あらすじ
刑事ピアは作家デビューした元夫ヘニングの依頼で、出版社の元文芸部長ハイケの家へ向かった。彼女と数日間連絡がつかず、ドアに血の跡があるという。家に入ると、二階に鎖でつながれた老人がいた。捜査が始まり、老人は彼女が介護していた父親だと判明、血痕はハイケのものと断定された。ハイケに作品の剽窃を暴露されたベストセラー作家が被疑者に浮かぶが、ハイケが勤めていた出版社の社長をはじめ、疑わしい人物が増えていく。さらにハイケの友人が昏睡状態で発見されて……。出版業界をめぐる泥沼の事件に、刑事オリヴァー&ピアが挑む!/解説=吉野仁
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Posted by ブクログ
登場人物が多い上に人間会計が複雑、更にそれぞれがあだ名で呼びあったり、作中作小説は仮名処理されてて、誰が誰だかわからなくなる。
しかも、みんな嘘ついてて、ルービックキューブかってくらい事件の構図が目まぐるしく入れ替わり、その度に容疑者候補順位が次々シャッフルされる。
これを最後に収束させられる技量半端ない。
ピアがため息混じりに「これは最低の事件よ。嘘と巻き添え被害だらけ」というのも頷ける。
そんな中、ゼヴェリン・フェルテンのキャラが最高。未だかつてここまで強烈な噛ませ犬がいただろうか。
終盤で特殊応力を発揮するし、ニコラのお気に入りになってるし、レギュラ入りを予感させますね。
Posted by ブクログ
オリヴァ―とピアシリーズの第10作。
オリヴァーの私生活はこんな酷いことになってたんだっけ?
上手く行っていたような気がしたのだが、
ピアに言わせれば、いつも同じタイプ、
不安定さを抱えるキャリアウーマンタイプに惹かれるオリヴァーが悪いのだが。
元妻のコージマが癌になり末娘と一緒に住んでいるが、
妻の娘が悲惨な事件を目撃したトラウマからか意地悪三昧。
オリヴァーひとりなら、自業自得で終わりだが、
娘を巻き込むのは親としてどうかと思う。
別居すると聞いて「ようやく?」と言いたくなるピアの気持ちがよくわかる。
さらには、家を出た後に元実家のお城を改装したホテルに泊まり込み、
敷地内の家に安い家賃で住まわせてもらえそうとは、
貴族のお坊ちゃん極まれり。
事件の方は、出版社の元編集者が行方不明になったことからはじまる。
働いていた出版社は創業者一族が経営していたが、
その関係者が関係しているのか
もしくは作品の剽窃をばらされた作家が絡んでいるのか。
出版社社長の年の離れた従兄が事故で亡くなったことや、
社長の母親が自殺したことに関係しているのか。
謎解き部分は面白かったし、
編集者の一人と社長が距離を縮めていくところも良かった。
その編集者がアイスティーをもってバルコニーに出て、
原稿を読む場面がうらやましかった。
人を殺したと思い込んだ有名作家のドタバタ劇も、
意外にもそのあと事件解決に手を貸したところも面白かった。
ピアの方はといえば、妹キムと前作で出会えたその娘はうまくいかなかったが、
新しい家で、事件で知り合った犬を飼い始め幸せそうだった。
元夫の法医学者ヘニングがミステリー小説を書き、
今の夫がへそを曲げるのが問題らしい。
被害者の隣人を見てピアが、
投資銀行勤務か弁護士にちがいない、出勤前にはハーフマラソンをしていることに
「わたしのミニを賭けてもいいです」と言ったところを、
カシオミニ、と空目をしたのは私だけでははず。
Posted by ブクログ
相変わらず一気読み必至のストーリーで、ぐいぐい読み進めてはいたのですが、今回はちょっと読みながら頭の片隅に違和感がちょいちょい顔を出しました。
なぜみんな、周りの人に一言言わないの!?
そうすれば何人かは死なずにすんだはず。
以下、ぬるっとネタバレになっているかもしれません。
気をつけますが。
例えば、不審な日記の切れはしが届けられた時、過去に犯罪を犯した人は口をつぐんでもしょうがないけど、何が起こったのかわからないまま口裏をあわせさせられた人は「どういうこと?」って言っていいと思う。
言ったら殺されてたかもしれないけど。
ていうか、ハイケが殺された理由がいまいち判然としない。
殺人を見ていた人より殺人を犯した人の方が罪が重いのは当たり前。
それよりも軽い、財産の横取りを隠すために殺人を犯すかね。
既にリミッターが外れていたのかもしれないが。
そして、35年前の殺人事件の再捜査はする(ドイツの殺人罪に時効はない)のに、それ以前の殺人事件については証拠不十分であきらめるのもよくわからない。
現在の殺人事件もかなり証拠不十分では?
だって、声は聞こえなかったけれど言い争っている姿を見た、って証言だけだったじゃん、あの時点では。
そして冷酷な殺人犯という印象で書かれているけれど、目撃証言によれば発作的な殺人だったよね、もうひとつのと違って。
使用人が姿を消すのも不自然なのよ。
何十年も使えてきて、いろいろあったかもしれないけれど、貴重品を残したまま姿を消すって怪しすぎるやろ。
口先だけでも「お世話になりました」遠き手紙を置いて、スマホは持って姿を消せ。
まったく紛らわしいんだから!
野次馬的性格ではないのに、やけに事件の捜査状況を知りたがった人も、キャラクターに統一感がなくて気になった。
オリヴァーの家庭状況も恋愛体質もわたし的には不要。
もう58歳、落ち着いて、無理をしないで生きなさいよ、と言いたい。
あと、ドイツでも、認知症の親を自宅で一人娘が介護するんだ…と思った。
あれだけ外でバリバリ働いて、親のことは内緒にして、やって行けるのか?
案の定自分が殺されたとき、親は二階で鎖に繋がれていた。
それは徘徊する親への安全対策だったのだろうけれど、日本よりは福祉国家だと思っていたドイツでこれか…。