【感想・ネタバレ】東京ミドル期シングルの衝撃―「ひとり」社会のゆくえのレビュー

あらすじ

未婚率全国トップの東京23区で進む「日本の未来」とは。
孤独担当大臣も知らない、35歳から64歳の「都市型」孤独に焦点を当てる。

高齢者のひとり暮らしが増加していることは誰でも知っている。その現象は公私ともに対応が必要な課題となり、取組みも進んでいる。
ところが、若者期と高齢期に挟まれた35歳から64歳のミドル期のひとり暮らしが増加していることに関しては、基本的に問題の少ない世代と認識されて、政策課題になることは希だ。
この状態が続くと、ミドル期シングルが高齢期に達する頃、高齢シングル問題は大きな社会問題になる可能性がある。
東京23区はなぜシングル化が突出しているのか。その結果、どのような現象が生じているのか。ミドル期シングルの増加は何をもたらすのか。
本書は、増加するミドル期シングルにフォーカスし、そこに多くの問題が内在していることを明らかにし、取り組むべき課題の骨格を提起する。
東京都特別区長会調査研究機構のプロジェクト研究で、東京23区の中年期一人暮らし(ミドル期シングル)の調査研究を令和2-3年に行い、そのデータをもとにプロジェクトメンバー5人が解析を続けて執筆。

ミドル期シングルは、行政サービス的観点からみて、属性的に問題があるとは考えられていない人々でした。その見識は妥当なのでしょうか。ミドル期シングルは、すでに2020年に東京区部人口の3割近くを占めており、それ以後も上昇が続き、中でも前期ミドル期シングルは相対的に増加が大きいと見通されています。日本でシングルの割合が最も高い東京区部は、納税者としての比重も相応に大きいミドル期シングルを、まず政策対象として認識するところから始めることが必要です。また、これらの人々の多くがやがて高齢期シングルになり、高齢者政策の対象となる時代が近いことを認識する必要があります。――「終章」より

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Posted by ブクログ

ネタバレ

女性より男性のほうが孤立しやすいのは肌感覚に近い。シングルが介護の担い手になりがちというのも。シングルは弱い紐帯が大事、というなら最終的にシングルになる女性は弱い紐帯が大事、という結論になるのかな。ようやく少し時間ができたのだから、弱い紐帯をつくることを考えないと。弱った時に頼れる人をうまく作るのはなかなか難しいよね。手段的サポートの調達先をどうやって増やすのがいいんだろう。孤立しないコミュニティは束縛と裏表になることが多いので、難しそう。

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2024年09月08日

Posted by ブクログ

東京の35歳から64歳の未婚率の正体
貧困などの問題もあるかもしれませんが、ライフスタイルの変化が、東京の未婚率に影響しているということでしょうか。
東京は地方の人の集まりと言うけど、そこで生まれて育った子供たちが、1人世帯を形成していく。
ライフスタイルによって家族的な強い繋がりよりも、仲間的な緩い繋がりを求めるひともいる。
ミドル期のシングルがある程度の収入を持つ人が多いというのは、家賃など払えない人が地方へ移ったり、親元へ戻るということか?
東京への一極集中も地方が、人を供給できなくなり、いずれ東京も人口減少になるかもと。

知事選もあるけど少子化を考えるなら、地方の先細りを考えないと東京に人が集まらないのではとも思いました。

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2024年06月25日

Posted by ブクログ

調査データを根拠にした意外と真面目な独身者の状況と推移の分析。
可視化されにくいが、仕事以外の関係もなく、ゆるく結婚したいができないまま独身を続ける、金がないのでその結婚もできない都内在住男性。
目新しいことはないし、感覚的にも相違はない。
一般人が新書的に軽く読むというよりは、社会学や行政の参考資料として。

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2025年08月02日

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