あらすじ
普段、歩いている道ばたに、こんなにもふしぎで面白い世界が広がっている――みちくさ研究家として人気の植物学者が贈る、散歩の途上で出会う草花、街路樹をめぐるエッセイ。足元の雑草や花の香りから季節の移ろいを感じたり、赤く色づく葉っぱを見て切ない気持ちになったり。少しだけ目線をそらしてみると、見慣れた景色の中にもさまざまな発見がある。毎日の散歩が楽しくなる、生命の躍動にあふれたドラマが満載の1冊。◇「パイオニア(開拓者)」と呼ばれる雑草◇なぜ雑草は「強そうに見える」のか◇太宰治、竹久夢二を魅了した外来植物◇なぜ、夏の花は朝に咲くのか◇ヒガンバナがぴったりお彼岸に咲くワケ◇キンモクセイの芳醇な香りは「オスの香り」?◇ツバキが花びらを散らさず「花ごと落ちる」ワケ◇葉っぱが赤く色づく「哀切のメカニズム」◇なぜ、すべての命に限りがあるのか
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Posted by ブクログ
稲垣先生の本は、時折、けったいなギャグと言うか、先生の感情が入っているものがあって、これもそう。可愛い飼い犬の散歩をしながら、道端の雑草について、解説したり、考えたりする。そういう書き方の物よりも、淡々と分かりやすく説明してある物の方が好き。でも、どんな書き方であっても書いてある中身は面白い。
「なぜ夏の花は朝に咲くのか」とか、「雑草が生い茂るのには理由がある」とか、なるほどなーって思う面白い話ばかりでした。
Posted by ブクログ
冒頭の「散歩が好き」の話が最終章の話にてがらりとその色を変えたのに驚かされた。
植物のエッセイを読んでいたはずなのに、最後の最後にファンタジーからのミステリになろうとは。
油断ならない。
雑草学者である作者が犬の散歩中に見かけた雑草やら街路樹やら野花やら何だったら暗渠に至るまで様々な雑学をユーモアたっぷりの語り口で記したエッセイ。
作者を主人と見なさず元気いっぱい引っ張っていく犬も可愛いし、どこか哀愁漂う背中をしていそうな作者の境遇も何だか共感を誘う。
雑草で実験をしたり、大学の先生らしく植物について色々話してくれるが、小難しさは全くなく、とにかく読みやすかった。
また前半はとにかく植物の雑学が面白い!という雰囲気だったのが、後半になるにつれて切なかったり物悲しくなったりする内容も入ってきて、ネタの振り幅の広さにも驚嘆した。
もみじや彼岸花の件は泣けましたもの。
あと地味に金木犀にもオスメスがあって、日本にはオスしかいない、そして挿木で増えたという話に大変驚きました。
え、ソメイヨシノと同じ枠だったのか……(すべてクローン体ということ)
いやあ、楽しみつつ勉強させていただきました。
本当に面白かったので、この方の他の本も読んでみたくなりました。