【感想・ネタバレ】AI監獄ウイグル(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

中国新疆ウイグル自治区には、ホロコースト以来、史上最大規模の少数民族の強制収容所が作られた。収容されるのは、AIに将来犯罪者になると「予想」された無実の人たち。数百万台の監視カメラ、身分証のスキャン、SNSからのデータ収集……テクノロジーを駆使した監視網が、ウイグル人への弾圧を強めていく。そしてその先に待つのは――。丹念な取材で隠された真実に迫る衝撃のノンフィクション。(解説・阿古智子)

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Posted by ブクログ

ノンフィクションディストピアSF
ルポ本自体が今まであまり手に取ってこなかったジャンルだったが、友だちと立ち寄ったジュンク堂でネタのつもりで買ったのが正解だった。興味のある題材のそれはやはり面白いのでは。
全体主義的な政治体制とそれに利用されるテクノロジー、自由主義の顔として対立するはずの国家にありながらカネのために黙認/協力してしまう大企業。そのプレゼンスの多寡に依らず、これまで続いてきた民族や宗教といった概念は分断されるのか、統合されるのか。
2025年はアイデンティティを見つめる年になるかもしれない。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

この日本においても。

商店街や駅、電車の中まで監視カメラが配置され、
道路ではNシステムがクルマのナンバーだけでなく運転者や同乗者の顔も常に記録し
街なかの監視カメラには人の動作から不審者検出する機能が盛り込まれたり
駅には顔認証改札が導入されたり
駅を通行する人の顔を前科者や仮出所者のリストと照合しようと企んだり
健康保険証や運転免許証と合体させて国民IDカードを全国民に常に持ち歩かせようとしていたり
キャッシュレスやポイントカード、通販に誘導して個々人の購買履歴や趣味嗜好が記録されるようにしたり。

本書が暴いた中国のシステムは他人事ではなく、いま日本が目指している姿なのかもしれない

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

チベット、ウイグル、香港そして台湾と、中共とその親玉である習近平が行う悪行には反吐が出る
中国の歴史と文化には大いに敬意を表するが、いま中共が行なっている蛮行は許すことができない
習、トランプ、プーチンは同じ穴のムジナ
こいつらによって世界の憎悪と分断がさらに進んだ
ウイグル族の人々の未来に幸多からんことを願う

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

ジェフリー・ケイン『AI監獄ウイグル』新潮文庫。

現地取材と約3年間にわたる168人へのインタビューにより中国新疆ウイグル自治区の隠された真実を暴いたノンフィクションの文庫化。

近未来のディストピアを描いたフィクション小説を読むかのようだった。

世界の工場と呼ばれるまでに急成長した中国は、自国の領土と支配地域の拡大を止めようとしない。ウイグルやチベット、台湾と中国による圧力は留まるところを知らない。そして、日本にも魔の手を伸ばそうとする中国。

まるで有りもしない自らの敵を自らの手で生み出そうとしているかのようだ。ロシアと同様に余りにもやり過ぎだ。いずれ、大きな悲劇が起きるのは間違い無い。


本書に描かれているように中国政府による新疆ウイグル自治区の少数民族に対する弾圧は常軌を逸している。

少数民族は犯罪者になる可能性が高いという考えから、新疆ウイグル自治区では何百万台もの監視カメラ、SNS、IDスキャンの行動履歴で収集した膨大な個人情報のデータをAIによって処理し、市民の『信用ランク』を決定するのだ。そしてAIの判定により『将来の犯罪者』と認定されると、無実であろうと収容所に送られ、洗脳教育や強制労働を命じられるのだ。


頭の狂った指導者が最先端のテクノロジーを監視と抑圧に使う恐ろしさ。モラルの欠片も無い大国が最先端のテクノロジーを扱うことの恐ろしさ。異常に不衛生な武漢の生鮮市場で発生した新型コロナウイルスを食い止めることの出来なかった大国の最先端テクノロジー。

そんな大国も、ほころびが露呈し始めているようだ。

本体価格1,000円
★★★★

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

酷いモンだね。知ってたけど。
一九八四の世界が、まさにIT技術の進化によって実現されつつある。しかも、こいつ犯罪起こす確率高いから、拘束される世界。

まあ、まじにやると、このお国がまず隔離されるはずなんだがな。

なんでここまでやるのかと思うんだが、おそらく、盗賊が易姓革命と正当化してきた文化なのだからではないかと思う。
正当化であって「正統」でないことを判ってるんだろう。
油断すれば、ひっくり返される「正当性」。
俺たちは正しい。なぜなら、「勝った」から。
正しいゆえに、従わないことは、「悪」である。
異論は認めない。
異論は悪であり、正当を脅かすものだから。

幸せは、個々人にあるものでなく、「正当」の下でこそ実現される「べき」ことなのである。

だからおそらく、ウイグルに対する行動も、本気なのだろう。
怖いんだ。「正当性」が脅かされるのが。

理論理屈は関係ない。自分たちが正しければ、他人からそう評価されていれば、それでいい。

異なる文化から見れば実にアホな理屈だと思うんだが、ここに、金と権力が入り、金と権力が好きな人は他の文化にも当然いて、これが力を持ってるので、面倒臭い。

自分たちが、金と権力の側にいつまでもいれると思ってるからではないか。
そこに入れば、それが「正義」だと思っているのではないか。

世界中がそうあるべしと行動していることが怖い。

筆者が、「AI」による監視の怖さを強調してるのがちょっと違和感。怖いのは、「正当性」による支配のような気がして。「AI」はただの道具。

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2024年05月14日

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