あらすじ
茶の湯が成立して間もなくに確立したと思われる「侘数寄」の理念は、その必須の構成要件として、和歌と禅があると、『山上宗二記』などの茶書が説いています。その「侘数寄」の語句は、時間の経過とともに「わび」と「さび」の語句へと変化しますが、いずれも茶の湯の根源的なあり方を示すと考えられます。本書では、このような茶の湯のあり方や理念に関わる語句のいくつかを取り上げ、その根源を探り、ひいては茶の湯の考え方や思想について検討します。そして、茶の湯を通して勇気をもらったり、学ぶ人の生きる支えとなる、その不思議なチカラの源は何なのかを探っていきます。
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Posted by ブクログ
連載をまとめた本なので、項目ごとに短くまとまっていて読みやすい。学生時代からお茶に親しんでいて同時に学者である著者が、茶の湯の持つチカラの根源を探るもの。
まずは芸術論から。続いて茶の湯の根ざす日本文化の特徴。茶の湯の成立要件と要素。谷川徹三の三角錐モデルとは別に遊興、審美、社交、求道、儀礼の円内接五角形モデル。侘数寄とわびさびの検討。常、茶禅一味、和漢の境、一座建立、一期一会、不易流行、和敬清寂といった茶の湯でいつしか当たり前のように使われている概念がどう発生したか文献を辿ったり。
茶の湯を学術的に捉えた時に理解しておくべきこと、知っておくべきことを読みやすく網羅しているように思う。