐えられる精神力
トップを取る人は、人の話を聞かない
正確にいうと、自分のフィルターに通らないものは聞かない
それくらい自分の思いがはっきりしている
結果が全ての世界
つまりは結果を出せば良い
1位しか注目されない世界である
Posted by ブクログ
現在開催されている、2024年パリオリンピックでの池江選手の活躍を心の底から応援しています。
結果はどうなろうと、楽しんで下さい!!
~感想~
世界のトップアスリートとして華々しい活躍をされていた最中、白血病という深刻な病に侵され、生き続けることさえ危ぶまれる状態から、2024年パリオリンピックに日本代表として返り咲いた池江璃花子選手の苦悩と力強さが分かる一冊だった。病前のアジア選手権では、驚愕の6冠を成し遂げ、日本国民皆がオリンピックでの活躍を期待し、注目を集めていた。しかし、突如白血病という病に見舞われ、日本国民の誰もが今後、アスリートとして、最前線に復帰することは難しいと感じたと思う。本書では、病と闘い続け、その後パリオリンピックへの出場を決めるまでの池江選手の心情や活動が書かれていた。本書を読み、アスリートとして最前線で活躍できる人間のマインドの強さに感動したとともに、困難な状況から想像を絶する努力を重ねてきた池江選手を、心の底から応援したいと思った。病前のアジア大会6冠という成績で、多くの人間に期待され、私たちでは到底理解できないプレッシャーや、大会に出る度優勝されていた池江選手自身のプライドなどで、復帰後メンタルを保てなくなってしまってもおかしくないと思う。しかし、衰えた肉体への不甲斐なさや病前の活躍とのギャップを、日々自分に厳しく努力をし続けたことによって、乗り越え、オリンピックの舞台へ返り咲いた池江選手は、本当に強い方だと思った。池江選手の、一つの物事(水泳)に対するひたむきな姿勢や、明確な目標に向け努力する姿勢は、見習うべきことが多くあった。どんな逆境に立たされても、目標に向かって努力し続けることで、自らが望む状態になれる、と本書を読み感じたとともに、困難なことにも挑戦したいという勇気をもらうことが出来た。
Posted by ブクログ
池江選手が、闘病後パリ五輪切符を手にするまでを日記調に書いた本。雑誌「Number」に連載されたエッセイをまとめたものらしいが、書いたその時の気持ちが素直に表現されていて、天才と言われた五輪アスリートにも、その時々で気持ちの変化があり、成績に大きく影響していることがよくわかった。レース中の出来事や考えていることも書かれており、興味深い。面白く読めた。
「(闘病の前後で)フォームや技術面はあまり変わっていないと思います。技術面は意外と忘れていなかったですね。自分の持ち味である肩の可動域も、泳がなかった期間が1年以上あったのに、全く硬くなっていなかった。意外と前の状態と変わらなくて、自分の強みが残ってくれていて、安心しました」p45
「病気をする前、50mの試合はノーブレスでした。今はまだ肺の機能が戻っていないので、それはできません。前回、残り15mのところで呼吸をしたら、最後へばってしまったので、今回はもう少し我慢して、あと1〜2m先で呼吸をしたら、最後までもちました。練習では、50mで呼吸を止めると体への負担がかかるので、25mのスプリント練習で、12.5mの少し先くらいで呼吸をするというのをやっていました」p60
「水泳仲間でも、昔は仲良かった子でも最近はスッとすれ違うこともあって。あれ、前はもっと仲良かったのになと。それは、闘病後の方がさらに強くなったかな。病気になったことによってもっと有名になった感じなので。私が遠い存在になったのではなくて、逆に私から見て彼女たちが遠い存在になったと言ってもおかしくないと思う。そこまでされるとショックで。ああ、こうやって、別に悪いことしてるわけじゃなくても、名が知れるだけでみんな遠慮するようになるんだな、と前から感じています」p139
Posted by ブクログ
池江選手の素直な素顔が伝わってきました。
気持ちが落ちることも赤裸々に綴られています。
ただ、落ちても前向きな言葉、考え方になるところはさすが一流アスリートだと感心します。
アスリートだから努力がメダル、タイムなど結果にかえってくるのが一番だけれど、一読者としてもそれで池江選手が笑顔になることを望むけど、
でもやっぱり、色々なものを背負わずに、好きな水泳を楽しんで!と思います。