あらすじ
旅から帰ってきた竜晴たちに、平穏な日々が戻る。ある日、小烏神社に小ぎんという少女が現れ、行方不明の姉を捜して欲しいと訴える。姉が大切にしていたという人形を見た竜晴は、「持ち主はもう生きていないだろう」と伝えるが。同じ頃、江戸の町では男が失踪する事件が頻発し、その現場には幽霊草の花が咲くと噂が立つ。人気シリーズ第九弾!
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Posted by ブクログ
小烏神社奇譚シリーズ第9作。
これほど長いシリーズになるとは思わなかったが、まだまだ続きそう。
タイムトラベルから帰ってきた竜晴一行を待ち受けていたのは、かつて大奥の女中・お駒に取り憑いて騒動を起こした妖狐。
長らく行方不明のままの姉を探して欲しいと頼んできた少女・小ぎんもなんだか様子がおかしいし、その後次々と男たちが行方知れずになる事件が起きたり、玉水が妖狐に一時取り憑かれたり、伊勢貞衡の屋敷に妖しい女中が現れたり。
再び将軍・家光が襲われるのか。
小ぎんという名前から妖狐の側なのかと思っていたが、思っていない正体だった。彼女のお付きの一助にもこんな切ない事情があったとは。
今回は竜晴や小烏丸・抜丸コンビらの活躍よりも玉水と一助の頑張りが目立った。また最初のうさん臭さからは思ってもみなかった小ぎんの結末は、レギュラーメンバーたちへも強い印象を残したようだ。
個人的には竜晴と泰山の友情がこれまでと違うゾーンに入った感じで興味深い。
これまでは人間臭さとは一線を画していた(付喪神に育てられてきたので当り前)竜晴が少しずつ周囲への気遣いを見せたり、泰山が竜晴に怒ったり、でもまた信頼を取り戻したり、小烏丸・抜丸コンビが橋渡しをしたりといい感じでチームになってきているのが嬉しい。
書き漏れたが、泰山が前作に引き続き竜晴の術で付喪神の言葉が分かるようになっているので、アサマや獅子王、おいちとも言葉を交わせるのも嬉しい。
また玉水が調子はずれなところは相変わらずだが、心身ともにちょっと成長したようで、今後も楽しみ。
だがこちらもジェンダーフリー? 可愛いから良いけど。
ちなみにタイトルの「幽霊草」は銀竜草のこと。腐生植物らしい。
シリーズ一覧
※全てレビュー投稿あり
①「弟切草」
②「梅雨葵」
③「蛇含草」
④「狐の眉刷毛」
⑤「猫戯らし」
⑥「吾亦紅」
⑦「梔子の木」
⑧「龍の髭」
⑨「幽霊草」