あらすじ
「頭がいい」とは、IQや記憶力だけでなく、感覚や運動能力、アートと創造性、他者の気持ちがわかる能力なども含まれる。どんな仕組みで良くなるのかを脳科学の観点から解説する。そのような能力を発揮し続けるための力を「脳の持久力」と名付け、そこに深く関係する脳細胞、アストロサイトの働きを紹介し、人間の脳とAIの比較、今求められる知性について著者の考えをまとめる。
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Posted by ブクログ
頭がいいとは何かを脳科学から検討した一般書。IQや記憶力だけではなく、脳の持久力をキーワードとして提案している。ただ脳科学の最近の知見を紹介するだけでなく、以下のメモのような話は重要なことだと思う。
emotionは情動、feelingsが感情で、動物にも情動はあり、言語化されたものが感情として認識される。心も言語によって生成された感情のこと。
人生経験から特徴を抽出し一般化し概念化したものを知恵ブクロ記憶と呼び、これが人間の器量に繋がる。
ゾーンに入った状態とは脳のトップダウンの予測と実測値が誤差0で繰り出される状態かもという仮説。
アートは作品を通してアーティストの脳の中、その人がどう世界を理解しているかという知恵ブクロ記憶を見せてもらっている。具象的作品の鑑賞中はその作品を見ているが、抽象的作品の鑑賞中はそれを通して自分の内側を見ていることがの活発化する脳領域からわかっている。アート鑑賞は自分の知恵ブクロ記憶をアップデートする行為で、感覚遮断により自分の内部モデルを観測したり内受容感覚を観測するという点で坐禅も一緒。
脳の第一のフィルターである感覚のゲート機構、第二の経験と記憶から構成される予測、第三は発露するかしないか。心のモデルケースは自分にしかないので人の気持ちを理解するには自分の心に対する解像度を上げるべし。
脳の持久力を支えるグリア細胞、特にアストロサイト。
老子の知人者智、自知者明という言葉。真の聡明さとは自分を知っていること。心身ともに自分に対する解像度を上げることが必要。
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脳科学について専門的なことを身近な例でわかりやすく書かれていて、「それは脳のこういうしくみのせいなんだ!」と大変興味深く読めました。
「頭が柔らかい」というが実際にシナプスの可塑性(柔軟性)が脳機能に影響を与えていることや、「忘れること」は脳機能が落ちるためではなくむしろ脳の正常の働き方であること、抽象的なアートを見ている時脳は作品を通じて自分の内側(記憶や意識)を見ており、その自分の中での変化を楽しむのが抽象的なアートの楽しみ方ではないか、などなど各章のテーマは非常に興味深く多くの気づきを得ることができました。
タイトルにある「頭がいいとは」について本書では、自己認識力、またそれを表現する言語化能力やアートを通した表現力、スポーツなどの身体のコントロール能力であると書かれています。これらは能動的な経験によって鍛えられるものであり、課題に対し粘り強く試行錯誤を繰り返す「脳の持久力」こそ重要と書かれています。
辞書のような単なる知識の羅列ではなく、経験から得た気づきを言語化したもの、または言語化できない第六感的なものをどれだけ持つかが、その人の器量に関わる部分なのではないか、ともありました。
全体的に親しみやすい文章で、脳科学について詳しくない私ですが、新たな発見が多く楽しく読むことができました!
またアートとは異なりますが、読書をする時の私も、作者の書いた文章を読んでいるようで実は自分の内側で起こる気づきや変化を楽しんでいます。筆者の言うようにこういった行動が「私自身」を形作るものだと思いますので、今後も続けていきたいと思いました。
Posted by ブクログ
脳科学的に「頭がいい」状態とはどういうことかが書かれている。どうしても記憶力がいいとか、計算が早いとかを想像しがちだが、自分の体をいかにうまく動かせるのかという点でも頭がいいと言えるらしい。
emotion(情動)とfeeling(感情)の違い。人間は動物にも感情があると考えがちだが、それは情動らしい。それを言葉にして初めて感情と呼ばれるとのこと。
Posted by ブクログ
2025/1/9
脳科学に関する本は何回に書いているものが多く読みにくいが、本書は読みやすくすらすら読めた。
感情は情動を言語化したもの。
感情の解像度を高めると身体の内受容感覚と脳が経験を元に生み出す思考に分割できる。
マインドフルネスがまさにこれだ。継続しよう。
アストロサイトはすごい。
脳のゴミ掃除、神経可塑性の向上等。
メンタルヘルス向上のため、ニューロンやシナプスばかり注目していたが、アストロサイトを活性化することも視野に入れたい。運動によるBDNFが大事?睡眠や基本的な食生活も見直す。
ルールをシンプルにするとうまくいく。
心配性で自分にルールを課してしまうが単純なルールの方がうまくいくのでは?
ワーキングメモリとかもそう。
2025/7/23
二回目読み終わった。
予測符号化理論を学んでから読むと内容がすっきり理解できる。
ルールがシンプルなほど、指示が抽象的なほどうまく動ける。これは体感でもそう。
面白かった。また読みたい。
Posted by ブクログ
自分の心と体は1番の研究対象。自分の体に興味を持つことが大切。
脳を正しく働かせるためには、たくさんの能動的な経験が必要。多くの試行錯誤や失敗の経験が重要であり、社会性の発達には幼少期の親や他者との身体的・社会的相互作用が不可欠。
「自分が変化し続けることで変化に耐える」可塑性粘り強い可塑性。
脳の持つシナプス可塑性は経験に応じてどの回路を強め、弱めるかという結合パターンとして保持される。この結合パターンこそが記憶の根源である。
1人の人間の中では知力は生涯を通じて安定的。加齢と老化は別の現象で経験や知識の蓄積により異なる知能の側面が発達するから加齢が全ての能力の低下を意味するわけではない。
思い通りに体を動かすために必要なのは筋トレでなく脳トレ。体幹が弱い、足腰が弱くというのは、筋肉が弱っているのではなく、そこにきている運動神経と脳の連携が弱いということに過ぎない。自分の体に対する身体認知が低いことが原因。
脳と筋肉の接続を鍛えるためにはその運動指令を動かす経験をたくさん積むことが重要。それが身体認知を高める。とにかくたくさんの動きのバリエーションを経験する他ない。その際重要なのが今自分がどこを動かし、どう感じているかに注意を向けること。
自分の心の状態に対する解像度が低い人ほど鬱病になりやすいとされている。人の気持ちが理解したければまず自分の気持ちの理解から。
感情とは心に湧き起こる情動の言語化。だから言葉が話せる人間にしかない。「情動知性」を高めること。気持ちにピッタリの言語化ができるようになる。
オリゴデンドロサイト(グリア細胞)神経伝達毎秒100m!
アストロサイト(グリア細胞)ニューロンのお母さん的存在。この子がいないとニューロンは働けない。アストロサイトは、ニューロンにエネルギーを供給し、脳の老廃物を取り除くことで、脳のコンディションを整え、持続的な思考と粘り強い可塑性を可能にしている。
アストロサイトを活性化させるには予期できないタイミングで、脳に日にち上味合わせ、生命の効きがない程度に脳ピンチに落とし入れる必要がある。それはネガティブな意味だけでなく、思いがけない位楽しいとか高揚感と言うような強い情動喚起でもいい。
良いコーチング笑
良い制約と、シンプルなルールの提示
Posted by ブクログ
ニューロンはよく聞くが、アストロサイトというものを初めて耳にした。すごい機能。
アストロサイトはある程度の刺激や負荷、新奇体験によって強い情動喚起が起こることで活性化される。また忘却することも一種脳のデトックス行為なので健全。
こういう側面(脳や身体)からも自分を知ることは大事だなぁと思った。
Posted by ブクログ
既知の内容が多かったが、わかりやすく読みやすい文章ですらすら読めた。
アストロサイトの働きについては初耳だった。この細胞の働きを活性化することで認知症も防げるかもしれないと思った。
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MBAの選手はある試合会場でいつものドリブルをしていて、思うように手元に返ってこない時に、すぐさま会場のある1箇所だけ弾まない場所があることを審判に指摘した。
羽生結弦選手は、技が思うように決められなかった時、スケートリンクの1箇所にほんのわずかに削れて窪みができていることを指摘し、会場が製氷をかけた。
よくそんなことがわかるなぁと感心した。
一流の選手は、感覚が研ぎ澄まされている。
この感覚は自分の考えと自分の動きが一致している。「アスリートは頭がいい」に納得した。
また、脳は記憶だけでなく忘却もする。
忘却ができることは、しっかりと脳が機能している証拠であると書かれていて、忘れん坊の自分はほっとした。
予測困難なこれからのVUCA時代を生き抜く我々人類は、これからの未来を切り開くために、AIを活用しながら粘り強く課題に取り組んでいく必要があることがわかった。
Posted by ブクログ
人は分かり合えない、ということが納得できてしまう本書の解説。だからこそ、ランダムな経験や外部の刺激が必要ということもうなづける。自分の感情は自分の作り出したもので、誰のせいでもないと思うと、脳の持久力こそ大切に思える。刺激的な本。
Posted by ブクログ
本書は、脳科学の観点から「頭がいい」とはどういうことかを解説したもの。
著者によれば、頭の良さとは、単にIQや記憶力が高いことだけではない。感覚や運動能力、アートと創造性、他者の気持ちがわかる能力など、人間の生活におけるすべてに関わることと定義している。
そして、これらの能力を支えるのが「脳の持久力」であると著者は主張する。脳の持久力とは、脳が集中力を維持し、長時間情報を処理し続けることができる能力である。
そして脳の持久力は、後天的に鍛えることができる。
良質な睡眠、適度な運動、新しいことに挑戦することなどが、脳の持久力を高める効果がある。
本書から得られた教訓は、以下の通り。
頭の良さは、生まれつきのものではなく、努力によって鍛えることができる。
→常に学び続けることが大事?
脳の持久力を高めるためには、日々の生活習慣を意識することが重要
→良質な睡眠、適度な運動、新しいことに挑戦すること等を習慣化する?
→休憩を意識的に入れていく
どこかで聞いたこと(読んだこと)のある内容が多かったが、納得できることも多く、今一度自分の生活を見直す意味では有用であったといえる。
Posted by ブクログ
集中しているときにスマホが気になると、大幅ロスになることや、たくさん経験しないと脳が学習していかないこと等を学びました。脳について面白かったので、著者の他の作品も読んでみます。
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ためになることも書かれていて良かった。何より研究を続ける教授の書くことだから信憑性が高いと思う。読みやすく書かれているが、専門用語もちらほら出てきて飲み込みずらい内容もある。
Posted by ブクログ
粘菌は、迷路の最短経路問題が解けるという。
粘菌は知性の芽生えであるそうだ。
本書の主題は、AI時代に求められる知性とは何か?
読書記録はないのだが、どうも既に読んだ気がする。
Posted by ブクログ
脳科学分野を研究する著者による「頭の良さ」についての本。
研究者としてはかなりかみ砕いて説明してくれているのだと思いますが、いかんせん読者のみなさん(私も含めて)は素人のため、なかなか内容が読み込みにくかったのではないでしょうか。
標題の“「頭がいい」とはどういうことか”については私の見立てですが、
・すぐ答えに飛びつかず、様々な可能性を考える力
・粘り強く思考しつづける力
・アストロサイトと呼ばれるグリア細胞が頭の良さに関わっているかも?
・自分の身体を思い通りに動かせることも頭の良さ
こういうことなのかな? と解釈しました(間違っているかもしれません……)
この本を読む前に、AIについての本を読んでいたために、最後の方に出てくるAIと人間の違いについて述べた部分に惹かれて手に取りましたが、全くの見当違いでした(笑)
この本を読む前にグリア細胞とか、アストロサイトについて、もう少し容易な本を読んでいたら良かったのかな……。
「知恵ブクロ記憶」もあまりピンと来なくて、私にはなかなか難しい読書でした。
ですが、最後のところの「コスパにばかり頼っていては社会が空洞化する(だから教育に力を入れないといけない)」というところは本当にそうだなと思いました。
芽が出ないかもしれないけれど、後進に力を入れないことには未来が先細る、と私もそう思います。
Posted by ブクログ
段々、専門的な話になり、読み飛ばすことも増えた。ただ、総じて読みやすかったと思う。序盤の方が、そもそもの定義や人生において知っておくことでプラスになる内容が多かった。他方で、後半になると、脳の構造や物質の話になり、素人的には眠気を誘う内容であった。
Posted by ブクログ
2024.07.03 AIがビジネスや生活に入り込んでする時代において、正解のない課題に粘り強く対処する(し続ける)能力が、やはり大切なんだと理解した。自分もそれをモットーにしている。確認できてよかった。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 「頭がいい」ってどういうこと?
第2章 注意しなければ知覚できない
第3章 脳の働きがいいとは、どういうことか
第4章 記憶という不思議な仕組み
第5章 思い通りに身体を動かす
第6章 感受性と創造性
第7章 人の気持ちがわかる
第8章 脳の持久力を担うアストロサイト
最終章 AI時代に求められる真の“頭の良さ”
<内容>
「脳科学」の本。「頭の良さ」と言うよりも、現在の脳科学の知見を漏れなくまとめた感じ。わかっていたことだけど、アスリートは「頭が良い」。自分の考えたとおりに身体を動かしているのだから。一般の人が思っている「頭が良い」は非常に狭い考えと言うことだ。
Posted by ブクログ
頭が良いというのは結局どういうことなのかは、色々あるということ。
頭が柔らかいことも、記憶力が良いことも、論理的な思考ができることも、頭が良いということである。
脳を正しく動かすために、頭が良くなるためには、能動的な経験、そして広い知識を持っていることが非常に重要だと自分は解釈した。