【感想・ネタバレ】ジンが願いをかなえてくれないのレビュー

あらすじ

初香は契約すれば3つの願いをかなえてくれるというランプの魔人“ジン”と出会い、高校一の美少女・マリカと入れ替わりたいと願うが(「ジンが願いをかなえてくれない」) 四十三歳の誕生日を実家の部屋で中学からの仲間と過ごしたケンゾー。罰ゲームで「渋谷駅前で目隠しフリーハグ」をすることになったケンゾーは(「子供部屋おじさんはハグがしたい) スポットライトが当たらなくても、私たちの人生だって唯一無二!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙の絵に惹かれて何気なく手に取ったのだけれど、すっごい良かった!
どれも変化に富んでいて、無理なく納得のいく展開で、そして明るく希望のある終わり。ほっこりする。
作者の作品初めて読んだが、こんな人がいるなんて知らなくて驚いた。
青山美智子作品が好きな人にはオススメしたい。
yudouhu氏の装画はものすごく良いのだが、逆にこの装画とタイトルで敬遠される場合もあるのかもしれない。私はここに惹かれたが。

1.ジンが願いをかなえてくれない
初香はマリカと入れ替わり、戻り、マリカの体の傷は消えた。そしてジンは人間に。最後の文にズキュン。打ち砕かれた。
「せめて手ぐらい繋いだっていいじゃん、と思うのに、ジンは願いをかなえてくれない。」

2.子供部屋おじさんはハグがしたい
最初の文、てっきりケンゾーは既婚者だと思ったら空想だった、というのはわかりにくかった。公園で若者たちにダンス見せるシーンは最高。ケンゾーが変わっていくのが嬉しい。最後にコハルに負けてしまうけど、ハグされたっぽい終わり方が良い。

3.屋上からは飛ぶしかない
最後にまさか久美だけ跳ぶとは思わなかった。
スーツ君は結局最後まで名無し。

4.ユキはひそかにときめきたい
夫のリュウイチも同じ薬を手に入れていることは想像できた。しかし、ユキの20年前の姿を設定しているというのは想定外。圧倒されて、固まった。
すっごい良い話に思えた。

5.妻への言葉が見つからない
妻へ感謝を伝えたことのない老人が、事故で妻子を失った男からラブレターの書き方を教わる話。
悲しい話だが、清々しい。

6.パパは野球が下手すぎる
パパ透がプロ野球選手だったのは想像できたが、経緯は想像を上回った。マンガ「メジャー」や、日大アメフト事件を思い出した。親子3代それぞれの気持ちが伝わってきて、とても心地よい。まとまっていて良い話。

0
2025年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い話だらけで、共感できる話も多い。

ジンが願いをかなえてくれない
→ジンは最終的に彼氏かなんかの比喩話かと思いながら読み始めてみれば、本当に魔人だった。そして良い人。
子供部屋おじさんはハグがしたい
→ダンスゲームに取り組む子供部屋おじさん。真剣に取り組むうちに、色んな人と関わったり容姿も変わったりいつの間にか捻くれた性格も改善が。1番共感し、1番好きな話。
屋上からは跳ぶしかない
→ビルからビルへ。人間関係で距離を感じても、ちょっと歩み寄れば意外と大したことないものである。言葉を交わして仲良くはなるが、この話の中で下手に2人がくっつかないのが良かった。
ユキはひそかにときめきたい
→ときめき!欲しい!
妻への言葉が見つからない
→感動系。恋人や死者に対してでなくても、現状報告でもなんでも、手紙を書くこと自体で自身の心の整理ができそう。
パパは野球が下手すぎる
→なぜパパはキャッチボールを嫌がるのか。この話だけは野球やスポーツはそんなに好きじゃないのもあり共感は微妙だったが、話として悪くなかった。

人にすすめたくなる1冊になった。

0
2025年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色んな要素の詰まった短編集。

読みやすい。
『屋上からは跳ぶしかない』
平凡にだけどなんとなく生きてきた派遣の女性が会社のビルの屋上で¥に行ったことがきっかけで、ブラック会社のスーツ君と出会い、ビルとか人間関係とかを跳びだすお話。
『妻への言葉が見つからない』
妻娘を事故で亡くしてしまい、生きる屍と化していた文章通信添削の男性が、ある老人の妻への手紙の添削仕事をきっかけに、もう一度生きてみようとするお話。

が好きだった。
正直、ストーリーとしては、特段目新しいわけではないけど、、、
一つ一つが、優しい気持ちになる。
ただ、短編特有?のハラハラとかモヤモヤとかドキドキとかが少ないかなぁなんて。
展開が予想の範囲内で物足りない感じ。
登場人物に感情移入するには尺が足りてなくて、ストーリー追うだけで終わっちゃう。

表題作『ジンが願いをかなえてくれない』のジンと彼女との距離感とか、『妻~』の先生と老人のチャットのやり取りとか、もう少し盛らないと唐突過ぎて、入り込めなかったのが残念。

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2025年03月05日

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