【感想・ネタバレ】種村季弘コレクション 驚異の函のレビュー

あらすじ

世界のからくりや不思議を語らせたら随一、教え子であり本書編者でもある諏訪哲史をして「日本の人文科学が世界に誇るべき“知の無限迷宮”の怪人」と言わしめた種村季弘―本書はその博覧強記のエッセンスをぎゅっと詰め込んだアンソロジーだ。ヨーロッパ各地に伝わる吸血鬼伝説を渉猟した「吸血鬼幻想」、自動人形論の金字塔「少女人形フランシーヌ」、ぺてん師研究の白眉「ケペニックの大尉」、怪物誕生を神話の源泉に探る著者畢生の名作「怪物の作り方」などの代表作はもちろん、著者の素顔が透けて見える自伝的随想・講演・読書論・対談まで網羅。没後20年、インチキと不寛容に満ちた現代に放つ文庫オリジナル。

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Posted by ブクログ

大変恥ずかしながら、著者のことを全く存じ上げておりませんでしたが、強く感銘を受け、感服致しました。
これほどの読書体験は中々味わったことがございません。博覧強記とはまさにこのことでないでしょうか。
主流とは反対のもの、マニエリスムを鋭く追究してきた姿勢から放たれる氏の知識量を測れる人間はもうこの世には残っていないのではないか。
今年2024年で没後20年だそうだが、時間をかけて氏の偉業を追っていこうと思う。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

諏訪哲史さんによる、種村季弘入門として編まれたコレクション。ほぼどれも読んだことのある文章ではあったけれど、諏訪さんが並べた順番で読んでいくと、生前の種村さんがどのように生きて、どのように学問と芸術を吸収して自身の世界を構築していったか、追体験する感じを味わえた。種村流読書論であり人生論である『落魄の読書人生』も面白いけれど、はやくに失うことになる母から幼少期寝しなに語られた昔話を回想しつつ、やがて母を操る父の影に気づき母に裏切りを感じることによって書物の扉を開いていく『文字以前の世界』にはハッとさせられた。本を手に取ることは、親への反逆でもある。

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2024年02月20日

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