あらすじ
芥川賞受賞作家・藤沢周が『Web新小説』に初連載した書下し短編小説、待望の書籍化。
短編小説、 待望の書籍化。「ブエノスアイレス午前零時」119回芥川賞受賞の藤沢周が贈る自分の過去(記憶)をたどりながら現在と交錯する私小 説風書下し作品集。著者の故郷である新潟を舞台に、主人公の幼い頃の「過去」と感染症がはびこる「現在」が交錯する。 人間にとって記憶の本質を問いかける作品。
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藤沢周さんの作品は2冊目。武曲と全く毛色の違う作品に戸惑ったが、だんだん、静謐という言葉が似合いそうな世界観に引き込まれた。
思えば60代の男性が主人公は珍しい。
性別も世代も自分と違う「私」の目線はいずれ自分にも訪れる目線だと感じた。
著者と同じ新潟出身。私小説なのか?そこまではわからない。
新潟の訛りを初めて知った。
作中に、保育園をサボって川を見ていたとあった。その時代はそんな自由だったのか?今だったら警察沙汰だ。良くも悪くもそういう時代だったのだな。
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この人の作品は2作目と思っていたけれど、どうも違うよう。通奏低音的に悲しさとかわびしさとか切なさとかがひしひしと感じられて、途中何度か落涙した。
p228
風呂でシャワーを浴びれば電話の音と錯覚して、体が濡れたまま浴室を飛び出していたのだ。日に日に世界が分からなくなっていく老母をこちら側につなぎとめようとしつつ、私は気の休まらなう介護生活から一秒でも逃れようとしていた。
Posted by ブクログ
40前だけれど、吸い込まれるように。
自分の記憶も混濁していることに気がついた。
何が得られたということもないけれど、揺蕩う感覚は怖ろしくも心地よく。