あらすじ
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日経BPクラシックス 第7弾
世界の名著の新訳シリーズ「日経BPクラシックス」。
仕事に没頭することが「天命」であり、神に選ばれた証であるとするプロテスタンティズムの「職業倫理」が、資本主義の「精神」へと転化し、近代資本主義を生み出していく歴史のダイナミズムを論証した社会科学の古典。
わが国では戦後を代表する大塚久雄、丸山真男ら多くの知識人に影響を与えた。岩波文庫から大塚久雄訳がでているが、その訳には批判も多い。本書はウェーバー翻訳史上の画期的な訳といえる。
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Posted by ブクログ
近代資本主義の成立を人々の内面から推し進めていった資本主義の精神と禁欲的にピュウリタニズムとの関係を社会学的に追求したもの。
以前に岩波文庫版も読みましたが日経BP版のほうが読みやすいです。ただ岩波文庫版は解説が充実しており、その解説と今回の日経BP版の本文を併せて読むのがよいかと。
主な内容は、、、
近代資本主義は商業に対する倫理的規制がない(営利を追求できる)地域・場所では実は生まれておらず、むしろ営利を敵視するピュウリタンの経済倫理(世俗的禁欲、労働を天職として励むという心情)こそが資本主義の精神として、近代資本主義の成立・成長に大きな貢献をした。
このピュウリタンの経済倫理は長期間の(宗教)教育の結果として育まれ、そもそも金儲けのためではなく、敬虔な思想(神への忠誠や隣人への愛)のため世俗的な職業生活への専心や無駄な消費の抑制を要請し、またこのような行動様式を身に着けた労働者が大量に生まれることで、結果として合理的産業経営を土台とする近代資本主義を作り上げていく。
そして、一旦強固に作り上げられた近代資本主義はもはやその基礎となった倫理は必要せず実際にも忘れ去られているが、その経済秩序に囚われた人々(現代の私たちも含まれるでしょう)にその行動様式を強要し、生活のスタイルを決定づけている。