【感想・ネタバレ】リーマンの牢獄のレビュー

あらすじ

■これはノンフィクションです──2024年最大の問題作、ついに刊行!
371億円を詐取し、獄中14年。逃亡を指示した「共犯者」は忽然と姿を消した──。

無名のサラリーマンの人生を狂わせた「バブル」とは何だったのか? リーマン・ショック64兆円破綻のトリガーを引いた男、衝撃の手記。

文化勲章受章者・岩井克人氏推薦! 怒濤の442ページ

■男の人生は、バブル経済の通史であり、裏面史でもある

替え玉警官 海外逃亡 買春地獄 持ち逃げした共犯者 苛烈な獄中生活…マネーゲームの狂奔を描く昂奮ノンフィクション!

待っていた黒崎氏から僕が言われたのは〈ダブルベッドの上に帯封のついた現金5億円の札束を山積みにしてください〉という指示でした。黒崎氏が買ってきた黄色い箱に入った輪ゴムで、100万円を一つ一つ束ね直していく作業を3人で始めました──。(本文より)

■経済学者・岩井克人氏 推薦のことば

ある大商社の資金保証という虚構を種として、リーマン日本法人から371億円という巨額な出資を引き出すが、その焦げ付きがきっかけとなって、米国リーマン本社が倒産してしまう。全世界を大不況に陥れたあのリーマン・ショックの引き金を期せずして引いてしまった齋藤栄功氏の告白録。

山一証券から始まり、蔵相秘書、都民信金、医療機関、丸紅、メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズなどを次々と巻き込んでいくその活動の軌跡は、闇の女たちや高級車とも交差し、10億円入りのスーツケース、東京地検特捜部、海外逃亡、逮捕、報道カメラのフラッシュ、拘置所、裁判へと一気に降下し、14年にもわたる牢獄生活に至ってしまう。

80年代のバブルの狂乱からその崩壊を経て、失われた30年に入ってしまう日本経済。マクロの視点からは繰り返し語られてきたこの現代経済史を、ミクロの視点から小説のように語ってくれるこの告白録を読むことは、金融とは何かを改めて考えることにもなる。金融とは実体経済上に積み重ねられた精緻な仕組みであるが、その仕組みを実体経済に繋ぎ留めておくためには、たった一切れでも良いから、その中で活動している個人の倫理性が不可欠であるということを。

──岩井克人(経済学者 神奈川大学特別招聘教授、東京大学名誉教授)

■本書の内容
第1章 原点は山一證券
第2章 大洪水のあと
第3章 カネは蜜の味
第4章 「丸紅案件」の魔物
第5章 破局の足音
第6章 コンゲーム
第7章 海外逃亡
第8章 檻の中の蛙
第9章 われ深き淵より
エピローグ クロサギとのこと

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Posted by ブクログ

金融詐欺事件当事者の独白 経済犯罪の初犯ながら懲役15年と殺人犯並みの量刑
①371億円という巨額事件
②金の使途を完全黙秘
裁判官の心証を害し、詐欺の最高刑懲役10年とインサイダー取引の併合罪で1.5倍を適用された 被告は受容し、控訴せずに判決確定。数億の金を守るためだったが、受託者は隠匿の雰囲気。何のための15年だったのか?虚しい・・・
人生の価値を最後まで間違えてしまったように思う。本書のメッセージはそれだけ。
ただバブル経済からの社会史とみると色々勉強になる。
医療Financeに丸紅が最終リスク保持者のスキーム、「No Risk」で「バブル化」
リーマン・ゴールドマンが絡むとあっという間に数億円、数十億円と規模が巨大化
「金融」膨張のエネルギーと瓦解の怖さ
現代の「AIバブル」にも通じるものがある。「新たなAI世界」を創り出せるのか、1度足踏みで「破裂」の機会を必要とするのか、誰も分からない。
ただ$基軸通貨の米国覇権体制を根底から揺るがすことは間違いないだろうが、今すぐ、その代案が用意されているとも思えない。
尊敬する岩井克人先生が推薦の言葉を寄せている。作中でも先生の理論・Text「経済学の宇宙」を紹介。なかなか不思議な大作本だが、一気に読める。
監修を「阿部重夫」氏 日経出身-2006年4月に調査報道を主眼とする月刊誌FACTAを創刊 この方も超著名人

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

リーマンショック当時まだ中学生であり背景等もあまりわかっていなかったため、勉強の意味も込めて手に取った1冊。

サブプライムローン問題はもちろんだが、それ以外にもリーマンショックのトリガーとなりうるような事案があったことは驚きであった。

自分の目で見えている世界には、まだ見えてないものがたくさんあることを感じた1冊。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ある時テレビを見てると著者が情報番組の特集か何かでインタビューされているのを観てこの本を知った。すぐ読みたくなり買った。もちろんリーマンショックは知っている。しかしまさかそのリーマンブラザーズの破綻の引き金となっていたのが日本人でそれがしかも詐欺だったなんて知らなかった。著者は元々はただのサラリーマン。その山一證券時代のひどい日常は、今となっては信じられないようなことばかりで、なんちゅうー会社や?ってかんじ。。
著者がいつのまにかマネーゲームに巻き込まれていくさまは、読んでいてまさしくあれよあれよという間にという感じ。逃亡生活を描く途中で知っている会社名が出てきてびっくりした。本書の特徴はこんな風にできる限り実名が使われてるところだと思う、それがまた生々しさを増長させてる。
なんか映画化されそうな匂いがする。

著者は間違いなく詐欺の、加害者なのだが、しかし一つわからないと思いながら読んでたことが、著者が主張するようにほんとうに被害者でもあるのかということ。最後から二行目の文「この理不尽、野放しでいいのか。」を読んでますますわからなくなった。。。
でも「時代」の被害者であることは間違いないかもしれない。。

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2024年07月07日

Posted by ブクログ

サンジャポでリーマンショックの引き金を引いた男としてインタビューされていたので即ポチ。
『オマエだったんかい』という怒りにも似た感情、でも一見詐欺師には見えないその風貌から、この男がどんな風にあの世界金融不安の引き金を引いたのか…に興味をそそられ一気読み。
政治、医療改革、金…
色んなことが連鎖し、著者もその先頭を走り、受刑者となり今に至るのかと。
正直この能力は本当に日本の経済、構造改革に使われるべきだと思ったし、これから第二の人生で何かしらの改革をやって欲しいとさえ思えた。
重厚な映画を見た後のような感慨に浸る。
面白かった。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

私が20代前半で何も考えていなかったリーマンショック時代にこんなで事があったのかと勉強になった。自分にとって遠い世界の話だが、似たような投資家達は紙一重で生きている人も多いのかも。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

2008年に巨額金融詐欺の主犯として逮捕され、14年間収監された本人による手記。当時の椅子取りゲーム、ババ抜きとも言うべき金融バブルの虚しさ、欲に群がる人間の恐ろしさを感じる。「リーマンショックのトリガーを引いた男の手記」というのが本作の謳い文句だが、これは盛り過ぎ。少なからず影響は有ったのだろうが、風が吹けば桶屋が儲かる的なものだろう。金融工学を駆使した難解な投資スキームが語られるが、実態は自転車操業の分かりやすい詐欺。著者は格好の良い事や被害者意識の言説を述べているが、正に詐欺師の弁舌はこういうものなんだろうと感じた。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

自分の就職活動時代から、マーケットに身を置くようになった2000年代初頭、その後のリーマンショック、、、、
懐かしく読ませてもらった。

すべてのスキームや商品に触れたことがあり、臨場感はそれなりにあったが、もう少し、スピーディーに書けたのでは?と思うくらい、冗長な部分もあった。

著者は不倫相手に会社を持たせて救ってあげたり、車の話とか、山一時代の復習とか、いろいろカッコいいこと言ってるけど、結局は、偽造された丸紅の債務保証書を元にした投資商品詐欺。。。


欲望は無限
無限とは一つの欠陥であり、完全ではなく限界の欠如である

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

バブル経済の通史、裏面史というよりは、ただの詐欺師。
丸紅の保証が嘘だとわからないわけないし、金の使い方がひどい。
著者に誠意が感じられないので、読後感はあまりよくない。
【目次】
第1章 原点は山一證券
第2章 大洪水のあと
第3章 カネは蜜の味
第4章 「丸紅案件」の魔物
第5章 破局の足音
6章 コンゲーム
第7章 海外逃亡
第8章 檻の中の蛙
第9章 われ深き淵より
エピローグ クロサギとのこと

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2024年10月03日

Posted by ブクログ

長い本だった。
扱う金額が大きいと、その手数料も大きいということなのかな。
作り出す価値と、手元に入ってくるお金のバランスが崩れているように感じた。
金融工学とやらで、富を生み出しているということはうっすらと分かったような気もするが、そこから簡単に蛸足配当自転車操業になってしまっているように見えて、価値創造と詐欺行為のミシン目がよく分からなかった。
お金って本当によく分からない。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

経済、金融は難しく、本当の意味は理解できていないと思うが、バブル時特有の勢いとか、活気があって、分からないながらも引きこまれた。
丸紅は昔から良いイメージがなかったが、いまも一等地に建つビルを見ると、なるほどな、と妙に感じる。
時代は変わり、手段は変わって、動画配信サイトで荒稼ぎしているような人たちは同じ種類の人種なのではないかと思う。
事件よりも真実を明らかにする場ではないという、日本の検察、裁判のあり方の方がショックかも。

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2024年07月27日

Posted by ブクログ

前半は読みごたえがあるが、後半になるとここでは語られていない部分があるように感じられ、その反動か、語り口も冗長になり読み続けるのがしんどくなった。

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2024年07月02日

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