あらすじ
北朝鮮の極秘情報に通暁する著者が新体制を徹底分析
2011年12月17日、金正日はあっけなく死んだ。これで金日成、正日と続いた北の「一人独裁体制」が終わった。弱冠29歳でカリスマ性のない正恩が、70歳以上の重鎮たちを抑えて独裁ができるわけがない。金正恩体制はどのようになるのか。また、その体制は長続きするのか、短命で終わるのか。これらを見極める節目が、正日の百日喪が明ける3月末以降、次々とやってくる。国民の生活を犠牲にして先軍政治を続けるか、改革開放に向かうのか。権力闘争からクーデタ、内乱が発生するか、食糧難から暴動が起きないか。
そんな北朝鮮から、拉致された人々を救うためにも、日本はどう動くべきか。
NO1北朝鮮ウォッチャーである辺真一氏が極秘情報も交えて徹底分析する。「北は体制維持に長けていて、ジャスミン革命を期待しても無理。ただ、金正恩は複数回の極秘来日経験があり、日本語を解し、かなりの知日派であり、日本にあこがれを抱いている。また、北が安心してつきあえる周辺国は日本だけだと知っている。今こそ日本は拉致問題解決を条件に関係改善を図り、北を対中、対韓のカードとして活用する、くらいの発想の転換をしてはどうか。」と提唱する。
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Posted by ブクログ
日本との関係、米国との関係の分析が面白い。
日本との関係においては、2002年の首脳会談から「ボタンの掛け違い」があった。
首相会談時、日本側は外交儀礼である晩餐会への出席を拒否し、北朝鮮側が用意した弁当やミネラルウォーターですら手をつけなかった。
一方、クリントン元大統領は拘束されたアメリカ人記者の解放を求め、特使として北朝鮮を訪問。
金総書記と、直接交渉しアメリカ人記者の解放に成功。
その成功の裏には、金日成主席死去時に、当時大統領だったクリントンが敵国ながら弔電を送り敬意を評した。
その時総書記は「敵ながらあっぱれ」と高く評価し、朝米首脳会談の一歩手前まで事態は好転した。
東方礼儀の国の北朝鮮は、なによりもメンツを重んじるのだ。
対する日本は小泉首相が、対話・交渉による進展を計ったが拉致問題による世論の硬直化で、制裁・圧力に拍車がかかった。
公式ルートをはじめ、あらゆる対話のパイプは途絶えてしまった日本の「毅然な外交」により、情勢の好転する兆しは全く見えていない。
日本は、今こそ戦略的にしたたかに外交を駆使し、日朝関係の改善に向けた動きを始める時期に差し掛かっている。