【感想・ネタバレ】日本株 黄金の時代が始まるのレビュー

あらすじ

2024年3月4日、日経平均が史上初めて4万円を突破。その背景には旺盛な海外投資家の買いがあった。歴史的な円安のなか、日本企業の確実な成長が見込めると同時に、不安視された「賃上げ」も順調に進み、日本企業の「安定性・将来性」が世界に認知されることになった。また、日本の治安への安心感、また米中対立が続くなかでの「中国パッシング」など、日本に注目が集まる要素がそろっている。
これに加えて、これからは日本人の投資も確実に増えていく。NISA市場が本格的に動き出せば、4万円の株価は単なる通過点に過ぎない。
マーケット取材30年超の日経記者が書き下ろす、日本の強みとは。

●マーケット一筋38年の日経記者が書き下ろす、歴史的展開とこれから
本書は、証券記者一筋の著者が語る、株式市場のヒストリカルな記録でもある。
著者が入社した1985年に、日経平均は1万2000円台だったが、3万9000円近くまで大きく上がり、7000円まで大きく下がった。そこから4万円まで、また大きく上がったのだ。ここまでの「V字回復」は、著者にも想像できなかった世界だ。
失われた30年から、いかに日本は復活したのか。また、この先はどうなるのか。
最後の章の5人の識者インタビューも本書の見どころ。

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Posted by ブクログ

本書によると、複数の理由で日本の株価が上がってきた。一つは、海外投資家の回帰(バフェット効果)だ。2023年5月、ウォーレン・バフェットが日本の商社株を大量に買い増したことがきっかけで、海外投資家の注目が日本株に集まった。

次に、東証による企業改革の圧力。2023年3月、東証が企業に「資本コストや株価を意識した経営」を求める指針を発表。2024年1月からは、改善状況を毎月公表する制度を開始し、企業に本格的な改革を促した。企業の資本効率(ROE、PBR)を高める意識が急速に高まり、経営スタンスが株主重視へと変化した。

それともう一点大きな理由は、過去最高の自社株買いだ。自社株買いが急増し、2023年は9.6兆円、2024年はさらに記録を更新。三菱商事、キヤノン、ENEOS、野村HDなど大企業も続々と。自社株買いは「株主還元」と「株価上昇」を同時に狙える戦略として投資家に好まれるとのこと。

株式分割によって、購買単価が安くなり、個人投資家を取り込んだことも影響している。それと、新NISAとの相乗効果があった。

ただ、これだけ好材料を出し切ってしまうと、そこからは下がるリスクの方が高まるのではないかと思ってしまうが。特に外国株に流れた分も多いようだが、NISAのような制度や自社株買い、東証指導(かつての伊藤レポート)などは単純に貯蓄より投資に民間の資金を誘導する施策であり、見え見えの株高誘導に繋がったと思うが。

で、米国経済の減速やトランプ関税リスク、円高転換、企業改革の限界、政権リスクなど。故森永氏の暴落予想も頭をよぎる。本書自体は、株に疎い私にとっては面白く、興味深く読んだ。

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2025年07月25日

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