あらすじ
オーバーツーリズムの観点や、地域への還元、環境への配慮などの面からも注目を集めつつある「ラグジュアリートラベル」。日本政府観光局の調査によると、旅行者数は全体の1%程度にも関わらず、消費額では全体の13%以上を富裕層が費やしており、いかに富裕層を取り込む「ラグジュアリートラベル」を充実させられるかは、日本の観光にとってより重要になりつつある。彼らが求める「体験」を自ら足を運んだ第一人者が解き明かす。
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Posted by ブクログ
ラグジュアリーという贅沢で高級なイメージやその響きに憧れる。それが旅とどう結びつくのか不思議だった。南極の内陸部で何もないことを実感することや、アフリカのサファリで本物の野生動物を見ることや、日本の伝統工芸を体験することなど、本物の体験が富裕層の感動を呼ぶのかなと思った。
Posted by ブクログ
日本ではなく「世界の」富裕層は?という疑問。
そこには想像を超える世界があった。特にアフリカのブッシュを切り開いた、まさに自然の中のホテル。朝夕にオープンエアの車で野生を堪能。世界の富裕層は「コンフォートゾーン(安全で快適)」の外側に踏み出している。「人生で一度の体験」「スリル」を求めて。
対して日本人の求めるラグジュアリーは温泉と豪華な食事。これも素敵ではあるが外国人にはあまり受けない。なぜならこの旅館のシステムは中長期の滞在に向かないし先の求める物には応えられない。日本人は冒険を好まないが世界の富裕層は冒険したい。
そもそも著者の経験ではラグジュアリーを開発したのはアジアにおけるアマンリゾートだそうだ。「排他」から「包摂」に変化をしている。排他は他との違いをだし囲い込んで特別感を出すが、包摂は自然や観光をそのまま包み込んで全てを受け入れで良さを出すこと。そしてそこにはSDGsに繋がる考えがあり、提供される食事に関しても地球環境を意識している。一例がフカヒレで、ヒレを切り取られたサメは泳げなくなり海で死んでしまうため、欧米の一流ホテルでは(日本でさえ)フカヒレ料理は提供しないそうだ。
これからは日本でも豪華一辺倒から、人生で一度の体験を提供するラグジュアリーな旅が出てくるに違いない。
一つだけ残念なのはあまりにアマンの歴史を細かく記述されていて冒頭から食傷気味になることかな。しかし読んでいて死ぬまでに一度でいいので、こんな体験をしたい、と思わせる内容だった。できれば大判で写真を入れた本を出して欲しいな。
Posted by ブクログ
ラグジュアリーツーリズムを理解できれば、真に儲かるインバウンド観光振興が目指せる。
日本人の感覚では、虫が飛び交うアフリカの屋外レストランの魅力は理解できない。「遠い」「不便」を「冒険」に置き換える事も出来ない。
外国人富裕層のニーズを捉えて、ヘリ発着など規制制限見直しを行うことが、インバウンドで儲ける基盤となる。
Posted by ブクログ
日本人の旅行スタイルや訪日外国人だけを見ていると分からない、世界の富裕層の旅行スタイル・ニーズが分かり面白い。例えば、
・世界の富裕層は、スリルある本物の体験、コンフォートゾーン外の体験を求めている。その証拠にアフリカのラグジュアリーホテルが世界トップになってきている
・日本らしさ=温泉+和食の美食と日本人は考えがちだが、古い。世界の富裕層は体験を求めている。その証拠に、箱根で温泉が出なかったときに多くの日本旅館は閉鎖したが、開けていた旅館では多くの外国人が来ていた
・日本でも職人を体験できるところや、不便でも長期滞在には不利にならずに自然を感じたりオーバーツーリズムと無縁であったり富裕層に好まれる(地域側も薄利多売ではなく、多くのお金を使う少数の富裕層が来た方がよい)
といった点は面白い。
Posted by ブクログ
サファリ体験ができるザンビアのエビに―ロッジや、日がな一日良い波を待つサファー御用達のネシアのニヒ・スンバ、南極大陸のホワイト・デザートなどの究極のラグジュアリー観光地の説明に、それほど紙面を割くこともなかろうに。 途中から、斜め読みだ。
著者も指摘するように、日本の富裕層が求めるのは「冒険」ではなく、「食」と「温泉」なのだから。
とはいえ、世界的な富裕層を呼び込まないと、日本の観光産業も将来立ち行かなくなるのは周知。お金をゴソっと落としてくれる仕組みがないことは以前から指摘されている。
日本の伝統工芸や文化行事の「体験」を売り込むというのは、確かにひとつの手だろう。
が、それも果たして、誰にウケるのか? 結局は、インバウンド頼りだとしたら、またぞろコロナ禍でも再燃すれば・・・。
地道に国内の需要喚起や、日本人の旅行機運の盛り上げという、手堅い底上げ施策が必要だと思う。
タイトルにあるように「世界の富裕層」の要求に関する著作なので、そこには触れられていない。というか、日本の富裕層を、「世界の富裕層」にかさ上げしていく根本的な意識改革も必要なのではとも思う。
いろいろ考えるに、「若い」観光客の呼び起こしが必要なのかもしれない。実年齢でなくても、気持ち的に若
い旅行者が日本人の中にも増えれば、「冒険」を求める層も出て来るだろうし、よりアクティビティの幅も広がるはず。