あらすじ
「戦争の教訓」は第二次世界大戦ではなく第一次世界大戦にあった! トルコはなぜEUに入れない? 「アンチ・グローバリゼーション」へ向かう世界潮流とは? 社会人を含めて聴講希望者が多く講義録の刊行が待たれていた授業が、満を持してこのたび、書籍の形で世に出ることになった。解説学問に成り果てた従来の国際政治学の枠組みを超えて、日本の国家像と戦略を指し示すことで、「世界と日本の見方」がクリアになる一冊。ゆとり教育で学ぶ世代が増え、日本人自身が世界はもちろん、「日本の見方」さえわからなくなっている現在、本書はそれらを知る絶好の機会といえよう。元となった京都大学での講義は「現代国際政治」と銘打ったものであるが、テーマは近代日本史から戦争の仕組み、革命の正体、世界秩序の構築といったものまで幅広く、読んでいて飽きさせない。さらに歴史の因果関係や国同士のかけひきを知るなど、大人が読んでこそ楽しめる授業内容である。
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Posted by ブクログ
中西輝政さんの京大での講義録をまとめた1冊。第一次世界大戦から現在までの世界、政治の見方がわかりやすく紹介されていて参考になる。
ただ、各エピソードが若干断片的な印象なのは、入門コースとして幅広に解説されたという講義の性格上、致し方ないか。
グローバリゼーションの時代が終わり、これからはまた国家の役割が大きな意味を持つようになるという氏の論は、ビジネスを中心に世界を考える目線からは少し遠い響きに感じられるものの、実際に世界秩序を維持しているのは、強国とその周辺国(ここ200年であれば、英米とロシア、ドイツ、フランス、中国、および日本など)というそれぞれ国家であって、決して国連や共同体ではないという指摘には納得させられる。
経済共同体の進展か国家の再構築か。今後の10年、20年をそういう切り口で見ていくのも面白そうだ。