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Posted by ブクログ
江戸時代のサラリーマン、呉服商白木屋で働く奉公人の姿。
その職務内容や日常等を約400点の古文書から、紹介する。
第1章 奉公人のライフサイクル
第2章 販売と掛金回収に励む奉公人
第3章 仕入れや帳付けに気を配る奉公人
第4章 奉公人の心構え 第5章 奉公人の生活
参考文献有り。
白木屋日本橋店に関する「白木屋文書」約400点を基に、
当時の白木屋で働く奉公人たちの職務や生活、その姿を紹介。
文書に残るのは、11,2歳で京都の本店で採用され、江戸へ下り、
こども~若衆~手代となる奉公人たちの職務と生活の姿。
彼らを纏める店側の、就業規則。それは、なんとも細々と。
その条項があるのは、その逆の実態があったからの、戒め。
更に、江戸時代で数百年、店を保ったノウハウでもあること。
そして、現代の企業や働くサラリーマンにも通じること。
人との関わりと付き合い、外回りや出張での行動。
会議での居眠りやサボりは、昔も今も変わらぬ実態。
また、年功序列と能力主義の併用による昇進、服装の序列等は、
能力主義ですが現在の大相撲の世界に残っているように思えます。
『明鑑録』に残る事実は小説よりも奇なり!
入店2年目の壁、掛金の持ち逃げや女郎部屋通いのための
使い込みや盗みなど、時代小説のネタになりそうな記録が
残っています。符牒や隠語の話も興味深いものでした。
Posted by ブクログ
愛聴しているPodcast「伊藤洋一のRound Up World Now」の
中で伊藤氏が取り上げていたので読んでみた一冊。
江戸の大呉服商・白木屋に勤めていた奉公人たちの姿を
古文書から描き出すという内容。
昔も今も勤め人の考えることは同じようなもんだ、ということが
よく分かる。「接待はほどほどに」とか「会議をさぼるな、居眠り
するな」とか。
筆者が繰り返し指摘しているとおり、こういうことをしてしまう
輩がいるからこそ、こんな禁止事項が出てくるわけで。
いつの時代も、サラリーマンは辛いのぅ。
筆者がこの本を通じてもう一つ伝えたかったのは「古文書の
勧め。」
例えば、白木屋文書の中の一つに『演舌』という帳面があって、
この言葉はもちろん『演説』を意味するんだけれど、筆者はこの
『演舌』と言う言葉が気に入っていると仰る。何かを伝えようと
『舌』が口の中で一生懸命動いて『演』じているこの表記は
様子が生き生きと伝わってくる、と。
同じように、「上の空」を『浮空』とか、「行儀」を『形儀』とか。
確かにその状態をうまく表していて面白い。
こういう例を挙げて教えてくれる先生がいれば、あの退屈な
古文の授業も違ったものになるのに、などと考えてしまった。