あらすじ
情報をみずから集め、編集し、新たな価値を創造してそれを発信・共有する――あらゆるシーンで「キュレーション」が注目されるいま、現代美術や芸術を支えるキュレーターの思考が社会に求められている。
展示、見る順番、作品、来館者、美術館の収集と保存など、現代美術のキュレーションをめぐる10のギモンを設定して、具体的な展覧会や作品を紹介しながら、現代美術のキュレーションの基本的な視点やキュレーターの意義を問い直す。
美術館や展覧会というメディアがもつ可能性とそれを支えるキュレーターという仕事の重要性を指し示す好適なガイドブック。好評のウェブ連載を大幅に加筆・修正して書き下ろしを加える。
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Posted by ブクログ
「美術館」というとかつては厳かに額装された「絵画」(多くは油絵であったりする)が鎮座し、来訪者は入場料を払ってこれまた厳かに「鑑賞」する、という場所である、というのがおおかたの意見であろう。
この書籍で対象となっている「現代美術」という範疇であっても、もちろんそれは大差ない。例え館外に飛び出すような、或いはそもそも美術館という体を成さない屋外で展示される場合にあってでもだ。ただ、そのスキームというかフレームワークというか、は、ある程度人為的、機械的に分類することができるようになっている、ようである。
そのような作業を一任され、もちろん協業して、遂行していくのが本書で取り上げられた「キュレーター」なる職種の役割であるようだ。
言葉では聞いたことのある(私の中ではある種、ソムリエ、やDJ、と同じ響きを持っていた)その職業のなすべきこと、役割、そしてその作業を通じて我々が楽しむ、嗜むことができる現代美術、というものを、実にわかりやすくまた心をうつ表現とともに、解説されている良書であると思う。
これから地元の現代美術館に出かける際の楽しみがまたひとつ増えたように思う。
Posted by ブクログ
現代美術は、なぜこの作品がアートなのか、
よくわからず、とりあえず美術館に展示されて
いるから、アートなんだろうと漠然と捉えていた。今回本書を読んで、現代アートがわかった
とまではいかないが、MOMA美術館から始まったホワイトキューブ(展示空間)から、既存のアートに対して、批判、反発し、美術館内ではなく
外で作品を展示するランドアートや、パフォーマンスアート、参加型のアートなど現代美術の
展示の変遷や背景知識を学ぶことができたのは、
良かった。