【感想・ネタバレ】ボールアンドチェイン 3のレビュー

あらすじ

宝島社『このマンガがすごい!2025』オンナ編 第3位

自分が”女性”とも”男性”とも思えない。
でも、そんな僕を受け止めてくれる人がいた。

”クィア”な自己を認め
向き合い始めた者たちの物語

【3巻のあらすじ】
違和感を感じていた男性婚約者との関係を解消し、
同性愛者の美容師〈はるか〉と一緒にいることを決めた〈けいと〉。
一方、家庭内別居状態の〈あや〉は離婚相談所に通い、
同志たちと励まし合いながら経済的自立をするために働き始めた。
人生の岐路に立つ強かな二人の新たな船出――。

”違和感”に目を向け、”自分”を取り戻していく。
各所で話題沸騰、南Q太の最新作。

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「もしもあの頃に戻れたら 結婚なんか絶対しない」

「ボールアンドチェイン」、つまり「鉄球と鎖」とは、囚人や奴隷が足に付けていた拘束具のこと。そこから派生して「束縛」の意を表し、男性が自分の妻を指して言うこともあったらしい。
たしかに、この作品に登場する主人公2人は、見えない「鉄球と鎖」に縛られているようだった。特に驚いたのは、自分らしい生き方を貫いているように見えるけいとでさえ、悩み苦しむ日々を送っていたことだ。しかし、それも考えてみれば当たり前だろう。女性性から逸脱しようとしたって、「女性らしくしろ」という声が消えるわけではない。むしろ、気にしていないふりをすればするほど、その声は強くなったりする。一見自分のことを理解しているふうの彼からの言葉は、より一層けいとに刺さっただろうと、自分ごとのように胸が締め付けられた。
「普通」ってなんだろう。そう問いかける作品は近年よく目にするようになったが、本作はその中でも群を抜いてリアルで苦しい。そして、「普通」なんてわからないけれど、同じような人がいるとうれしい。そんな2人に出会えて少し勇気をもらえた、そんな素敵なマンガだった。

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