あらすじ
二〇二四年の米大統領選に、トランプが帰ってくる。前回選挙の敗北を受け入れず、司法当局の追及も受ける男に、なぜ国民は再び熱狂するのか。国外から見れば不可解な現象も、支持者の声にじっくりと耳を傾けると、その正体が浮かび上がる。トランプ支持には相応の論理があり、共感を呼ぶものも少なくない。選挙が終わっても国民を分断する価値観の衝突は終わらない。アメリカの「今」を解き明かす第一級レポート。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今となっては既に結果が分かっている2024年11月の米国の大統領選挙を占う同国の分断の実態をレポートしている。日本に住む日本人にはなかなか理解が及ばない「トランプ大統領」への集票の実態を、現地から米住民との接触によって丁寧に解説されている。世界中で起きている分断にやや悲観的になりながらも、著書が最後に示すように会話・対話によって、解決はしなくとも、相手への思いやりを大切にする社会の実現は可能であると思いたい。
Posted by ブクログ
第一期トランプ政権が誕生したときは、とても驚きましたが、トランプ関係の本を読んで、自分の視点がいかに自己に都合よく作られているか知って、脱帽した記憶があります。
つい忘れがちですが、「トランプは原因ではなく症状」ということを噛み締めて、いまの政治を見る必要があります。
Posted by ブクログ
トランプを支持する人たちに取材をして書かれた本。
トランプの決め台詞 「アメリカを再び偉大に」(メイク アメリカ グレート アゲイン MAGA)
MAGAの底流にはエスタブリッシュメント(既成勢力、既得権益層)と呼ばれる政治や金融、メディアといった社会に強い影響力を持つエリートに対する不満や不信感がある。上から目線で自分たちの声に耳を傾けようとしないエリートたちに対するフラストレーションがある。
2016年にトランプを勝利に導いたのは経済的苦境に苦しむ人の怒りというよりは、「地位の低下」に対する危機感だったという。アメリカで比較的「高い地位」にあった集団(白人、キリスト教徒、男性など)は移民や マイノリティの地位向上に伴い、自分たちの地位が脅かされると感じているのだ。
トランプはus VS themという対立を煽る手法を好んで用いる。支持者を結束させるために自分の支持者である 「私たち」と自分たちに反対する「彼ら」の、敵と味方の2つに単純化させ、彼らを悪者として描くことで分断を深めてきた。たとえ政策や実績でトランプと歩調を合わせていても批判に転じた時点で「彼ら」の側に分類され、支持者から「敵」と認知されたということなのだろう。感情が論理やロジックを超える反応を引き出しているように感じられた。
世の中には アイデンティティを強化し、ともすれば対立は煽ろうとする発言や記事、コンテンツが溢れている。情報は時に実態よりも増幅して伝えられる。だからこそ、 まずはそれを理解し、感情的に反応する際には、どの部分のアイデンティティが刺激されているのかを一歩引いて理解するべき。
Posted by ブクログ
著者が保守派の考えやトランプ支持について疑問を感じながらも、彼らの意見を否定することなく理解しようとする姿勢がとても良かった。ただ様々なトランプ支持者に話を聞いているものの、広く浅くのような印象が少しあり、個人的には彼らの考えを理解できるまでにはいたらなかった。もっと特定の保守派の方の生い立ちや支持するに至ったきっかけが具体的に描かれているノンフィクションを期待していたので、それよりはもっとアメリカ全体で問題となっている保守派とリベラル派の争いについて書かれた本といった感じ。
トランプ支持者は決して悪い人たちばかりではないが、ただ盲目的になってしまっているということらしい。とにかく読めば読むほど、思想が違う人たちはそれぞれの色眼鏡で見ているので決して理解し合うことはできない、ということだけが分かる本。それぞれの思想がどうのというより、色眼鏡かけたらもう無理なんだな、という気持ちにさせられた。
Posted by ブクログ
トランプ支持か否か
保守(共和党)かリベラル(民主党)か
田舎か都会か
分断
の裏側をアメリカから描いたNHK記者の新書
トランプ再戦前の本
トランプは原因でなく症状だ というオバマ元大統領の表現は的を射ている
なんにせよ、行きすぎた新自由主義による格差社会とお金の有無で生活スタイルが分かれてしまうことと、SNSアルゴリズムによる同類情報に浴びる助長などが異なるコミュニティの交わりを減らして、分断を助長している気がしてならない…
第二次世界大戦時、鬼畜米英と日本は言い、白人はジャップやイエローモンキーと日本人や黄色人種を蔑んでいたことと同じ。会って話してみればそんなことはないのに…
白か黒かで答えるという難題を突きつけられ…の世界。でもそれを難題とせず割り切ってしか考えられなくなっている危機を感じる。