あらすじ
老人介護施設のマドンナ・キヌ子は、いまだ枯れずに「女」を振りまいている。夫とのセックスレスに悩む看護師のミサは、介助しながらその言動を複雑な思いで見ているが……。今の大人の女性たちが抱える「ままならなさ」を真っ向から、時にユーモアも交えて描いた「女による女のためのR-18文学賞」大賞作家デビュー作。
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Posted by ブクログ
表題作は第18回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作の由.現在の住まいの環境からして「夜這い」という古語が出てくるとは思いもつかなかったが、老人介護施設ならありうるだろう.割にしっかりしたキヌ子ならやりかねない.それに刺激されたのかミサが夫の裕也にモーションを掛ける場面は何故か悲しい感じだった.キヌ子の奔放な行動に共感するミサの心持が頷けるものだった.常に益美さんが出没するのに碧碧している水織がローズ会で憂さを晴らそうとする「ローズとカサブランカ」.「soir rounge」では真紀と広田の関係に刺激されたパン屋のおばさん・弥衣子が、ホスト桝本との逢瀬を楽しむが現実を見て正気に帰る.女子高校生の生態を細かくたどる「カラーレス」は、おじさんの私には理解できない言動や行動が楽しめた.「肉桂のあと味」では、独身女性の明日香が弟裕也の夫婦関係の相談から、包帯くんこと依田の存在を心に留める過程がうまく表現されていた.同じ人物が、別の話にひょっこり登場するのも面白かった.全ての短編は女性の心持をうまく表現していると感じた.
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初めて読んだR18受賞作品。何らかの繋がりを持った世代の違う女性たちが主人公の連作短編集。それぞれの生と性が密接であることを、無駄のない読みやすい文章で優しく語り掛ける作品。特に老婆キヌ子さんのキャラには驚愕したが、こんなこともありうるのか、と目から鱗。
Posted by ブクログ
とても好みだった。R-18文学賞はこうでなくっちゃって思える作品。女性の性に関する事が赤裸々に描かれている。
どの短編も良かったけど、特に好みは「ソア・ルージュ」。還暦を前に性感マッサージにハマり、見境がつかなくなってしまった弥衣子。痛々しくて切なくて、何だか愛おしかった。
Posted by ブクログ
きっぱりした真っ赤なカバーに反して、人のこころのグラデーション、モヤモヤした感情がうまく描かれているお話だなと思う。
だからこそ、どれも他人事には思えない。
私のような年代の女性にはグサッと、ではないけど、じんわり刺さるのではないかな?
BSテレ東の「あの本、読みました?」で知った本でしたが、とても良かったです。
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「赤い星々は沈まない」
「ローズとカサブランカ」
「soir rouge」
「カラーレス」
「肉桂のあと味」
緩くリンクした5話収録の短編集で、表題作は第十八回『女による女のためのR-18文学賞』大賞受賞作品。
文章が洗練されていてとても好み。
年齢を重ねてもなお、身体の奥に燻る欲がエロティックに描かれているけれど、心情が切々と伝わって来て変な厭らしさは感じない。
人物描写が秀逸で、どの物語も脳内で鮮明に映像化された。
女性特有の欲も辛辣さもリアルでデビュー作とは思えない完成度。
R-18文学賞に外れなし。
期待の新星、現る。
Posted by ブクログ
まさに私もその辺りの年齢
読んでいて「ふぅ…」と重いため息が
これ、登場人物が繋がってるんだね
全く知らずに読んだから「あっ、この人!」と思いながら読みました
一番苦手な話はsoa rouge
痛かった…
Posted by ブクログ
こんなにも、
『女』をテーマにした作品は
なかなかないのかも。
最初は
カゲキなお話かな〜?
と思いながら読んでたら、
いやいや そうでもないかも···
若い女のコも、
中年期に入ったおばちゃんも、
老いたおばあちゃんも、
女性として悩んだり
どうしようもない気持ちを抱えてる。
その悩みは
年齢ごとに別れているのではなく、
根底では繋がっている。
読んでため息······ふう。
Posted by ブクログ
いつも気になってしまう女のためのR18文学賞受賞作。今回も納得の作品たちでした。連作短編はいろいろなつながりがおもしろい。本作も楽しめました。女の性(せい)と性(さが)。それは女子高生でも人妻でも老女でも切り離せないもので、そこから自由になるのは難しい。自分に正直に行きたいなと思った。