あらすじ
世界中の音楽はもちろん、生活スタイルまでも変えてしまったカラオケ。その成り立ちを調べ始めた著者は、次々と意外な事実を発見する。これまで伝えられていなかった「真の発明者」の存在、カラオケボックスが岡山のうどん屋から生まれた背景、原子力博士が通信カラオケを開発した事情……。音楽を愛し、創意工夫を欠かさなかった男たちの情熱とアイディアが結実するまでを描く。カラオケの正史にして決定版。
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Posted by ブクログ
カラオケは、1)カラオケ装置 2)カラオケボックス 3)通信カラオケという三段階の発明を経て、世界中の文化を変えたのだが(色んな意味で。普通アジアでKARAOKEといえば風俗)、そのことはあまり知られていない。
初めて読むことばかりだが、ほとんど体験していることなので非常に面白かった。
特に通信カラオケが、ブラザーのソフトウェア自販機「TAKERU」を「インフラ」として活用し作られた秘史が凄まじい。
「TAKERU」自体は商業的にはほぼ失敗で、撤退を余儀なくされていたのに、その技術者の先見により「カラオケの音楽情報(MIDIデータ)の中継サーバ」として変更され、会社の幹部も知らない内に力を発揮していた、という。
その「TAKERU」を中継サーバにして作られたカラオケ装置が「JOYSOUND」だったが、他社の追随を許さなかった。
「JOYSOUND」よりも先にリリースされ売上を挙げた他社の通信カラオケ装置もあったが、人気になると日本中からひとつのサーバに音楽データ配信の要求が集中し、容易にダウンしたり、極端に遅くなり1曲ダウンロードするのに1時間かかったりしてしまった。
中継サーバを置いていた「JOYSOUND」にはそういうことは起きなかったため、高い人気が長続きした。
また、カラオケの音楽は、歌手がうたっている曲からボーカルを抜いただけでは素人は歌えないので、耳コピして一から作っているというのは驚いた。
思わぬ収穫の一冊だった。
Posted by ブクログ
新技術は、個人の努力から形成されることが多いと聞く。
カラオケの成立においても、何人かの個人の努力の一端が、本書に記載されている。
大手企業は、試作のための費用は許可しても、製品として販売する許可はなかなかしないとお聞きします。
会社の方針と矛盾しないように、自分の作りたいものを作っていく、技術者の魂、芸術家のはしっくれの生き方を見る。
Posted by ブクログ
通信カラオケのmidiファイルが、楽譜なしで曲を聴くだけで採譜よろしく書き取られて作成されているというのにびっくり。そんなアナログな作業で作られていたとは。インターネットが普及する前の電話回線の時代から、どうやって音楽データを送って再現したのかといった工夫の歴史も、思いがけない企業が絡んだりして興味津々。
Posted by ブクログ
ブラザーのTAKERUがジョイサウンドの布石になって、技術者のアンダー・ザ・テーブルな仕込みによってバックボーンを支える拠点となっていくくだりは胸熱。設置店の負担が最小になるようにアナログ回線で夜間オートパイロットする巧みな仕込みとか。
Posted by ブクログ
身近にあるカラオケの起源をあなたはご存知だろうか?
カラオケの創始者は実は特許をとってなかった!?あのカラオケ音源はすべて耳コピだった!?
驚きの事実とともに仕組みをしらずに使っていたカラオケの歴史を垣間見れる、それは非常に興味深い内容の一冊です
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
世界中の音楽はもちろん、生活スタイルまでも変えてしまったカラオケ。
その成り立ちを調べ始めた著者は、次々と意外な事実を発見する。
これまで伝えられていなかった「真の発明者」の存在、カラオケボックスが岡山のうどん屋から生まれた背景、原子力博士が通信カラオケを開発した事情…。
音楽を愛し、創意工夫を欠かさなかった男たちの情熱とアイディアが結実するまでを描く。
カラオケの正史にして決定版。
[ 目次 ]
序章 日本人はなぜ「聴く」より「歌う」のが好きなのか
第1章 「カラオケの発明者」になりそこねた男
第2章 カラオケボックスを考案した弁当屋のおじさん
第3章 原子力博士はなぜミシン会社で通信カラオケをつくったのか
第4章 音源づくりの耳コピー職人は自宅作業をしていた
終章 日本人はいつから人前で歌うようになったのか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
カラオケの発明は、世界に誇る日本の発明かもしれないが、その発明者は何人もいると言われている。
そんな疑問を多くの人にインタビューの形で正史を造ろうとした試みの本。秘史とはあるが、どこかで聞いた話が多いが、インタビューを通じてカラオケに携わった人の苦労がわかるような本である。
結局のところ、「流し」と呼ばれる人たちが全盛時代の頃、機械で演奏するハード部分と曲のソフト部分を誰が発明したのか、コンテナでカラオケを始めたのは誰か、通信カラオケという形はどのようにして始まったのか、今も曲を作る人たちの現状という4章をベースにコラムで関係の深い人や話を紹介している形である。
カラオケといえども侮りがたし。