【感想・ネタバレ】夜明けを探す少女はのレビュー

あらすじ

世の中には、夜になっても鍵をかけない家があるのを知ってる?──シカゴの高校に通う黒人の少女ボーは、卒業を機にこの街を出ると決めていた。絵の才能を活かし、盗みも撃ち合いもないどこか遠くへ行くのだ。そんな十六歳の冬、姉のカティアが不法侵入の疑いで警官に射殺された。外の安全な世界に憧れ、ボーに語り聞かせてきた姉が、犯罪に手を染めるはずがない。ボーは姉の無実を証明するため、現場から消えた姉の恋人を自ら探しはじめる。少女のひたむきな調査行と姉妹の絆が胸を打つ、アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作!/解説=吉野仁

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Posted by ブクログ

警官に射殺された姉の無実を証明するために奔走する妹・ボーの必死な推理と行動の過程を瑞々しく描いた青春小説でした。

ミステリとしての謎解きという意味ではさほどの意外性はありませんが、ボーを取り巻く環境の複雑さと、その中でもがき生き抜き希望を見つけようとあがく彼女の強さと弱さが繊細に描き出されていて、とてもリアリティが感じられました。

黒人差別が歴然と存在するアメリカ社会、その中でも貧困層に位置するボーたちの犯罪と背中合わせの毎日。それでも夢を描いて通う学校での人間模様。そして友情と恋愛。そういった、彼女が日常的に出会っている困難や偏見や苦労が、事件の発生と解決に向けての謎ときとともに描かれています。

彼女はときにとても幼く怒り、猪突猛進に行動し、自業自得の結果を招いたりもします。けれど幼いころから社会の不都合に付き合わされ、不合理に迎合せざるを得ない世の中を知る中では、たくましく生きようとしているようにも思いました。

「自由研究には向かない殺人」のピップのような賢しさではないけれど、彼女とは違った形で、大人の都合よく築いた現代社会であがく姿を生き生きと描いているように感じ、その生きざまがこの作品の一番の魅力だと私は感じました。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

高校2年生の黒人の少女ボー。姉が不法侵入の疑いで警官に射殺され、姉が犯罪を犯すはずはないと無実の証明をしようとする。現在が語られていくパートと過去のボーと姉との日々が語られるパートとがある。黒人であるということで受ける差別や疑いの目のなかにあって、姉の無実と自分の権利を主張していくボーが魅力的。友情や恋愛もあるけれど姉のことを追っていく姿と、そのことで理解されない人たちとの平行線のような会話。その虚しさや孤独感が迫ってくる。差別や暴力などの社会問題だけの作品ではなく、姉妹のつながりとか友人たちとのエピソードにも魅力のある作品になっている。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

シカゴで暮らす黒人少女ボーが主人公のミステリー。慕ってる姉が不法侵入者として射殺される、と言う事件が物語の発端。友人との高校生活と過去の姉との日々が交互に語られ、姉の無実を信じて目撃者を探すボーと、黒人に対する偏見、取り巻く環境の悪さに胸が痛む。若い世代に読んで欲しい。

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2024年04月18日

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