あらすじ
その神は、犯人だけを言い当てる。
「犯人の名前は羽柴理沙。年齢は二十三歳。職業は――」
全国の殺人事件・行方不明者などのビッグデータを“喰らい”、未解決殺人事件の犯人の名前を告げる神・シラツカサナギ。
一見便利に見えるサナギだが、大きな欠点があった。犯行の“過程”がわからないのだ。そのため神が告げた穴だらけのヒントをもとに、欠けてしまった真実のピースを補い容疑者の有罪を立証する「カミガカリ」と呼ばれる者たちが秘密裏に組織され――。
デジタルデータで繋がれた、神と人との二人三脚での探偵行為。第1回「AIのべりすと文学賞」小学館賞受賞作。神がフーダニットを、人間がハウダニットを担当する新感覚ミステリー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
他の神様を主体にした話が出て欲しい気持ち。
神様の消化不良はなかなか興味深い。
最初の犯人の羽柴理沙さんは最初凄く運が悪かったですね。災難。
けどそこで警察に行っていいたらと思わないでもない。
黒岩幸三郎教授の方がハーフだったんですね。
全体的に黒っぽいで勝手に日本人だと思ってた。
霧島さん良い人っぽいけど癖が強いと言いますか。
生半可な気持ちで敵対出来ませんよね。する必要も無いだろうけど。
神様と依存関係。
必要な関係で嫌ではなくて家族みたいな。
いや、本当に閉じ込められてあげてますね。
Posted by ブクログ
全国の殺人事件・行方不明者などのビッグデータを「喰らい」、未解決殺人事件の犯人の名前を告げる神・シラツカサナギ。一見便利に見えるサナギの能力には、大きな欠点がある。それは犯行の「過程」が分からない事。
その為、神が告げた犯人と被害者の情報をもとに容疑者の有罪を立証する「カミガカリ」と呼ばれる者たちが秘密裏に組織され、捜査に当たっていた。
神が告げた犯人の情報をもとに、容疑者の有罪を立証する秘密組織の話……というと、ファンタジー味のある倒叙ミステリっぽいのですが、この小説の面白い所は、その「神のお告げ」の部分を小説生成AIであるAIのべりすとで執筆されている所です。
AIが描いた犯人像・被害者像をもとに、それに合わせて解決部分を執筆するという、珍しい手法を使って書かれています。
この「AIが描く犯人・被害者像」がなかなか曲者で、何かちょっと記述がおかしくない? や、この説明犯人と被害者逆じゃない? と思うような部分にもきちんと辻褄をあわせて物語として成り立つようにしているのが面白い。
AIを使用した作品というのは色々言われることもありますが、個人的にはこういう使い方は実験的で好きです。
「神」と「デジタルデータ」という取り合わせも、真逆のようで何だか馴染んでる。全知の存在というのは、ある意味ビッグデータのようなものなのかもしれない。
キャラ文芸の雰囲気もあり、登場人物たちも個性豊か。正直この1冊の読み切りに出すだけではもったいないなと思うので、続編なんかがあったら是非読んでみたいです。
神様もサナギの他に何柱もいるようなので、別の神様の話も読んでみたいな。