あらすじ
娘の死を写した
一枚の写真に隠された謎に迫る
衝撃のミステリー小説
親友千景の誘いで奥会津を訪れた鍛冶内は、千景の結婚相手である美少女乙音と出会う。
美しい上に性格のいい乙音にすっかり魅了された鍛冶内だったが、
千景は彼女がいないところで意外な話をする。
それは先日湯船で溺死したのが本当は乙音で、
自分が結婚したのは乙音とは双子の間柄だった汐里ではないかというのだ。
汐里は千景との過去のいきさつが原因で性格がねじまがってしまっていたが、
唇下のホクロ以外見分ける術がない。そして溺死した全裸の娘を撮影した
絶美な写真「奥会津の人魚姫」のフレームを鍛冶内の前で露わにする。
ステージ4のガンに冒され、死期が近い千景の命を掛けた頼みを受けた、
鍛冶内による愛憎を巡る謎解きが始まった。
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Posted by ブクログ
友達に、陶芸家で本も書いてる人がいる、
と本を貸してもらって読んだ。
浴槽で亡くなった汐里は、実は双子の乙音だったのではないかと千景が疑って、友人の鍛冶内が調べるという物語。
でもこれはミステリーというよりもファンタジーだなあと思った。
表紙のペンダント。おそらく写真を入れるもので、麦わら帽子の少女が描かれているが、マンガっぽい。これならシルエットとかのほうが良かったと個人的には思った。
ヒロインの乙音たちが「おじさま」と呼ぶのが、映画の寅さんに出てくる泉ちゃんみたいで、(泉ちゃんはおじちゃまだったかな)
乙音たちのイメージが泉ちゃんになってしまった。(美女なんで問題ない)
話し方も、田舎の娘にしてはお嬢様っぽくて、これいつの時代だ?と思った。
あと、千景を「ちいちゃん」と呼ぶのは、
加藤茶さんの奥さんが「ちいたん」と呼ぶのをイメージしてしまった。
旅館の女将さんと結婚したとかは、なんとなく雪女をイメージしてしまった。
女将さんが亡くなったとき、乙音と汐里は10歳。従業員がいるような感じはしないのに、
千景はどうやって旅館の経営を続けたのかなと思ったし、乙音たちが料理をどうやって覚えたのか、調理師免許や営業許可や、いろんなことはどうしたんだ。。。などと思った。
冒頭、鍛冶内が初めて乙音に会った時、乙音は妊婦で、鍛冶内は乙音の存在さえ知らなかったのに「もう女の子だってわかってるんだね」と言った。
え?いつそんなこと言った?と読み返したけど書いてなかった。
汐里の勤務先で、教えたことを覚えてない、記憶が飛ぶって話しを聞いた鍛冶内。
これって双子が入れ替わってるんだろうな、
ほんとはホクロなんてないんだろうな、
と思って読んでたら、そのとおりだった。
多額の保険金がかけてあったり、睡眠薬飲んで浴槽で溺死ってのは、事故としたら怪しいけど、覚悟の自殺ならおかしくない。
鍛冶内と牧乃のことは、仕事で別居してたら片方に恋人が出来て離婚したってだけなので、まあ、よくある話だなって思った。
あえて挿入する必要があったのかどうか。。。鍛冶内の人物像を描きたかったんだろうけど、かえってボンヤリしたなあと思った。「人魚」っていうワードを入れ込みたいだけに思った。
いちど義理の娘になった人とは、その後に結婚出来ないんだ! 知らなかった。
ということは、乙音は独身のままで、生まれた詩織は父親不詳になるんだね。生まれる前に千景は亡くなったので認知も出来ないもんな。
そんな状況でなにも対策してないって、どういうこと? ひどいじゃん千景。
浴槽に沈む汐里を撮った大切な写真「奥会津の人魚姫」を、駅のコインロッカーに入れてたのには驚いた。たまたま千景が10日ぐらいで亡くなったけど、もっと先だったらどうすんの。コインロッカーなんて3日もたつと回収されちゃうのに。
ミステリーって、あちこちに散りばめられた違和感みたいなものが、何かにつながっていて、謎解きの一端になるものだと思うけど、
これはそうではなく、違和感は違和感でそのままになる。
双子の神秘性みたいなものを描いたファンタジーだと思えば、みーんなひっくるめてファンタジーならば、そんなあれこれも納得できると思った。山あいの町の、伝説みたいな物語だと思った。ある意味、悲恋なのかな。
Posted by ブクログ
先日福島に帰ったときに本屋で見つけて即購入。会津のことは全然わからないけど、それでも楽しめた作品。会津の自然豊かな描写に癒やされた。
友人の妻である双子のかたわれをめぐる謎解きで、途中双子の行動に予想がつくところがあり(実際予想は当たった)、全体として読みやすかった。ただ登場人物の口調が終始昭和〜平成初期を感じさせる(二十歳の娘が「おじさま」呼びをしたり「ヒッキーでプー」と自称したりする)くせにタブレット端末が出てくるので、慣れるのに時間がかかった印象。ここは作者の若い頃の感覚が強いのかもなあ……。
ともあれ会津はいいとこ、馬刺し(作中には出てこない)食べに行きたくなった、只見線(こっちは頻繁に出てくる)撮りたくなった。