あらすじ
祝!W受賞
第14回本屋が選ぶ時代小説大賞
第13回日本歴史時代作家協会賞作品賞
時は元禄。金銀産出の激減に苦しむ佐渡で、立て続けに怪事件が起こった。
御金蔵(おかねぐら)から消えた千両箱、三六名が命を落とした落盤事故、
能舞台で磔(はりつけ)にされた斬死体、割戸から吊り下げられた遺体…。
いずれの事件現場にも血まみれの能面「大癋見(おおべしみ)」が残されていた。
振矩師(ふりがねし)の静野与右衛門は、奉行から広間役(ひろまやく)の間瀬吉太夫の助手として、
事件の真相解明を命ぜられる。
吉太夫に反発しながら、調べを進めるうち、その才覚と人物、謎めいた過去に強く惹かれてゆくがーー。
佐渡金銀山に隠された恐るべき秘密とは?!
能面の謎を解いたとき、天下を揺るがす驚愕の真相が明らかになる!
2023年3月28日より、11月22日まで新潟日報に連載。
毎日の挿絵は地元の美術系学校の生徒が担い、日々、興味深いイラストが掲載。
連載時、現地の酒造元・尾畑酒造から、本作に出てくる日本酒と同じ名前の
「旅烏」という純米無濾過原酒が発売されるなど、新潟、佐渡でも盛り上がっている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
初めての赤神諒。こんなミステリーもあるんだ。
何も知らなかった佐渡の金山のことがリアルに感じられ、個性豊かな登場人物たちにも楽しませてもらった。読んで得した感じ。
Posted by ブクログ
江戸時代の佐渡金銀山のお話。これは最高に面白い!石見銀山しかり、採鉱の仕事の話に興味がある。佐渡は湧いてくる水との闘いなのだな。水替というひたすら水を組む辛い労働があることを知った。
後半少し説明っぽくてまどろっこしく感じたところはあったけど、ストーリーの骨がしっかりしていたので堪能できた。映像化してほしいなぁ…。吉大夫さんの結城での活躍も読みたい。
Posted by ブクログ
事件の真相が分かっておしまいかと思ったらそうではなく、まだ大問題が残っていて…と実に重層的で壮大な物語
ただ序盤の吉太夫を無能と思わせようとする記述が執拗すぎたり、肝心の惣水貫の解決策がいまいち分かりにくかったり、ちょっと残念なところもあったけど、それを差し引いても素晴らしい作品だと思う。
Posted by ブクログ
満足な人生を送るためには、どうしたら良いか
そこには腹を括ってやらなければならないこともあるだろうし、捨てなければならないものもあるだろう
それでも、人生を賭けて、自分にしか出来ないことを、成し遂げたいと思う
Posted by ブクログ
時は元禄、佐渡の金銀山が水との闘いに敗れ衰退していく中、振矩師の静野与右衛門(よえもん)は、江戸から来た奉行に広間役の間瀬吉大夫(ませきちだゆう)の助手として、能面男の起こしたとされる怪事件の真相解明にあたることになる。生真面目な与右衛門はグウタラ侍の吉大夫が実は切れ者という事に納得せず、吉大夫のやる事の意味を理解できない。振矩師として佐渡を救うには水抜きをするしかない、と振矩師の師匠と決意するも、師弟は別々の仕事を割り当てられ大忙しで、与右衛門は奉行に会うことも許されない。地道な捜査で吉大夫が真相に近づくにつれ、吉大夫に魔の手が及ぶ。
佐渡の金銀山をめぐる陰謀の謎を解く時代ミステリー。あくまでもフィクションだが、吉大夫と彦次郎がなかなか良い感じで主人公の与右衛門を振り回し、成長を促す。見守る父や師匠に幼なじみとの恋など、ラストまで安定の時代劇。一気読み必至。血みどろの能面は出てくるし、殺人も出てくるが、それほどドロドロしていなくて、読みやすかった。極悪人が出てこないのよね。
能に詳しければもっと楽しめたな。あと最初に出てくる地図はいちいち見た方が理解が深まったと思う。人間関係は理解したけど、地図音痴の私は読むだけでは位置が把握出来なくて、それをこの地図が埋めてくれる。という事に読後気づいて悶絶(*^^*)
Posted by ブクログ
面白いは面白いんだけど、新聞連載のためだろうか、事件の解決がなされないまま、謎だけが積み重なり、主人公はずーっとブーたれてるだけで、終盤差し掛かるまでなかなか根気がいった。謎解き自体はそうくるかと引っ張られた分納得感はある内容だったが、もう少しテンポ良くクライマックスまでいけるともっと楽しめたとは思う。いずれにせよ舞台となる金山のある相川を中心として佐渡の情景がよく表現されていて、方言なども出身者からするとこそぼゆいほどしっかり再現されていてありがたいとさえ感じる。
Posted by ブクログ
相関図や図面などあり構えてしまうが、鉱山用語は読み飛ばしで。読みではあるが、現実味が感じられない真相だった。あだ名は読みにくくしている。しかし、この時代に、経済って使わんだろ。しかも話し言葉。
Posted by ブクログ
面白かった。江戸ミステリ。
序盤、佐渡の地理感はそこそこあるが、なんせ鉱山用語やら、その辺がわからずに、ちくいち参照しながら読んだので、テンポがつかめずにもたくさじれた。
時代は元禄綱吉の代で、佐渡金銀山が斜陽になってきているころ。
佐渡奉行は腐敗している。そこに連続殺人事件が起きる。
犯人は大癋見の面をつけている。
小癋見とちがって天狗的なイメージが強い大癋見。
そこらへん、最初からなんか正義のヒーロー的なんでは、、と
天狗贔屓の私からするといい方であれ、と願ってしまいながら読んだ。
ともかく、腐敗した政治と経済、傾いた金銀鉱山を立て直すのに
中央から焼き剃刀と凍て剃刀が派遣される。
中盤は江戸時代の佐渡にも慣れてきて、さくさくと読み進み
後半、カリオストロの城「とんでもないものを発見してしまったぁ」(とっつぁんで)風味の赤穂浪士か!!と突っ込みながら読んだら、
結びで、、。
まあ、そやろかい的な。
勧善懲悪すっきりさわやかないい感じの時代小説でござった。