あらすじ
いま大注目の縄文時代。
大人気の国史啓蒙家のねずさんこと小名木善行氏が教科書ではわからない超古代史をひも解いていきます。
日本が世界の中心であることは、縄文文明から見ればまぎれもないことです。
そして、日本人が本当の力に目覚めると、世界をよきほうへ導いていけます。
今、世界は、人々の一隅を照らす力によって、激変していくのです。
【主な内容】
はじめに―――世界で最も古い文化文明を持った国・日本
序章 発想が違う日本人と縄文の世界
労働と出産は神の罰の西洋
苦しみをよろこびに変えるのが日本人の発想
世界の「初期条件」は日本が変える
第1章 封印の縄文を解く・日本人の覚醒
世界最先端だった「縄文文明」
黒曜石が拓く文明の夜明け
天変地異との共存が生んだ智慧
第2章 真実の世界史・世界の中の日本
日本は天国の場所にある
世界地図を一変させたモンゴル帝国
ジンギスカンの謎
「大切なものは隠す」日本文化の神髄
第3章 日本が目指した理想の世界
文明は海洋からはじまった
世界各地へ進出した縄文人
世界を巡った古代日本人
3・5万年争わなかった平和な民族
第4章 戦争のない時代・見えない世界とのつながり
生者と死者の親密な関係
日本に通底する7つの思想
天皇が国民を守る「四方拝」
神々と国民を「女性」がつなぐ世界
多数決型民主主義vs.結界型民主主義
終章 人々の「一隅を照らす」力が世界を激変させる
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Posted by ブクログ
P202〜P204
◇明察功過
聖徳太子の十七条憲法の第十一条
徳川吉宗の享保20年間、江戸の牢屋に入れられた囚人の数は0人。未然に防ぐことに一生懸命働いた人々の成果。
火事の消火に駆けつけるめぐみはたしかにヒーローだけれど、本当に望ましいのは、そもそも火事も被害も起きないこと。だからこそ、日頃から起こりうる懸念を見越し、人々に周知徹底してもらうことで、未然に災いを防いでいました。
日頃の私たちにも身に覚えがあるように、そうした細やかな気遣いを求める人や、その言動というものは、どうしても煩わしく思えてしまうため、うるさがられてしまうものです。そして、「それでもいい」と、それでも人々の不幸を未然に防ぐために誠実な人がいたからこそ、享保20年間の高い治安は守られました。
戦後のGHQによる神話否定が始まるその日まで、日本人は、ありとあらゆる時代において、和歌を愛しました。なぜなら、和歌こそは、一番に言いたいことを、言うべきことをあえて言わず、それを察する文化だからです。ですから和歌を読むことは「明察功過」を学ぶよき教訓となりました。だからこそわかは「あらゆる日本文化の原点」と言われているのです。
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この内容が一番感動しました。
グアム島ラインや、縄文人が海を渡ってさまざまな歴史を残してきた証拠など、興味深いことは他にも尽きぬことなくたくさんあって、その中でもこの内容は特に胸を打たれました。
私のお気に入りの図書の中に、
本居宣長『もののあはれ』と『日本』の発見/先崎彰容
があります。あちらにおいては、政治的・道徳的・教養的な価値とは後付けで勝手についたものであり、無理強いして見出さなくてもよいと言われていました。歌いたいから歌う。書きたいから書く。詩も言葉も、本来ただそこにあるだけに過ぎないと。
一方、本居さん自身が研究していた物語のひとつ、源氏物語の作者・紫式部さんは、そのあるがままを認めたうえで、大切なことを教えてくれました。「絵空事(フィクション)でありますからこそ、己の体験から得る、喜びや悲しみ、それらから距離を置き、素直な気持ちで学ぶこともできるのではないでしょうか」___と。
全く両方ともその通りだと思います。
ゆえに、紫式部さんも本居宣長さんも、心を尽くして生涯続けた和歌には、大変に豊かな教養と、ただ感じるだけで良いという、とても穏やかで、そしてときには儚い想いを包み込んだ、生きるために大切なことが宿っていると信じております。
自分がこの世を去るとき、何を想い、何を歌うのか。まだ全くそれは見えませんが、少なくとも、生まれ、体験させてくれた全ての奇蹟に感謝して、そこから湧き出る想いを、于多-うた-にしようと思います。