あらすじ
さらば勘と経験!データドリブンで急成長を実現したノウハウを公開。
★変えたことはたった一つ。データドリブン経営に舵をきり、売上右肩上がりの急成長。「一休.com」では具体的に何が行われていたのか?本邦初公開!
★「思い込み」で意思決定する前に、徹底的にデータと向き合ったと自信を持って言えますか? データに素直に従った方が正しくありませんか?
★データドリブンはビジネスの話。データ分析はあくまで手段で、分析結果を役立てて業績向上につなげることが最重要。
★「Consumer is Boss(顧客がボスである)」はビジネスにおける普遍の法則。ただ、顧客データがあふれる現在においては「DATA is BOSS(データがボスである)」に変わってませんか?
数字やデータの扱いが苦手でも、本書を通してエンジニアやデータサイエンティストに、やりたいことを適切に伝えるエッセンスを習得できるため、データドリブン経営への第一歩が踏み出せる!
対象読者
・データドリブン経営を実行したい経営層
・従来型の経験に頼りがちな文系の経営・マネジメント層
・データに基づいた意思決定に関心が高い、次世代を担うビジネスパーソン
・ビジネス部門の思考を理解したい、エンジニア・データサイエンティスト
●目次概要
はじめに 「DATA is BOSS」の意味
序章 まず知ってほしい「データドリブンは、ビジネスの話」
第1章 データを制するものがビジネスを制す
第2章 「掛け声だけ」で終わっている日本型データドリブン
第3章 データドリブン経営の本質
第4章 データドリブン経営の実装
第5章 データドリブン施策の具体例
おわりに AIの進化が何をもたらすか
読者特典 顧客行動の見える化レポート10選
■著者:榊󠄀淳
株式会社一休 代表取締役社長。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)にて金融工学を駆使したトレーディング業務に従事。2003年に米国スタンフォード大学院のサイエンティフィック・コンピューティング学科修士課程を修了後、約10年間コンサルタントとして活躍。2013年、株式会社一休へ入社し、2016年には代表取締役社長に就任。2023年からはLINEヤフー株式会社 執行役員 コマースカンパニー トラベル統括本部長も務める。ほかにも、「国際医療ボランティア団体」特定非営利活動法人ジャパンハート 理事や株式会社じげん 社外取締役を務める。
※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。
※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。
※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
データドリブン経営がどういったものでなぜ重要なのかが良くわかる本。データドリブンとは顧客を理解する事という最も重要な観点から始まり、具体的な一休でのデータ活用事例も見れてとても興味深い内容だった。
Posted by ブクログ
データドリブンが特別な職能を持つ者だけが携わる特別な業務、職域だと思いこんでいたがビジネスの話だという点が目から鱗だった。
コンサル出身だけあって抜けなく漏れない理路整然としたストーリーを持たせた章立てで理解のしやすく自分のビジネスにも役立てたいという気持ちを起こさせる良書です。
Posted by ブクログ
普通に泥臭くやりまくってて好感度たかい
社長だからか、平易な言葉でわかりやすく伝えるキーメッセージ、のようなものがうまい
毎週日曜に自分で分析してレポート書いてるって、その賜物か
Posted by ブクログ
この本で言いたいこと。
最も価値のある顧客セグメントを割り出し、そのターゲット顧客に焦点を当てた施策を行うべき。
大抵の企業は顧客の細分化が不十分
良い戦略とは「誰に何をするか」が明確。
誰に:自社のサービスを最も喜んでくれそうなターゲット顧客を見極める
何をするか:ターゲット顧客が喜んでくれそうな商品やサービスを提供すること
商品セグメント別のデータが重視されているケースが多いが、本当に大事なのは顧客セグメント別。
LTVを正しく活用できていないケースが多い。
キャンペーン全体が黒字だとしても、その中にはLTVが黒字の顧客と赤字の顧客がいることがある。
顧客を平均で見るのではなく、どういった新規顧客が
LTVが高いのか(初回の購入単価が高い新規顧客はその後のリピート利用金額も高い傾向がある)、顧客グループ単位で分けてLTVを算出すべき
Posted by ブクログ
…それは、事業が成長するためのアイデアは社外にあるのではなく、社内にあることが多いからです。
事業が期待通りに成長していないということは、社内の総意として実行されている戦略や施策が間違っているといえます。しかし、だからといって社員それぞれが考えている戦略がすべて間違っていると捉えるのは、いささか短絡的です。その時点では実行に移されていなくても、それまでの事業の経緯や課題を内部から知っている社内の誰かが、事業を画期的に成長させるヒントやアイデアを持っていることが多いのです。
一休には現在エンジニアが約60人、データサイエンティストは3人います。
一休の場合、既存顧客のCVRが15%程であるのに対し、新規顧客のCVRは1%くらいしかありません。
今一度、強調しておきたいのは「誰に」が重要だということです。私から見ると、どんな企業や事業の成長戦略や競争戦略でも、その9割くらいは「ターゲット顧客は誰か」で決まっています。
◾️データドリブン経営のための「必要条件」
会社の誰かが、顧客行動データをよく見て社内に共有すること!
◾️顧客行動を見える化するためのとっておきの10の分析
「売上に至るプロセス」を見える化するために・・・・・・
①自社の競争環境を見える化する
②顧客の購買プロセスを見える化する
3在庫の販売状況を見える化する
4顧客の購買・キャンセルを見える化する
「売上から利益に至る財務データ」を見える化するために・・・・・・
⑤顧客軸で売上を見える化する
⑥顧客軸でPLを見える化する
71件1件の売上でPLを見える化する
8日々のPLを見える化する
「顧客のリピートプロセス」を見える化するために・・・・・・
⑨顧客別のLTVを見える化する
⑩顧客のリピート状況を見える化する
よく見かける顧客分析は、年齢・性別などのデモグラフィックを重視したセグメンテーションですが、私はデモグラフィックな顧客軸で分解することはほとんどありません。それは、年齢や性別が異なるどの顧客セグメントをターゲットとしても、実施する施策があまり変わらないことが多いからです。
例えば男性と女性の顧客セグメントに分けたとしても、双方の顧客セグメントに、前述のようにまったく性質の違うレジャー顧客と出張顧客が存在します。この場合、男女どちらをターゲットにしても、レジャー顧客と出張顧客の異なるニーズに応える必要があります。そのため、男女どちらをターゲットにしても、実施する施策がほぼ同じになりがちで、結果として総花的な施策に着地して成果を得られないことが多いのです。なので、デモグラフィックな顧客軸はあまり使っていません。
顧客軸で売上を分解する方法を3つほど紹介しましたが、だいろいろな分解があります。例えば、次のような切り口です。
・販売チャネル別(リアル店舗、ネット店舗、電話販売など)
・流入チャネル別(テレビ・新聞などの伝統的広告経由、ネット広告経由、自然流入など)
・エリア別(顧客の居住エリアなど)
・ライフスタイル別(検索はGoogleかYahoo!か、携帯電話はiPhoneかそれ以外かなど)
・年齢・性別以外のデモグラフィック(所得、家族構成、職業など)
私は、先の流れとはまったく異なるステップで分析に臨みます。
1.どんな表やチャートを作れば、自社のアクションが変わるのかを考える
2.データに触れる
3.表やグラフにしてアウトプットする
いろいろな模索の結果、現状は一休では顧客別に“パーソナライズ 度合い”を調整しています(図5-8)。
例えばヘビーユーザーは、自分好みの宿や方向性が明確で、過去の 閲覧や宿泊データが多いので、ある程度は強めにパーソナライズする ほうが喜ばれます。価格帯やエリア、旅館かホテルかはもちろん、旅 館でもクラシックな宿が好みか、それとも和モダンな感じが好きなの かなどの顧客の好みも反映して提案します。そこに、少量のmost popularをリコメンドに織り交ぜていく感じです。
一方でライトユーザーは、夏休み前などシーズンごとに利用いただ くことが多く、去年泊まった宿に再び行きたいとは限りません。また 利用頻度も低いので、私たちが顧客を十分に理解できているとはいえ ません。ですので、顧客の行動履歴から推測されるパーソナライズを強くするよりは、「今人気なのはこの宿!」と全顧客に人気が高いmost popularを打ち出すほうが喜ばれる傾向があります。
…パーソナライズに関しては、このバランスをどう取るかが、経営とデータサイエンティストが解くべきいちばんのイシューだと思います。
一休の顧客コミュニケーションの最大の特徴は、開封率をはじめとした各種の顧客の反応が非常に高いことです。1日あたり約10万通のメールを配信したら、約6万人がメールを開封されており、割合にすると約60%の開封率です。開封率が高いことは、顧客が一休からのアプローチを楽しみにして下さっている証しでもあり、その後のサイト訪問や購入確率も他社と比べてかなり高い水準にあります。
一方、一休では1日あたり約500種類のコンテンツを、1種類あたり平均約200人に配信しています。顧客が知ったら喜ぶと思われる多種多様なコンテンツを先に準備しておいて、特定の顧客行動をトリガーにし、顧客を絞って配信するという「多数コンテンツの少量配信」に取り組んでいるのです。
…メール経由の売上はもちろん把握していますが、私たちはそれを第一のKPIにはしていません。強いていうなら「コミュニケーションを楽しみにしている人の顧客数」をKPIにしています。
一休では私自身が毎週日曜にレポートを書いているので、市場の変化を直接感じています。そして、その気付きを毎週月曜にチームと共有し、施策に反映しています。
また、毎週1時間、カスタマージャーニー勉強会を行なっています。私は事業部のミーティングには一切出ませんが、この勉強会だけは同席するようにしています。