【感想・ネタバレ】天気でよみとく名画 フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガのレビュー

あらすじ

「悪魔」の正体は局地風(ゴッホ《星月夜》)、描かれた雲から降水確率もわかる(フェルメール《デルフト眺望》)、天気の表現でわかる作家の出身地などなど、古今東西の名画やマンガを天気という視点で見直すと、意外な発見に満ちている。画家たちの観察眼は気象予報士よりも凄いかも!? さらに、同じ地域でも時代の異なる作品を比較することで、温暖化などの変化に気づくことだってできる。現役気象予報士による美大の人気講義を再現。
1章 低地・高緯度のオランダが育んだ「光の絵画」
2章 島国イギリスの気象が生んだ「風景画」
3章 温暖なフランスだからこそ印象派が花開く
4章 豊かな日本の雲と雨
補章 漫画、アニメで描かれる気象現象
気象用語解説

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Posted by ブクログ

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P23 『夜景』
実際は昼で、薄明光線(P211)を描いたもの

P38 『あさきゆめみし』
宇治十帖もあるのは画期的

P218 蜃気楼
この図はわからなかったのでした

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2024年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 絵画とは、対象物を見、それを画家の感性でカンバスに置き直すもの。絵画の中に雲や霧があればもともとどんな雲だったのか?を追いかけることができる。その頃のその場所の天候から、「描かれている場面はこんな天気のときだったのでは」という推理を重ねていく。さすが気象予報士の書く本。
 この本を知ったきっかけはyoutubeの山田吾郎氏の絵画動画でみたことから。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 新しい視点での名画解説で面白かった。

 が、「天気でよみとく」というほど、絵、そのものの理解のためにお天気を解説していくのではなく、名画の中の空模様から、その時の状況や、描かれた時代、地域の気象条件を 読みとくもので、むしろ、「名画からよみとく」と言ったところだろうか。

 いずれにせよ、フェルメールの絵に描かれた積雲から、その時の降水確率は10%くらいだとか、ちょっとした蘊蓄は面白い。
 また、フリューゲルの『雪中の狩人』を例に、

「1550年から1849年の間はヨーロッパ全体が寒かったといい、絵画に雪景色が急に増えていった時期になった」

 という考察は面白い。
 もっとこうした古気象学的な考察も多いかと思ったが、そもそも、考古学的に気象を考察するには、「絵画」のほうが少ないか。

 舞台を日本に移し、浮世絵から読み解く天気は、広重と北斎の比較だ。
 広重が、比較的忠実に季節、地域に応じて空模様を描いていたのに対し、北斎は、むしろ作品のモチーフに合うように、自由にお天気を描いていた傾向にあるという分析も面白い。
 北斎の有名な「赤富士」の絵も、背後に広がるいわし雲から、「赤富士が見られる時の条件と異なります」と喝破する。
 北斎は、絵の主題に合うように「晩夏から秋の印象的な風景を合わせたのでしょう」と、著者は推測する。

 また、北斎の絵に見る「風」の描き方は、現代アニメにも大きな影響を与えたという考察も面白い。
 というか、浮世絵の時代から、脈々と日本の漫画、そしてアニメにはその技法が受け継がれているという証左か。

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2024年03月03日

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