あらすじ
第二次世界大戦中に原子爆弾を誕生させたオッペンハイマー。計画成功でヒーローとなったが、広島・長崎への原爆投下後、「科学者は罪を知った」とくり返し、「私の手は血で汚れている」と震えた。巨大なエネルギーを得た一方、人類を滅亡させうる最大級の矛盾に彼は直面したのである。後に核の国際管理を構想し水爆開発に反対した彼は、赤狩りの渦中で公職から追放される。「原爆の父」と呼ばれた天才物理学者の生涯を追う。
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Posted by ブクログ
ロスアラモス研究所で原爆開発の責任者だったオッペンハイマー博士の生涯を描く。新書の伝記では生い立ちやその人のなりに焦点を当てるが、本書はそうした部分は最低限で、むしろマンハッタン計画の中身を扱う部分の方が大きい。
米国の原爆開発は、英国の開発計画が端緒であること(共同開発の体を取るが徐々にフェードアウト)、科学者主導であったところから軍に主導権が移ること、 費用や時間は原子炉の製造や放射性物質の分離にもっとも掛かっておりロスアラモスでの原爆実弾の製造は一部のプロセスであること、などは興味深かった。
映画『オッペンハイマー』鑑賞後であれば、あのシーンの話か、と思い出される描写が幾つもあった。