あらすじ
神の差配により、罪を犯した者は身体の一部が異形化させられてしまう世界。生まれながらに身体に変異をもつ原罪種として、罪人を捕らえ裁く治安維持組織の職に就く主人公ヨシュアは、みなし子の女の子カナンと共同生活を始める。しかしこれをきっかけに、ヨシュアは避けがたい運命の波に飲み込まれていく。
数年後、成長したカナンは王政打倒を掲げる革命軍に所属することに。革命軍を率いる女性ノアとカナンの友情とその蹉跌、そして暴かれる神の真実。運命に翻弄されながらも真実のために起ち上がった人間たちの戦いは、壮絶なクライマックスへと向かう。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
罪を犯すと体の一部が異形化してしまう世界。
結構ダークな世界観・展開で、設定も面白いからそれだけでも読めるけど、カナンとヨシュア、周囲の人々の愛憎模様が良かった。
タイトルについて考えてみる。
”獣はヒトの夢を見る”
物語の最初は原罪種のヨシュアが異形の姿から脱するために贖罪の道を探していたけど、最後にはカナンやノア、残された人々が精神的に獣からヒトになることを目指す。対話による革命ができず、獣のような暴力による革命になってしまって、ここからの統治が心配になるが、皆で協力できるように努力する。ヒトの道を目指すというかたちになったなと思った。
”神様のいるこの世界で”
物語の前半はそのままの意味。でも真実が明るみになると、結局神様はいなかった。PSYCHO-PASSでいう免疫体質であるマルアム目線では、最後に見たのもヨシュアが異形化した姿であり、神ではない。最後に「罪深き私に愛(罰)を」って言ったのも、闇に手を染めても異形化を受けない体質で神を感じられないということから、何かしらの形で神を感じたかったということなんだろうか。
神様はいないけど、カナンは十字架を背負って生きていく。神様はいなくても原罪や十字架はあり、それが各々にとっての神様的なもの。という解釈をしてみた。