あらすじ
震災に備えて列島を強靱なものに作り替え、東海道ベルト地帯を強化し、分散型の国土構造のもと地方都市を活性化――こうしてGDP900兆円のユートピアが生まれる! 日本は石油ショックのあと世界一の省エネ大国になり、阪神淡路大震災のあとは耐震設計が驚くほど進み、耐震技術についてもまた世界一の国になった――こうした日本の柳の枝のような、しなやかな強靭さ、すなわち「レジリエンス」をさらに磨きGDPを2倍に!
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Posted by ブクログ
大学の自分の所属していた研究室の教授の著書。
藤井先生らしく非常に刺激的な内容であるが、とても力強く、明確なビジョンがあり、すばらしかった。一般向けの書籍であるためか論に強引な部分があり、全てを鵜呑みにできるわけではないが、(各種データのサンプルの出し方や乗数効果の話しなど)参考にすべきだし、国家が方向性を持って突き進んでいくために、この本の内容は進めていってほしい。参与に入られたし一層ご活躍頂きたい。
<その他感想>
・強靭化の施策の話はビジョンがありおもしろかった
・現在著者の言う通り需要があるところに投資を行っていることが多いイメージだが、地方投資をして、どこまでの効果があるかは疑問を感じる部分はある。
・若干論のもっていきかた推計の仕方に強引な部分があるように感じられるが、力強いメッセージとビジョンは一読の余地あり。個人的に地域コミュニティの形成の部分はどのようなことを考えているのか知りたかった
・モデルをもとに推計をしているが、前提にあった使い方をしているのだろうか→どこに投資をしても同じように乗数効果があるとは思えない
・海外への資金流出により、乗数効果がおちるという話しは?
<個人的ポイント>
・レジリエンス①致命傷を受けない②被害を最小化する③すぐに回復する 柳の木のイメージ。曲がるがおれない。また力がなくなると元通り。
・日本には多々災害があり、日本人を日本人にしたのは学校でも文科省でもなく、神代から今日まで根気よく続けられてきたこの災難教育であったかもしれない 寺田寅彦
・大阪や名古屋における津波被害は東日本大震災の計算値を用いれば、軽々と100兆円を超え、200兆円や300兆円程度の規模に達する
・過去2000年に4回東日本太平洋沖のM8以上の巨大地震が起こっているが、そのうち3回は最長18年以内に西日本大震災が起こっている。過去の歴史にあてはめると、早ければ5~6年後、遅くても20年弱の間に西日本大震災が発生しうる
・救国のレジリエンスを手に入れるための8つの対策
①「防災・減災」のためのインフラ対策
危険地域の耐震性を地道に高めていく。国会・官庁などの超重要施設の破壊を防ぎ、致命傷を避ける
②「リスク・コミュニケーション」の推進
防災教育 子供のみならず大人も。行政・政治にかかわる人も。
③「地域コミュニティ」の維持と活性化
それぞれの地域で自信や津波に対するコミュニティの必要性
④有事を用意した「強靭なエネルギー・システム」の構築
原発などの耐震性を高める。エネルギー供給システムを重層にする。電気・ガス リダンダンシー 冗長性
⑤企業・工場の「BCP」の策定義務化
工場・企業の強靭性・レジリエンス確保のため
⑥有事の際の「救援・復旧対策」の事前想定
行政・中央政府のBCP と自然田 地域全体に対して策定する。救援の道路インフラなど大規模な公共事業を織り込んだ計画となるところが企業のBCPと異なる
⑦日本全体の「経済力」の維持・拡大
基礎体力となるGDPが高くなれば、被害に対しても乗り越えて行ける可能性が高くなる
⑧「強靭な国土構造」の実現
『地震や津波の被害が大きそうなところのいろいろな機能を、地震や津波の被害が小さそうな所に、移転させていく』ことを通じて分散型の国土をつくる。
・西日本は沿岸地域に道路が集中しており、津波が発生すると東日本のように救援隊が通ることのできる動御がない。震災に耐える高速道路もつくられていない。激甚な津波被害の後、誰も助けにいけない状況になりうる。
・復習と整備基本法案 伊丹空港跡地など関西が候補にあがっている
・列島強靭化に必要な予算105~200兆円 年10.5~21兆円
・ここ15年ほど経済成長を止めてしまっている国は日本だけ
先進国も経済成長している
・新幹線、高速道路の整備により、三大都市圏に集中している人口を分散させる。太平洋ベルトに本社機能があるはいいが、工場など他の地域に立地できるよう交通網を発達させること。