あらすじ
子爵令息ジェレミーは王宮で迷子になり、泣いていたところを第二王子アルヴェルに助けられる。
――それから10年後。
互いに一目惚れしたふたりの間には正式に婚約が結ばれた。
しかし、アルヴェルの母の実家への婚約報告もかねて離宮を訪れたふたりを待っていたのは、アルヴェルを旗印にした謀反の企てがあるという急報で……。
知らせを受けたアルヴェルは企てを阻止するために遠くへと旅立ってしまう。
「必ず帰ってくる。だから待っていてくれ、ジェレミー」
そう言い残して。
彼を追いかけようとしたジェレミー。しかし転んだ拍子に前世の記憶が甦った彼は、自分がいるのが前世で見たアニメ『蒼き星の彼方』の世界であり、このまま離宮にいると自分は襲撃されて死んでしまうということを思い出す。
自らの命を守るため一人逃げ出したジェレミーと、彼を探し続けるアルヴェル。
すれ違ったふたりの運命のゆくえは――?
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コミカルな逃亡とシリアスな追跡
前世のアニメ世界に転生したことに気づいた主人公ジェレミーが、このままでは物語通りに殺されてしまうのでとりあえず逃げることにしたのですが...という物語。
異世界転生BLでよくある設定という印象でしたが、ジェレミー逃亡中の物語は一転してまるっきりラノベの異世界もののよう。魔法チートが楽しいです。
少しドジっ子属性があるようで、ジェレミー視点の物語はどこかコミカル。一方で婚約者のアルヴェル視点の物語はとんでもなくシリアス。そのギャップが笑いを誘います。もちろんアルヴェルの身になれば笑い事ではないのですが。
ジェレミーがほのほのと旅をして様々な人々(恋人候補含む)と交流している間も、アルヴェルは必死でジェレミーを探し続けています。その噂を聞いて更に逃げようとするジェレミーに『何でだよ。とりあえず一度戻ってやれよ。』と突っ込んだのは私だけじゃないはず(多分)。
お約束のハッピーエンドには読者としては気になるところだった『アニメの主人公』のその後も語られています。
なるほど、こういう『強制力』もありですね。
面白かったです。