【感想・ネタバレ】アイスネルワイゼンのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

仕事では不得手なことを任され悔しい思いをして、好意でプレゼントすればかぶるし、妊娠かもって不安を煽られるし、恋人とはうまくいかないし、発表会にゆあなちゃんを出させようとするお母さんにマンガ教室をすすめるのは、こじれた小林に再度連絡とりたくないからだし、亡くなった加藤美咲との思い出にビッグマックを買おうとすれば販売してないし、あれもこれもうまくいかずなかば自暴自棄になって人生が追いつめられていく感じで読んでてツラかった。

ラスト。
キャリーケースの中身を空っぽにして髪形も変えて心機一転やり直そうと決意したとき、
そこで不意にアイスネルワイゼンのメロディが鼻歌になって出てきた。
もう亡くなったかっちゃんに弾いてもらうことができないことを痛切に実感し、助けてほしいのに素直に助けを求められない自分自身のままならなさ、不安定な将来とか。
そういった感情に押し潰されるように、人生を生きる重みに耐えられなくなって涙あふれて立てなくなる。
そんな主人公の琴音は、職場の知り合いとか友達の友達にいてもおかしくないようなリアルな女性だった。

優が話す遺伝性の視力の病気からだと思うけれど、映画のダンサー・イン・ザ・ダークの雰囲気を思い出しました。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作と、「アキちゃん」の二作。

表題作は芥川賞候補作。
読んでいて、ずっとイライラするような、嫌な気分になるようなお話。
お客さんのおばさんはムカつくし、仕事を紹介してきた友達も話が違うし、めちゃくちゃストレスがたまる。でもこういうことって、生きていればあるよな…って思うけど、それだけではなくて、主人公はどこか変。遠距離の恋人とは、もう別れている感じなのに、事前に行くことも言わずにクリスマスに高速バスで来ちゃうし、結局会えずにすぐに他の友達?との約束を取り付けてまた新幹線に乗って戻るし、貯金カツカツなのに美容院の予約(しかも結構高い)しちゃうし。
持ち物も置いたところに置いてきちゃうし。
稼いだお給料も、こうやってすぐ使っちゃうんだろうな。何かの病気なのだろうか。
最後まで、え…なんで?って感じのザワザワした小説だった。

「アキちゃん」
アキちゃんはムカつく女の子だと思ってたら、実は男の子とわかったところは、え!?っと驚きがあった。こちらも、読んでてずっとイライラ、ザワザワするような小説。

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2024年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嫌な感じ(孤立する人間性、孤立させる己の傲慢さ)を徐々に浮き彫りにする手腕はそのまま、やっぱりどうしてもキャリーバッグのくだりが腑に落ちず。。

怒りの矛先がわからなくなる、急に大きな声を出す、在処のわからない強い感情をぶつけてしまう、そんな彼女がマックで若い女の子に「ただの良い人」として認定されるその一瞬、彼女は自分の感情の名前がわからなくて泣ける。

彼女のわからなさ、自分は何と戦っているのかわからないが故の不気味さと苦しさを、個人的には物理的な重さにたとえてほしくなかったけど、しかし移動するキャリーとその中身がずっと伏線(中身が軽くなるほど行き場がなくなる)としての小道具であるし、彼女自身、外郭のない苦しさに自覚的でなかったから、最後に出すとしたら物理的な重みでやっとわかる。。そういう使い方にはなるよなあ、など。。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文學界10月号掲載

⚫︎受け取ったメッセージ
大人の対応も限界あり。
いい人、悪い人って単純に決められない


⚫︎あらすじ(本概要より転載)
第170回芥川賞候補作。32歳のピアノ講師・田口琴音は、さいきん仕事も恋人との関係もうまく行っていない。そんな中、ひさびさに連絡をとった友人との再会から、事態は思わぬ方向へ転がっていくーー。静かな日常の中にひそむ「静かな崖っぷち」を描き、心ゆすぶる表題作。そして選考委員の絶賛を浴びた文學界新人賞受賞作「アキちゃん」を併録。
「すべての結果としてこの作品は、新人離れした堂々たる手腕を示すことになった」(川上未映子氏の選評より)

⚫︎感想(ネタバレ注意)




最後まで一気に読める。ほぼ会話と思考で表現されていて、読みやすい作品。琴音は、嫌だと思うことがあったり、言われたりしても、我慢して大人の対応をするのだが、もう限界となったら、本音を言う。その落差が印象的。彼女は一度も人生で本当に「愛すること」「愛されること」がなかったのかな、という印象も受けた

ありそうなマウント取り、厄介なシチュエーションやらが満載で、大人は大人の対応してるけど、実際はイラッとしてたり、きっと他人にさせたりしてるよなぁ〜なんて思いあたることがあり、程度の差こそあれ誰もが共感できるところがあると思う。

言いたい放題してくる小林、周りくどい感じの優、母にもついにキレる、ピアノ教室に通う子の母にも決別。恋人にも取り付く島もない。最後にほんの少し救いの兆しか、気持ち回復の兆しがあってほしかったなぁとは思った。

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2024年01月15日

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