あらすじ
社会のルールはどのように決めるべきか?
すべての人が納得できる正義はあるのか?
現代政治哲学の起点となった主著『正義論』を平易に読み解き、ロールズ思想の核心をつかむ!
【本書のおもな内容】
●「多様性を認めながら対立をなくす」ことのジレンマ
●ロールズが語った正義の構想は綺麗事なのか
●「力こそは正義」は根本的な誤解である
●画期的な思考実験「無知のヴェール」
●「誰もが納得する格差」はあり得るのか?
●自尊心がなければ自由になれない
●「正義は人それぞれ」と言っていられない理由
●現代的にアップデートされた社会契約論
●ロールズがたどり着いた「公正としての正義」
多様性の尊重と対立の回避のどちらかを諦めるのではなく、両方を取るためには、社会の構造(仕組みやルール)についての、何かしらの工夫が必要です。そして、そのような工夫を見つけ出すことこそが、ロールズの課題でした。『正義論』においてロールズが取り組んだのは、まさにこの問題、すなわち、人々が多様なアイデンティティをもっており、正義についても異なる意見を持っている、ということを前提にした上で、それでも正義が成立するとすればどのようなものとなるのか、という問題です。
はたして私たちは、社会の中の答えのない対立を、乗り越えることができるのか。その問題を解く手掛かりが、ロールズの『正義論』の中にあります。これから全四章に分けて、そのことをみなさんと一緒に見ていきたいと思います。――「はじめに」より
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100ページで教養をイッキ読み!
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1:それは、どんな思想なのか(概論)
2:なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景)
3:なぜ、その思想が今こそ読まれるべきなのか(現在への応用)
テーマを上記の3点に絞り、本文100ページ+αでコンパクトにまとめた、
「一気に読める教養新書」です!
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ジョン・ロールズ『正義論』の入門書。『正義論』のエッセンスを簡潔かつ的確にまとめており、非常に読みやすかった。
学びになった点を幾つか挙げるとすれば、
・ロールズが論じる「正義」とは個人の判断基準ではなく、「社会正義」、社会を支える諸制度が正義に適っているか否かということ。
・「公正としての正義」とは、正義の原理を導き出す手続き、方法が公正であるということ。
・ロールズは「自尊心」を最も重要な価値の一つとして考えている。それは「自尊心」によって、人は自分自身の人生計画に遂行する価値があると信じ、かつそれを遂行する才能が自身に備わっていると信じることが出来るからであるということ。
などである。
また、著者の解釈通り、ロールズの思想には人々の平等を重視する考えと、個人の価値観や人生観を尊重する考えが絶妙のバランスで成り立っており、確かに社会の対立を乗り越えられるヒントがあると感じた。ロールズ思想を学ぶことで、安易な絶対平等主義(社会主義)にも自己責任論にも陥らない、バランスを取れた社会構築の方法を模索出来ると確信した。
この一冊で満足せず、よりロールズ思想を理解するために、巻末のブックガイドを参考に更に学んでいきたい。
Posted by ブクログ
別の本(倫理学入門)で出てきた「無知のヴェール」という概念が好きすぎて、書店でジョン・ロールズの名前が見えて即買い。平易な文章なおかげで政治哲学苦手な俺でも楽しく読めた。
あとがきにて著者の「学問への憧れとわくわく感を与えられているか」という文を見てなんか感動した。自分がなりたかった大人っぽいからかな。
社会正義を実現するにはどうすればよいかということをジョン・ロールズは考え、『正義論』に著した。その超入門書みたいな位置づけがこの本。社会が成り立つためには正義が必要であるがその絶対の正解のようなものはなかなか見つけられないだろう。そこで、「自分にとって」最善の社会ではないかもしれないが「誰にとっても」致命的でない社会を目指すのが、公正としての正義だと主張する。
公正としての正義は成り立ちと原理が大事で、その前者に関わるのが「無知のヴェール」である。「無知のヴェール」とは、自分が社会内でどのような立場に置かれているのか見えないと想定しようという思考実験で、その状態で社会制度を考えてみることがロールズの正義の成り立ちに必要なことである。こうした状況では、人は自分にとって都合のいいルールを求めることができなくなるため、ヴェールを外した時にいかなる立場にあっても、受け入れられるようなルールが選択されると考えられる。
「生まれも才能も人格も運だろ」という運過激派の自分にとっては、「無知のヴェール」は光り輝く概念だった。これを基に社会のことを考えたり、自分の生き方/人生哲学をブラッシュアップしていきたい。
Posted by ブクログ
戸谷さんの本で引用していたジョンロールズについて概説書を探していたところこの新書にたどり着いた。門外漢な私でもなんとか読み通すことができた。各章の始まりで簡単なサマリーがついていたのが読みやすかった。
Posted by ブクログ
(2024/10/10 2h)
ジョン・ロールズ『正義論』の概要をまとめ、正義について論じる第一歩を踏み出すための本です。
「無知のヴェール」
「正義の二原理」
「社会的基本財」
『正義論』自体、哲学の本として扱われるものの中では比較的平易な言葉で書かれているもので、前提知識をあまり必要としないようです。
そのため、直に当たっても理解できない内容ではないのかもしれません。
しかし、800 ページって少し圧倒される分量ではあります。内容を新書にまとめた本書はページ数の課題を解決してくれます。
「正義」について議論する上で共通言語を手軽に拾って広める上でも、優れた1冊だと思います。
Posted by ブクログ
無知のヴェールを仮定して、万人が自らの状況に盲目としたなら、どのような社会契約を選びうるか。それが社会が達成すべき正義である、とする考え方は、著者の語るようにあるべき社会の議論の土台として確かに最適であろう。
問題は、何が平等であるか、の合意が容易でない点に有るのだろう。もしかすると、ほとんどの人は正義よりも善を(半ば無意識も含め)優先するためかも知れない。ロールズが語るように、本来は善を追求するための場である社会を正義によって整え、その中で正義の範疇においてそれぞれの善を追い求めるべきなのだろう。だが、往々にして人は何が善いか、もっと言えば自分にとって単に心地よいと感じることを優先させる。それが、対立の解けない一つの要因かもしれない。
ちなみに本書を読んでいて思うのは、justice を「正義」と訳すのはことによると誤解を生むのではないかということだ。どうも「義」という言葉にはすでにして善悪の判断が入ってしまうように感じる。justice とは、本来、各々の価値をそれに相応しいところへ公正に分ける、ということであり、善悪とはまた異なるものであるはず。もっとも、何を善きもの、価値あるものとし、それに誰が値すると考えるか、それは善悪の判断と密接に関与してくるわけだが、それにしても正義という訳は善きものという価値判断が前面に出すぎているのでは。公正、で置き換えて考えるのも手かと感じた。
Posted by ブクログ
多様性が叫ばれる今、
本当に認め合える社会を目指すために
本来の社会正義とは どういうものなのだろう という基礎的な考えに
立ち戻るためには
とてもオススメの書籍だと思います。
Posted by ブクログ
ジョン・ロールズ、政治哲学者。1921年アメリカメリーランド州生まれ。プリンストン大卒。WW2従軍し、占領軍として日本に。1962年よりハーバード大教授。1971年、正義論上梓。2002年没。
本書は、ジョン・ロールズの正義論の入門的解説本。
⚫︎ロールズ『正義論』とは何のための理論か
ロールズの出発点は、功利主義への異議だ。「社会全体の幸福が最大化されるなら、一部の人の権利や利益が犠牲になってもよい」という考え方に対し、ロールズは「一人ひとりは、他人の利益のために踏みにじられてはならない」と主張する。この立場から、社会の便益と負担をどう配分すべきかという正義の理論を構築した。
⚫︎思考実験:無知のヴェール
公正な正義のルールを決めるにはどうすればよいか。ロールズは、自分の性別・人種・資産・才能・社会的地位などを一切知らない「無知のヴェール」の下で、人々が社会のルールを話し合う状況(原初状態)を想定する。
自分がどんな立場になるか分からない以上、人は最悪の事態を想定して選択する(マキシミン・ルール)。その結果、誰もが「最も不遇な立場になっても納得できるルール」を選ぶはずだ、とロールズは考えた。これにより、特定の利害に偏らない、党派を超えて誰もが受け入れられる正義の原理が導き出される。
⚫︎正義の二原理
1. 自由原理:他人の自由を侵さない限り、すべての人に平等な基本的自由を保障する。
2. 格差原理/機会均等の原理:不平等が許されるのは、①それが最も恵まれない人々の利益になり、②その地位や職務が誰にでも開かれている場合に限る。
第1原理が常に第2原理に優先する。つまり自由は、たとえ効率や利益のためであっても犠牲にしてはならない。
⚫︎基本財と自尊心
正義が配分の対象とするのは「社会的基本財」——権利・自由・機会・所得と富・自尊——である。中でも自尊は特別な位置を占める。自尊とは自尊心を育む土台であり、自尊心とは「自分の目標には価値がある」という意識と「それを実現できる」という自信の両方からなり、これがなければ人はそもそも努力できない。
自尊心は他者からの承認によってしか得られない。それは学校であれ、仕事の場であれ、家庭の中であれ、自分の価値観と能力が周囲に認められるという具体的な経験を通じて育まれる。この意味で、人は孤立したままでは自由に生きることができない。自由原理が保障する自由は、実は一人では成立しないのである。
ただしロールズは同時に釘を刺す。自尊心はあくまで各人が自分で選んだ目標を通じて満たされるべきものであり、国家や社会が「これが理想的な生き方だ」という型を用意して、そこに人々を押し込めることで与えようとしてはならない。自尊心を支える社会条件を整えることと、生き方の中身を国家が決めることとは、はっきり別の話だとロールズは考えている。
⚫︎位置づけ
ロールズの構想は平等主義的リベラリズムに属し、唯一絶対の正義を提示するものではない。多様な価値観を持つ人々が、それぞれに生きづらさを抱えずにいられる社会の枠組みを模索する試みであり、以後の社会正義論の議論の土台となった。
⚫︎参考:正義をめぐる対立軸
ロールズは、先行する功利主義への異議として登場した。だがロールズもまた、後続の論者たちから異議を突きつけられることになる。
・功利主義(ベンサム1789年/ミル1863年、総和の最大化)vs ロールズ(1971年、個人は踏みにじられてはならない)——「社会全体の幸福」のために個人を犠牲にしてよいか
・ノージック(1974年、自由至上主義、再分配は不正)vs ロールズ(格差原理による再分配)——自由か、平等か
・サンデル(1982年、共同体の中で形成される自己)vs ロールズ(属性を剥ぎ取った個人)——個人は共同体から切り離して考えられるか
・セン(1980年代以降、ケイパビリティ・アプローチ)vs ロールズ(基本財の配分)——何を配分の単位とするか
どの立場も一長一短があり、決着はついていない。正義を考えるとは、一つの正解を選ぶことではなく、こうした対立軸のどこに自分が立つかを、その都度問い直し続けることなのかもしれない。
Posted by ブクログ
初心者向けに分かりやすい一冊だ。
「正義の二原理」を中心に丁寧な記述が、素人の自分にも助かる。ロールズの平等主義リベラリズムはもっと注目されていい。あとは具体的施作が問題なんだけど。
さて、中公新書の『ジョン・ロールズ』も読まなくちゃね