あらすじ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
『経済は地理から学べ!』(ダイヤモンド社)、『現代史は地理から学べ』(SB新書)に続く、著者の「地理から学べ」シリーズ第3弾、『現代世界は地理から学べ』!
今回著者が地理で斬るのは、ズバリ「現代世界」そのもの。現代世界を語るうえで絶対にハズせない「国際情勢」「資源」「投資」「自然災害」「人口」が今回のテーマです。
「なぜ中東戦争は繰り返すのか?」「なぜフランスはいまさら原発推進なのか?」「リチウム争奪戦の舞台となる国は?」など、世界を複雑化している事象に対して、著者が痛快・明快な「地理視点」で答えを出していきます!
ちなみに冒頭の第1章では、地理学的視点でモノを見るための「基礎知識」を解説。全ての高校生が地理を学んでいる今(2022年「地理総合」が必修化)、大人たちが知らないわけにいかない地理の基礎知識もばっちり押さえられます。
<推薦文>
日本人は歴史を紐解くのは好きだが、地図を読んで空間的なつながりを把握しようとしない。それが、現代人に国際感覚の欠如をもたらした。地球上に刻まれた自然と、その上に築かれた人類の活動は何を教えてくれるのか。著者は、防災から投資にいたるまで幅広く、かつ明快に「地球人」たる私たちが知っておくべき「地理」の基本を教えてくれる。――内藤正典氏(同志社大学教授)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自分の教養のなさに悲しくなった。そもそも「地理学」とはなんぞやという感じで、文中にあった単なる暗記科目と思っていた。
様々な事象が自然環境や人間生活などと複雑に絡み合っていることを丁寧に説明してもらった。
Posted by ブクログ
予備校で「地理」を教えている宮地氏が書かれた本です。理系に進んだ私ですが、社会科では「地理B」が特に好きで、暇な時に地図帳や資料集を眺めていたことを記憶しています。この本は地理的視点を通して現代世界を解説しています、
歴史に比べて選択科目として敬遠され気味だった地理も、数年前の高校の指導要領の変更により「地理総合」として必修科目となり、ハザードマップ等、最近自然災害が頻繁に起きていますが、それにも対応できるようになっているようです。これを機に時間を確保して、現代の高校生が教わっている「地理」を勉強してみたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・距離の概念には、絶対距離(物理距離)、時間距離(移動に要する時間)、経済距離(移動にかかる費用)がある、絶対距離よりも時間距離や経済距離を比較しながら、その時点での最適な交通手段を選好している(p14)
・東大卒と「年収1億円」に因果関係は存在しない、もし因果関係が存在するのであれば例外は全く存在しない、あくまで両者には傾向が見られる(高学歴ほど高収入)という相関関係しかない(p33)
・いつどこで役に立つか分からないような知識こそが教養と言える。幅広い分野に関心を持ち、多様な知識や思想を吸収し、自分の頭で考えることができる能力こそが教養と言える。これを身につけるには、日々の勉強だけでなく、実際に社会や自然と触れ合い、経験を積むことも必要である(p36)
・第一次世界大戦は、イギリス・フランス・帝政ロシアといった三国協商と、ドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー帝国・イタリア王国の三国同盟の衝突であった、後にイタリア王国は、三国協商側へ与し、三国同盟にオスマン帝国とブルガリアが加わって、4カ国による中央同盟となった。(p94)
・中国の綿花生産は多いが、多くを占める新疆ウイグル自治区から沿岸部までの輸送コストがかかるので、外国産綿花を使用することもあり輸入量が多くなっている(p115)
・多くの国でEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)を締結する動きが見られ、関税や非関税障壁を廃止し貿易の促進を図ろうとしている、CPTPPはアメリカ離脱後のTPP加盟国11カ国による新たな枠組みである(p118)
・日本が輸送するエネルギーの輸送ルート上に東南アジアが位置しているので、東南アジアとの関係性を良好にしておくのは極めて重要である。マカッサル海峡からロンボク海峡は、戦略的に重要な海上水路(チョークポイント)と言える、最近ではアフリカ・モザンビークからの液化天然ガスもここを通過する(p127)
・脱炭素は、アメリカや西欧諸国がいつまでも世界情勢の主導権を握るために突如言い出した「ルール変更」である。(p132)
・長らくアメリカはスーダンに経済政策を課していながらも、「アラビアゴム」だけは対象外としていた、アラビアゴムがなければ、アメリカ人の大好きなコーラが作れない(p139)
・OPECプラスとは、1960年に結成された資源カルテル(サウジアラビア、クウェート、イラン、イラク、ベネズエラ+後に加わった8カ国の合計13カ国)に、2016年11月にOPECの動き(石油価格の下落に応じて産油量を減らす)に同調した非OPEC加盟国(10カ国)を加えて、2019年7月に常設の集団となったが、必ずしも足並みは揃っていない、インドネシアやカタールは脱退した(p143)
・トヨタが開発を進めている全個体電池は、リチウム電池と異なって電解液を使用せず、正極と負極との間の個体電解質がセパレータの役割を果たす電池のこと。リチウムイオン電池が電解質に可燃性液体の有機溶剤を用いるのに対して、全個体電池は無機系の個体電解質を用いるので、充電時間の短縮、発火の危険性が小さく、液漏れが起こらず劣化しにくいメリットがある(p165)
・2023年10月12日、全固体電池の量産化に向け、トヨタ自動車と出光興産が協業を始めることが発表された。2027−28年に投入予定の電気自動車での実用化を目指す(p168)
・中国の進める「一帯一路」は、中国への経済的依存度を高めさせることで、経済的な自立を失わせる「21世紀型植民地支配」という様相に思える(p172)
・2011年のタイでの大洪水において、トヨタは別の場所や周辺国で代替生産をすることはせずに、生産ラインを止めて従業員を解雇することなく雇用を維持した。これにより愛社精神が高まったと言われている、生産性の向上は、好待遇を持ってしか実現されない(p185)
・横浜も神戸も同様の理由(近海の水深が深く大型船舶の接岸が容易)で、古くから港町として発展した。平清盛が日宋貿易の拠点として開発したのが起源である。当時の神戸は「大和田泊」と呼ばれていて、現在の神戸港近くにある「和田岬」にその名前の一部を残している(p200)
・平成30年7月の西日本豪雨をきっかけに、過去に発生した自然災害を伝承する脾の存在を地図に表すことを決め、その地図記号がつくられた、2019年3月のこと、その記号は「自然災害伝承碑」という(p204)
・2013年ー2022年までに世界で発生したマグニチュード6以上の自身の回数は1725回、そのうち291回(16.9%)は日本列島で起きている、日本列島で震度7を記録した地震は全部で6回あるが、5回が2000年以降に発生している(p211)1948年の福井地震をきっかけにして、「震度7」が翌年1949年に導入され、最初に適用されたのが1995年の阪神大震災であった(p216)
・イギリス植民地時代のインドには、イギリスが直接支配していた、ムンバイ・マドラス・コルカタを除くと、664もの藩王国があった。イギリスは藩王国を治める各藩主にイギリス王室への忠誠を誓わせて、間接的に藩王国を支配していた。藩王国を治める藩王は「ラージャ」と呼ばれ、特に強大な権限を持っていたラージャは「マハーラージャ」と呼ばれていた(p222)
・2003年のイラク戦争の際には、アメリカとシリアの関係は最悪となり、シリアが関係を重視したのが、ロシアと中国である。両国を味方につけておけば、国連安保理における「シリアへの避難決議」に拒否権を行使してもらえる。なので、ロシアによるウクライナ侵略において、シリアはロシアを支持した(p246)
・採掘から販売までを手がけるオイルメジャーの企業、1)スタンダードオイルオブニュージャージー、2)ロイヤルダッチシェル、3)アングロペルシャ、4)スタンダードオイルオブニューヨーク、5)スタンダードオイルオフカリフォルニア、6)ガルフ石油、7)テキサコ(p254)
・完結出生児数という指標があり、結婚からの経過期間が15−19年を数える夫婦の平均出生数のことである。つまり、夫婦で最終的に何人の子供を儲けましたか?ということで、「既婚女性限定の合計特殊出生率」と解釈される。1972年(6回目)から2002年(12回)までは、安定して「2.2」で推移していた。合計特殊出生率が低下傾向にあったことを考えれば、既婚女性は2ー3人の子供を産んでいるけれど、そもそも結婚しない、または結婚しても一人の子供しか儲けていない女性が増えたことになる(p273)
2024年7月1日読破
2024年7月2日作成