あらすじ
今日も世界の片隅で、ひとり膝を抱える僕とあなたのために。
不幸に愛された、トホホ名人……歌人芸人が身を切って綴る、“せつなさとおかしみ”、“短歌とエッセイ”のマリアージュ。
恋でも、仕事でも、その辺にいるときも。あのときも、今も、どうせ明日も。
傷づいたり落ち込んだり。顔では笑っているけど、心は砂漠。
僕の日々は小さな不幸の連続です。トホホな出来事がよく起きて、センチメンタルに殺されそうな日々です。
でも、不幸があると短歌ができます。その短歌を読んで誰かがクスリと笑ってくれます。そうすると僕の小さな不幸は成仏されるのです。
短歌があればトホホも友達です。もしあなたに今、憂鬱なことがあるのなら、僕と一緒にトホホを小さな笑に変えてみませんか。
□すすきのを3周したのにあのホスト僕の原付にまだ座ってる
□注意するほどじゃないけどないんだけど新人さん少し休憩長い
□帰ろうと言い出す前の沈黙を作りたいのにずっと喋るね
□自転車で豪快にこけてやっぱりか この夏初の半ズボンの日
□ワンテンポ隣の席が早いのでコース料理次々とネタバレ
□節約のために水筒持ち歩き パチンコでむちゃくちゃ負けている
□もうこれで最後だの感じ出したのに3日後に会う機会があった
□短歌とか少しも興味のない君に届かせたくて詠んでる短歌
…ほか、トホホ短歌に、トホホエピソードを添えて。
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Posted by ブクログ
芸人さんで歌人さんの岡本雄矢さんによる短歌とエッセイ第二弾。
看板に偽りなし、クスリと笑えてちょっと切ない。
今回も「いいひとすぎるよ!」という感想でした。
前作のレビューでは、だいぶ失礼なことを書いてしまい反省している。
***
今回気になった短歌。
これ、わたしもやってる笑歌
・すぐ既読つけたらキモいと思われる気がして一旦スマホを置いた
うつくしい歌
・ほら見て!と空を指差す爪のなか今年最初の花火が上がる
怖面白い歌
・原付で暴走族の集団に混ざってしまって月がまんまる
かわいらしいまる歌
・サンパチの前で喋ったサンプンを君にパチパチしてほしいまる
※サンパチとは、漫才のときのマイクのこと。
これわかる歌
・つたえたい衝動はある つたえたいことなんてなにひとつないのに
驚いた歌
・友達の瞳に映る自分見て髪の毛直している女の子
これ好きだな歌
・唐突にあやふやに吹く口笛は誰かがやめた口笛のつづき
それでいいの歌
・リポビタンDってこんな色なんだ ぶちまけたから気付けた よかった
そういうひとにわたしもなりたい歌
・そういうの興味のない人の口の中 まゆげコアラが投げ込まれてく
しんみりと気付かされる歌
・もう二度と誰かの孫になることはないと気付いている三回忌
***
かゆいところに手が届く的な歌。
散文のように読みやすく、イメージしやすい歌ばかり。
こういう歌って読むのは容易く、詠むのはむずかしい。
エッセイも短文で、余白が多く、ふだん、本を読まない方にもおすすめできる。