あらすじ
「写生は多くモルヒネを飲みて後やる者と思へ」.子規の絵は味わいある描きぶりの奥に気魄が宿る.子規にとって絵を描くことは病床の慰めや楽しみ以上の,生きるよすがであった.最晩年の三か月に描き,『果物帖』『草花帖』『玩具帖』と題してまとめられた画帖をオールカラーで収録.漱石,鼠骨ら,子規の絵をめぐる文章を併載する.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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Posted by ブクログ
正岡子規が病床で描いたスケッチと、その背景を書いた文章を載せる。スケッチは「果物帖」「草花帖」「玩具帖」と名付けられ、それぞれ果物、花、おもちゃを描く。
病床で苦しんでいる子規を見舞った友人の画家である中村不折が絵の具と紙を贈り、それにモルヒネで痛みがやわらいだ間に子規が寝ながら絵を描いたという。どの絵にも、この世の最後に見るものかも知れないという気迫がこもっている。「果物帖」には、バナナやパイナップルの絵があり、明治35年には巷に流通していたのかと思うと驚く。最後の絵は「玩具帖」の「魚釣り人形」で日付は9月2日。この17日後、9月19日に子規は没した。