あらすじ
ロボット博物館への校外学習で同じ行動班になった、安藤悠真、長谷川湊、清水陽菜、市川咲希の四人の中学一年生。その博物館には、「美しすぎる」アンドロイドの気象予報士が展示されていた。その日の体験をきっかけに、それぞれがロボットと人間の違いを考える。完璧な美しさや強さを持つロボット、やさしい言葉をかけてくれるロボット、いつまでも死なないロボット……。それでも、ロボットにはない自分だけの心を確かめ、他者と触れ合い、距離感に悩みつつも、気持ちがつながる瞬間を大事に、新しい自分を作っていく――。不思議な縁でつながった、性格や家庭環境の異なる男女四人。彼らの中学一年から三年までの三年間をそれぞれの視点から描いた、現代社会に生きるさまざまな子どもたちの姿を切り取る著者による、中学生たちの日常(いま)の群像劇。
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Posted by ブクログ
自分と重なるものがあって、夜中泣きながら3時間ほどかけて読み終えた。
アンドロイドの話が盛り上がったというのは 物語のきっかけとしては小さいかなと思ってしまったけれど、そういうちょっとした不思議な縁って確かにあるよなーと中学生活を思い出した。
4人それぞれが私と似た想いを持っていたので、辛いよなー が半分、でもなんだか嬉しいのが半分(ひとりじゃないと思えたからかな)。
寄り添い合える小説に出会えて嬉しい。
私も少しずつ前に進みたい。
Posted by ブクログ
でもやっぱり人間がいいじゃん?
安藤悠真、清水陽奈、長谷川湊、市川咲希は校外学習で同じ班になった。普段の学校生活ではほぼ交わりがない。なんとなく、気が乗らない人との交流。しかし見学したアンドロイドとそこで生じた疑問「不気味の谷」について悠真が説明したことで、4人は束の間だが心を開いて交流できた。そして、月日は巡り——。
アンドロイドがどうこうするSFではなく、中学生の日常的な人間関係と成長を描いた穏やかな物語だった。難しいこともあるけど、アンドロイドのようにわかりきったことだけ答えてくれるのではなく、表面的な関わりだけでなく、悩みながらもがきながら、自分を見つめていける関係を持てるといい。
アンドロイドは変わらない、でも人は変わっていく。アンドロイドはなんでもできる、でも人が好きだからこそ伸ばしていこうとする力に魅力がある。そんなことを思う素敵な物語だった。