あらすじ
グローバル化に対応すべく、英語を教授言語とするEMI教育を実施する大学が増えているが、卒業生の中に母語(日本語)の不安を覚える人が現れている。日本語だけでなく様々なことに自信を失い、対人不安や承認の不安を抱えている。本書では卒業生への調査を元に、グローバル人材育成の中身と結果を提示、EMIの実施に一石を投じる。解説では指導教員が、言語習得の臨界期を過ぎた外国語教育に付随する問題を広い視点で論じる。
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大変興味深い本でした
私は趣味の英語学習者です。高齢なので、英語を学び始めた頃はネイティブの音源の入手には高額の教材購入くらいしかなく、今のように何でもネットで聴けるという時代ではありませんでした。
そんな中で、この本で知った今どきの若い人の現状は驚きに満ちていました。
本のベースとなった取材対象の人数は少ないながら、指導教員による解説が本に重み、深みを加えていると感じます。
英語に関わる方、興味のある方、お子様がいて英語教育について考えている方に、ご一読をおすすめしたいです。
星5つは少し悩みましたが、私にはあまりに印象深い本でしたので、やはり5つにしました。
Posted by ブクログ
グローバル化が叫ばれ、大学に出てきた「英語で行う専門科目」(EMI)を受けた学生たちの言語不安をインタビューを通して明らかにしている。いわば、EMIの光と影の影に焦点を当てていて、非常に興味深い。高校までは英語でトップだった学生たちが、帰国子女などを頂点とするヒエラルキーで底辺に置かれることで、自尊心が失われたり、母語である日本語に不安を感じるのは、ある意味で当然のようにも思う。
本書では、あくまで不安の高い卒業生にインタビューをしているので、EMIを通った学生が皆不安を抱えている訳ではないだろう。それでも、底辺に置かれた学生を掬い取るのもまた教育の仕事であるのだから、不安を抱える学生をどうするのか(本書では提案もある)を考えることは大事だろう。